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腸腰筋は太ももを上げる時(股関節屈曲)に働く筋肉です。主に股関節との関連が深い筋肉でスポーツ経験がある人なら一度は聞いたことがあるでしょう。
腸腰筋が付着するのは大腿骨、骨盤、脊柱と身体の中心部ですので、人間の多くの動作でこの筋肉が関わってきます。
今回は、この身体の中心部に存在する腸腰筋について解説します。
腸腰筋の基礎知識

腸腰筋とは「腸骨筋・大腰筋・小腰筋」の総称です。それぞれの主な作用は同じですが、付着している部位が異なります。腸骨筋は骨盤に付着しているのに対し、大腰筋、小腰筋は腰椎に付着しています。
| 起始【筋肉の付着部位(支点)】 |
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|---|---|
| 停止【筋肉の付着部位(作用点)】 |
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| 作用 |
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日常動作からスプリント競技まで司る
歩いたり、走ったり、段差を上がる、何かをまたぐ、といったような太ももを引き上げる動きがともなう動作時に働く筋肉です。
腸腰筋の筋力が低下してしまうと、太ももをうまく引き上げられなくなるので、もし床に物や出っ張りがあった場合、つまずきやすくなります。また、段差を昇るのが困難になってしまうので、高齢者はとくに腸腰筋の筋力不足に注意をしなければなりません。
なお、走る動作では、後ろに伸ばした脚を前方に強く引き上げる時に腸腰筋が働きます。アフリカ系の方がスプリント競技で圧倒的な強さを誇るのは、腸腰筋の強さがあるからです。その太さは、日本人の3倍あるといわれており、スプリント系で強靭な力を発揮する理由がわかります。
アーサナにおける働き
腸腰筋が収縮するアーサナ

- 蛍のポーズ
- 舟のポーズ
- 杖のポーズ
など股関節屈曲や骨盤前傾を伴うものが、腸腰筋を短縮するポーズといえます。また、ダウンドックの時、骨盤後傾しがちですが、修正するために骨盤前傾する時も腸腰筋が働きます。
腸腰筋がストレッチされるアーサナ

- 三日月のポーズ
- 橋のポーズ
- ラクダのポーズ
など、股関節伸展を伴うポーズでは、腸腰筋がストレッチされます。
補足
膝関節が屈曲しているかいなかによって、股関節屈曲の作用がある大腿直筋も同時にストレッチされます。膝関節“屈曲位”なら大腿直筋がメイン、膝関節“伸展位”なら腸腰筋がメインにストレッチされます。これは覚えていて損はしない知識になりますね。
アーサナの基盤“姿勢”にも関連している
腸腰筋は、姿勢にも関わってきます。前述のとおり、腸骨筋は“骨盤”の前方に付着。そのため、腸骨筋が収縮すると骨盤は前傾方向に誘導されます。一方、大腰筋、小腰筋は“腰椎”の前方に付着するので収縮すると腰椎は前弯方向に誘導されます。
高齢者で多く見られる骨盤が後傾した姿勢や、身体全体が丸まったような腰椎が後弯した姿勢の多くは、腸腰筋の機能不全に原因があります。また、腸腰筋の短縮は、骨盤の前傾と腰椎の前弯を過剰にし、いわゆる反り腰傾向を強くします。
仰向けに寝ると、腰と床の間に隙間ができてしまい違和感がある、もしくは痛みが出るという人で、膝を立てることで隙間が埋まり違和感や、痛みが無くなった場合、腸腰筋の短縮から、腰椎が前方に引っ張られ前弯過剰になっている可能性があります。そのような方は腸腰筋をストレッチすることで解決します。
腸腰筋が短縮しているかを調べる整形外科のテストに「トーマステスト」がありますが、方法はシンプル。指導者の方は知っていて損はないはずです。
トーマステストの方法
- 仰向けに横になります
- 片脚の膝を曲げます
判定方法
膝を曲げた脚と反対側の脚の膝が地面から浮いてしまう。あるいは、屈曲させないと股関節に違和感や痛みを覚える場合、伸ばしている脚側の腸腰筋が短縮している可能性があります。正常な場合、片方の脚が伸展したまま床に着き、股関節に痛みや違和感もありません。
姿勢維持には、ほかの筋肉との関係性も重要
良い姿勢を保つには、腸腰筋の柔軟性とともに、骨盤と腰椎の動きに関わる「腹筋(腹横筋)・背筋(多裂筋)・大臀筋」の筋バランスを上手く調整することも大切です。
腸腰筋と背筋は、骨盤の前傾と腰椎の前弯を誘導し、腹筋、大臀筋は、骨盤の後傾と腰椎の後弯を誘導します。それぞれの筋肉が収縮-弛緩することで、骨盤と腰椎をニュートラルに保つことができるのです。
例えば、座った状態で、もも上げをするとします。その時、腸腰筋の付着部である骨盤・腰椎を安定させるために腹筋が働くのですが、腹筋が上手く機能していないと腸腰筋が骨盤、腰椎を前方に引っ張ってしまい、反り腰になってしまいます。
一方、腸腰筋が上手く機能していないと、股関節屈曲の作用がある大腿直筋が、もも上げ動作をカバー。つまり、姿勢を崩しての動作になります。以上のことからも、良い姿勢を保つには、腸腰筋を含む骨盤、腰椎周囲の筋肉がそれぞれバランスよく働かないといけないことがわかるでしょう。
今回は、腸腰筋について解説しました。ぜひ、今後の指導に役立ててください。
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