赤ちゃんを抱っこし笑顔のサントーシマ香先生

【前編】日常生活こそ、最大の”ヨガ修行”サントーシマ香先生インタビュー

今さらだけど……サントーシマ香先生ってどんな人?

NHK第一ラジオでのヨガコーナー、NHK-Eテレでのヨガ指導を担当した経験を持つほか、著書もたくさん……もはや説明不要なくらいの人気講師であるサントーシマ香先生。2013年に第一子、そして2016年夏には第二子を出産されましたが、2017年1月より講座を再開されます!ということで、この機会に”今さら聞けない”香先生のあれこれを総まとめ。ヨガとの出会いからベースとなる考え方まで、たっぷりうかがいました♪

ヨガと出会って、はじめて”静けさ”を実感できた

切り株に座り合掌するサントーシマ香先生
切り株に座り合掌するサントーシマ香先生
今さらですが……香先生がヨガと出会ったきっかけから教えてください。
kayaインタビュー
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サントーシマ香インタビュー
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学生時代に摂食障害とうつを患ったことがありました。当時はモデルのお仕事もしていて、今から考えると冷えと栄養不足がいけなかったんでしょうね。それが2000年前後だったんですが、ちょうどマドンナやグウィネス・パルトロウなどがヨガをやっているという情報を目にし始めた頃でもありました。

自然療法系の本でもハタヨガについて紹介されていたりして、なんとなく「良さそうだな」と思いました。それでスポーツジムのヨガやIYCのケン ハラクマ先生のクラスに通い始めたんです。学生時代から芸能界という華やかな世界にも身を置いていたんですが、それまで得られなかった満足感がヨガにはありました。毎日なんとか時間をつくって1クラス受けるくらい、ヨガに夢中になっていきましたね。

ヨガのどこが「特別」と感じたんでしょうか?
kayaインタビュー
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サントーシマ香インタビュー
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ケン先生のアシュタンガのクラスへ最初に行ったとき、まずびっくりしました。周りの人が、これまでに見たことのないような形状に次々となっていくし(笑)、ケン先生も日常では出会わないようなタイプの方でしょう?世間一般がするような反応が全く返ってこない。そういうのがすごく新鮮だったし、クラス最後のシャバアーサナでそれまで感じたことがない心の”静けさ”を感じました。

自分がこれまでいかにマインドを忙しくさせ続けていたか、よく分かったんです。今はもうアシュタンガのような激しいヨガはできないなぁと思うんですが、当時の私にはあのくらい”アクの強い”ものでないと響かなかったのかも。とにかく左脳のはたらきが過剰でマインドがせわしなく、瞑想をしても静けさを感じるところまで辿りつけなかっただろうと思います。

ヨガを学ぶ環境に恵まれたカリフォルニア時代

その後、2002年にはカリフォルニア州バークレーに移住。さらにヨガやアーユルヴェーダの学びを深めていかれるわけですが、移住には何かきっかけが?
kayaインタビュー
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サントーシマ香インタビュー
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自然療法全般についてもっと学びたいと思って、本場であるカリフォルニアに思い切って移りました。カリフォルニアでは、ヨガのRYT取得前に、ホリスティックケアの学校でアーユルヴェーダや中医学の基礎も学びました。

私はまず自分自身が「いかに幸せな状態になれるか」「体の不調を緩和できるか」ということに関心があったので、自然療法の1つとしてヨガのトレーニングも受けたんです。そうやっていろいろと学び実践していく中で、調子がよくなることも今いちなこともありました。20代の10年間は、自分の体と心でいろいろ模索し続けていましたね。

ヨガやアーユルヴェーダを”人に伝える”立場となるには、どんな流れがありましたか?
kayaインタビュー
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サントーシマ香インタビュー
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中医学のクリニックで学ぶ中、お灸やマッサージを施術する機会がありました。マッサージなどをすると相手がすごく喜んでくれるし、やっている私の心も静かで心地よくて。”癒すこと、癒されること”が「自分のフィールドかも」と思ったんです。

その後ヨガのティーチャートレーニングを卒業してから、最初は自分がトレーニングを受けたヨガスタジオYoga Mandala(現在はYoga Treeに買収)で、現地のアメリカ人向けにレギュラークラスをもたせてもらい、この時にしっかり鍛えてもらいました。その他にもカリフォルニアのバークレーなどで日本人向けにもヨガクラスを担当させてもらいました。

日本では、まだそこまでヨガが普及していない頃ですよね。
kayaインタビュー
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サントーシマ香インタビュー
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そうですね、日本だと若い女性の間でホットヨガやパワーヨガが注目されだした頃でした。その点、カリフォルニアはヒッピー文化から連なる歴史があったので、ヨガを教える側もやる側も、層が厚かったんです。

たとえば近所のYMCAなんかでも、おじいちゃんのようなベテランの先生がたくさん教えていて、地域の老若男女が日常にヨガを取り入れている。そういう環境でヨガスタジオに通ったり、自分が教えることができたのは、すごく恵まれていたと思います。

「ザ・ヨガ」から「日常を充実させるためのツール」にシフトチェンジ

ヨガマットの上で赤ちゃんと見つめあうサントーシマ香先生
ヨガマットの上で赤ちゃんと見つめあうサントーシマ香先生
その後、2008年頃から拠点を日本に移してヨガやアーユルヴェーダを伝え続けている香先生。日本に移られてから、あるいは3年前のご出産を経てから、ヨガについての考えに変化はありましたか?
kayaインタビュー
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サントーシマ香インタビュー
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ありますねぇ。年齢や性別、その人のタイミングによって、”適したヨガ”があると思うんです。若い頃の私がそうだったみたいに、マインドの揺れが大きい時期にはアシュタンガやアヌサラなどの比較的”強い””激しい”ヨガが向いているかもしれない。私の場合は、20代の終わり頃にアナ・デイヴィス先生の『ブリスベビー・ヨガ』の通訳をさせていただく機会があったんですが、これがシフトチェンジの1つのきっかけでした。

それまでは妊娠・出産に全く興味がなかったんですが、そこで初めて「女性の身体の営みって面白い」と気づきました。左脳的な男性社会においては、妊娠中や産後の女性に起きるいろいろな変化はネガティブにとらえられがち。でも、本来はとても人間らしく尊い変化なんですよね。

そうした発見から、女性のための「ムーンサイクルヨガ」を考案されたんでしょうか。(『ムーンサイクルヨガ』に関するインタビューはこちら
kayaインタビュー
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サントーシマ香インタビュー
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そうですね。それまでは「ザ・ヨガ」的なものがあって、無知な私がそこに近づくために学ぶというイメージだったんです。インドの古典的なアプローチもそうですが、白い服を着てベジタリアンで、絶対的なグル(指導者)のもとで修業に専念することがヨガの道……という考え方です。

でも、通訳として世界のいろいろな先生と関わるなかで、考えが変わりました。自分の日常や生活を機嫌よく充実させるための”ツール”としてヨガがあると気づいたんです。それからすごく楽になったし、ヨガを学ぶことや伝えることが、より面白くなりました。