等身大の脊柱と白衣の人

脊柱カップリングモーションを知ってヨガ指導の質を高める

脊柱は、屈曲-伸展、側屈、回旋と3Dで動く構造になっています。私生活の動作やヨガのアーサナでは綺麗に脊柱の運動方向に動く場合もありますが、背骨を複雑に動かす場合もあります。

たとえば、足元の物を取ろうと屈む場合、正面に物があれば脊柱は屈曲方向にきれいに動いていますが、正面ではなく右側に物があるのであれば脊柱を右回旋しながら屈曲することになります。このように脊柱は普段から複雑な動きをしているのです。

また、実はシンプルに身体を横に倒す、身体を捻るという動作の中にも少し複雑な動きが組み合わさっています。そんな脊柱の動きを理解して指導するために効果的なのが、「脊柱のカップリングモーション」の概念を理解することです。これが理解できたら指導の幅も広がるはずです。
 

脊柱カップリングモーションとは?

脊柱の動きをイメージさせるイラスト
脊柱カップリングモーションとは、大まかに説明すると「1つの運動に対して他の運動が伴う」ことを指します。たとえば、背骨を横に倒す(側屈する)と連動して回旋動作が起きます。このように背骨は、構造上連動するようになっているのです。

場所や動きの種類によって連動のしかたが違う

この脊柱のカップリングモーションは、頸椎、胸椎、腰椎で連動のしかたが少し変わってきます。頸椎は複雑なので今回は割愛しますが、胸椎と腰椎のカップリングモーションは覚えておくとよいでしょう。

まず胸椎は、中間位、屈曲位のとき側屈と回旋が同方向に起きます。一方、伸展位では、側屈と回旋は逆方向に起きます。腰椎の場合は、屈曲位では側屈と回旋は同方向に起きます。しかし、中間位、伸展位では側屈と回旋は逆方向に起きます。

実際に体を動かして確かめてみる

横から見た人の脊柱の動き
簡単に説明しましたが、恐らくこれだけでは理解しにくいと思います。実際に身体を動かすとわかりやすいと思うので動かしてみましょう。

まずは身体を丸めて脊柱を屈曲位にします。そこから身体を右に捻ります。すると捻る前は中央にあった頭が、右に移動していますよね。これは屈曲位だと右に捻る動作(回旋)に、右へ倒す動作(側屈)が加わったということになります。

次に身体を反らして脊柱を伸展位にします。同様に身体を右に捻ります。屈曲位では頭が右に移動したのに、伸展位では頭が左に移動します。伸展位では右に捻る動作に左に倒す動作が加わったということになります。

では背骨の中間位、つまり真っ直ぐの状態で体を右に傾けたときはどのように動くのでしょうか。そこで鍵となるのは、背骨は元々、胸椎は屈曲位、腰椎は伸展位になっているということです。これを生理的弯曲といいます。

この状態を理解すると、中間位で右に捻れば胸椎は屈曲位なので同じ方向の右側屈になり、腰椎は伸展位なので逆方向の左側屈になることが理解できます。

このように胸椎と腰椎が対になる動きをすることで、背骨は真っ直ぐ伸びたままの状態を保っているのです。

ヨガ指導の際に意識する「脊柱カップリングモーション」

脊柱カップリングモーションのメカニズムを理解すると、指導の仕方も少し変わってきます。回旋と側屈が連動するという性質は、どちらかの動きに制限があると、連動してもう一方の動きも制限されてしまうことを意味します。

例えば、脊柱の右回旋に制限がある場合、左右どちらかの側屈に制限があるかもしれません。一度、左右に側屈してみてどちらに動きにくいか確認してから側屈系のアーサナを行います。その後に再度回旋動作を行うと先程よりやりやすくなっているはずです。

もちろん逆パターンもあって、回旋動作を繰り返し行った後だと側屈動作が行いやすくなります。

制限のある動きがあるときは、もう一方の運動方向に脊柱を動かすことで脊柱カップリングモーションが行いやすくなるといえるでしょう。脊柱が動かしにくい方に向けてレッスンのプログラムを作成する際は、運動方向をイメージしながら脊柱を動かすことが大事になります。

こうすれば、脊柱の可動域が広がり、身体が動きやすくなったことを実感してもらえるでしょう。