「雨ニモマケズ」
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
で始まる、ほとんどの日本人が一度は聞いたことのある、宮澤賢治の詩「雨ニモマケズ」。多くのヨギーニ&ヨギーがうすうす感じているだろうが、やはりこの詩はヨガをする私達が読むと、ヨガの感覚を備えていると思える。
宮沢賢治は1896年(明治29年)、岩手で生まれている。後に病で亡くす妹と、弟がいる。農学校に行っていたことが有名だが、彼の精神のよりどころになっていたのは法華経だった。法華経とは18歳の時に出合い、37歳で急性肺炎で亡くなるまで(32歳で肺炎になり、一度死を覚悟している)、法華経を信仰し続けた。
法華経に心酔
ヨガと通じるところは、この信仰から得た精神があるからなのかもしれない。彼は、浄土真宗である父親と、信仰の件で争論になるほど法華経に深く心酔していた。最愛の妹が亡くなった時、慟哭しながらも、浄土真宗で行った葬儀には出なかったほどだ。その代わり、柩が焼け終わるまで法華経を唱え続けたという。
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ(いからず)
イツモシズカニワラッテイル
ヨガをすると、誰もが感情のコントロールを気にするようになる。感情に振り回されないように、心と向き合うことが大事なスキルとなる。それがアーサナなどでコントロールできるようになってくると、プラティーヤーハーラ(感覚制御)で、感情にとめていた意識を離し、自分の内面に意識を向けようという段階に入る。
仏教は怒りに対してはとても厳しい見方をするので混同しやすいが、ヨガでは怒りを完全なNGとしていない。怒りに取り込まれないことが大事。自分に怒りがあるのだと客観視できること。なぜなら、それは自覚している「私」に湧いた感情でしかないからだ。本来の自分(真我)に起こっていることではない。私は「真我」な存在だから、その感情とは別物だ。
人のためにできること
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
利他主義であることもヨガと相通じる部分だろう。以前、「True Nature Meditation」主宰の河津氏に聞いた話だが、最近耳にするようになったコンパッションは、「マインドフルネスを深めていき十分自分と向き合った後、やっとできること」。コンパッションとは思いやりのことで、それは自分に満足できている時にしか発揮できないもの。そうでない場合はどこかにひずみが生まれ、「私はこんなにやってあげているのに…」という見返りを求めてしまう。しかし、本当の思いやりは見返りを求めない、無償の愛を捧げる行為。
ダライ・ラマも思いやりの話をすることは多いが、日本ではよく聞く言葉でありながら、その行為の本質はとても難しくなかなかできることではない。だから、多くの人があえて口にするのかもしれない。
平和で穏やかな
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
ソウイウモノニ
ワタシハナリタイ
ヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』は、ブッダと同じ名前を持った男性が、自分の心と向き合い、戦い、最終的に至った境地の話だ(フィクション)。独特の文体でそのリズムに慣れるまでに時間がかかり、読破しきれない人も多いこの小説は、それでも頑張って読むと、最後の最後に最高のシーンが待っている。
この最終境地は、自我を完全に捨て去り、穏やかすぎるものだ。まるで文章が光を放っているような印象まである。静かで美しすぎるシーンだ。
宮沢賢治のこの、詩の最後の言葉も、もう自分という我が消え去っている境地を語っているのだろう。「ナリタイ」と書いているが、もう手に入れているように聞こえる。
「雨ニモマケズ」は34歳の時に書いたものだが、大きな病気をしたからこそ生まれた言葉なのかもしれない。まさに、こんな心境だったのだろう。
宮沢賢治は幸せだったのか?
私達が現在よく知る宮沢賢治は「国民的作家」としての顔だが、彼の本は生前まったく売れず、『注文の多い料理店』などは、父親に借金して、1000部発行したうちの200部を出版社から買い取っている。『銀河鉄道の夜』、『風の又三郎』などは、友人の尽力で死後発表されたものだ。
宮沢賢治は幸せだったのだろうか? 大きな病気をし、出版した本も売れなかったけれど、地元に理想郷を見つけ、法華経と愛する文学と寄り添い一生を終えたことは、結果的には幸せだったのかもしれない。
「雨ニモマケズ」を書いたのがもし創作活動を始めたころだったら、苦悩の中にいたように読めてしまうが、この作品が晩年だから、そこに見えてくるものは変わってくる。早すぎる死だが、彼の心は穏やかだったことを願いたい。
Text:Yogini編集部











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