効果に違いが出る“正しい声がけ”とは

効果に違いが出る“正しい声がけ”とは

エアロビクス、パーソナルトレーニング、リハビリなど様々な場面で運動指導が行われていますが、どの場面でも大切なことは、いかに相手にわかりやすく伝えられるか。効果的かつ安全に運動を行っていただくには、まず相手がきちんと理解をしていることがとても重要なのです。もちろんヨガにおいても、同様です。

このわかりやすさを演出するうえで、有効なのが聴覚にうまく働きかけること。聴覚というのは、ご存知のとおり、耳から入ってくる情報です。ヨガ指導者の方は言葉、音、音楽を上手く利用することで、参加者の方にきちんと伝わる指導ができるようになります。

例えば、アクティブな動きをベースにしたいレッスンでは、BGM にアップテンポの曲をチョイスする。反対に、心を穏やかにすることを目的としたクラスでは、スローテンポのヒーリング系ミュージックを流したり、屍のポーズの際には、さざ波や森林浴の音楽を選ぶのもよいでしょう。

瞑想により集中してもらうために、ティンシャや鈴といった洗練された音を奏でるツールを取り入れる人もいますね。ちょっとしたことですが、クラスのテーマにあったBGMを流すだけで、参加者が、より深くアーサナと向き合える環境に整えることができるのです。

クラスの質を左右する声がけとは……

さらに、声がけを適切に行うことで、参加者の方に正しい理解を促すことができるでしょう。経験豊富なヨガ指導者は的確なタイミング、わかりやすい言葉、場に応じた口調と声量で参加者に語りかけながらレッスンを進めていきます。

一方、指導経験が浅い方の場合、緊張して声が出なかったり、つい専門用語ばかりを使ってしまい、生徒さんたちにうまく伝わらない……といったこともあるでしょう。これは経験を積むことで修正されますが、まずは自信をもつことも、解決策の1つになるはずです。

ハキハキとした口調で誘導するだけでも、生徒さんたちは集中しやすくなります。同時に、声がけについて、きちんと学ぶことも役立つはずです。

ターゲットに合わせて、表現方法を変えよう

声がけには、主に2種類の方法があります。

身体の部位に直接語りかける

身体の部位の名称をそのまま言葉にして参加者に伝える
身体の部位の名称をそのまま言葉にして参加者に伝える

直接というのは身体の部位の名称をそのまま言葉にして参加者に伝えることです。

筋肉ならば、

  • 大腿四頭筋
  • ハムストリングス

など。

骨ならば、

  • 大腿骨
  • 上腕骨
  • 脊柱
  • 骨盤

など。

関節ならば、

  • 肩関節
  • 股関節
  • 膝関節

など。

各部位の名称をそのまま声がけで使います。例えば……

座位でアライメントを整えたい時

女性のアイコン3
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骨盤から脊柱を通って頭頂部までの軸を、下から上に引き伸ばすようにして座ります。

呼吸で胸郭の動きを意識したい時

女性のアイコン2
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息を吸って。まずは胸郭の下の部分から横に膨らんで空気が入ります。

あばらの骨と骨の隙間が広がりながらドンドン胸郭が膨らみ、最後に胸郭の上の部分が膨らみます。

息を吐きながら膨らんだ胸郭を収縮させながら時間をかけて空気を抜いていきます。

屍のポーズでリラックスしたい時

女性のアイコン1
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手先、足先の身体の末端部位から脱力して、骨盤、脊柱、頭部の身体の中心部位も脱力しながら全身の力を抜きます。

といった表現を用います。参加者が身体の部位の名称を細かく知っているのであれば声がけもより詳しい名称を用いた方が効果的です。

身体を何かに例えて語りかける

比喩表現を巧みに使って、伝える方法
比喩表現を巧みに使って、伝える方法

いわゆる比喩表現を巧みに使って、伝える方法です。力強く動いて欲しい、力を抜いて全身をリラックスさせたい、身体全体をしなやかに動かしてもらいたい……など、それぞれのアーサナで参加者にどのような意識を持ってもらいたいのかで表現する比喩言葉を選択します。例えば……

座位でアライメントを整えたい時

女性のアイコン3
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骨盤という大きな大地から脊柱という大樹が、空に向かってグングン伸びていきます。

呼吸で胸郭の動きを意識したい時

女性のアイコン2
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息を吸って肺という風船に空気を送ります。

風船は空気が入ることで、下から膨らんで最後は上まで膨らみます。

息を吐きながら膨らんだ風船の空気を、時間をかけて抜いて萎ませます。

屍のポーズでリラックスしたい時

女性のアイコン1
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自分の身体がフライパンの上のバターだとイメージしてください。

フライパンが少しずつ温まり、それに合わせてバターがジワーッと溶けるように足先、手先から力が抜けて最終的には全身が溶けるように脱力します。

比喩を用いる時は、参加者の年齢層も考慮して、表現として何が一番適しているかを心がけましょう。相手がわからない比喩表現をすると、どういうイメージで身体を動かせばいいのか、かえって伝わりにくく、そうすると効果も少なくなってしまいます。相手にきちんと届く表現をしましょう。

声がけのスキルを上げるには、他の指導者のレッスンを受けてみることが一番!指導者によって個性もありますので、できるだけ多くのクラスに参加してみてください。そうして、たくさんの表現方法に触れていくうちに、ご自身のクラスに適した声がけの方法が自然と腑に落ちてくるはずです。

今はInstagramやYouTubeなどのツールでヨガレッスン動画を上げている指導者もいますので、時間がある時に視聴してみるのも良いかもしれませんね。

無音を上手に生かすのも、声がけのスキル

あえて声がけをせず、無音の時間を意識的に作ることも、わかりやすいクラスにするために役立ちます。

理解を深める指導を意識すると、どうしても参加者に多くのポイントを伝えたくなってしまうものです。要点がまとまった声がけならば良いのですが、情報量が多いと、かえって混乱を招きかねません。

大切なのは、声がけをする際は、なるべく要点をまとめること。そして伝えた後は、アーサナに集中してもらうことです。その上で有効なのが、声がけの後、あえて何も言わずに見守り、無音に入る前の最後の一言に余韻を残すこと。余韻の残し方は、声のトーンを変えて調整します。

無音でも、きちんと響く余韻の残し方

力強さや集中力が必要なバランス系アーサナをする時

最後の一言を明るくハキハキとした口調にするようにしましょう。無音の状態になっても最後のハッキリした言葉が余韻で残りますので無意識のうちに力強くバランスを取るようになるのです。余韻が無くなったと感じたら再度、声がけを出してみても良いでしょう。

屍のポーズや呼吸を確認するような場面

最後の一言は赤ちゃんの眠りを誘うような優しい口調で余韻を残しましょう。ティンシャや鈴があれば洗練された音が余韻となり集中しやすくなりますね。

今回は聴覚に働きかける適切な声がけについて紹介しました。経験を積んでスキルアップしていきましょう。

監修理学療法士 奥悠輝

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