看護師が伝える!心地いい呼吸ができるレッスンの作り方

看護師が伝える!心地いい呼吸ができるレッスンの作り方

ヨガで呼吸は「プラーナ」と呼ばれ、呼吸をすることで、生命のエネルギーが循環すると考えられています。

しかし、普段の生活の中では、呼吸に意識を向ける機会が少なく、呼吸が浅くなっている人も多くいます。

そんな方がレッスンに来たときに、「呼吸に意識を向けるように」と伝えても、難しい場合があります。

今日は、”自然と呼吸に意識を向けながら、深い呼吸ができるシークエンス”作りについて、身体の仕組みからお話ししていきます。

呼吸のしくみ

呼吸のしくみ
呼吸のしくみ

そもそも、私たちの吸い込んだ空気は、肺に入り、換気されています。

肺は胸郭と呼ばれる、肋骨と横隔膜に包まれた陰圧の空間に存在しますが、肺自体は膨らんだり縮んだりする機能を持っていません。

呼吸するためには、肋間筋や横隔膜などの、呼吸筋が胸郭の大きさを変えることで、空気を吸い込んだり、吐き出したりして呼吸しています。

全力で吸い込んで、全力で吐き出すことで換気できる量「肺活量」は成人女性で約2000mlと言われています。

これに対し、自然な呼吸により換気できる「1回換気量」は成人で約500mlです。

つまり、普段の呼吸は肺全体の1/4程度の容量で済むのです。

ヨガの呼吸は毎回深呼吸をしなければならない訳ではないので、この500mlの空気を肺のどこを使って呼吸をするかが意識できると、自然と深い呼吸へとつながります。

cat&cow のポーズで感じる呼吸

cat&cowのポーズをとる女性
cat&cowのポーズをとる女性

例えば、右手を挙げて左側に側屈しながら呼吸をおこなった場合、左よりも右側の肺によく空気が入ることが感じられます。

cat&cow のポーズは、呼吸をしながらそれぞれのポーズを繰り返すことが多いですが、どちらかで止まったまま呼吸をしてもらうことで、空気の入る場所の違いがよく感じられます。

cat ポーズのまま数呼吸繰り返すことで、しっかりと背中が膨らむ感覚が、そして、cow ポーズで呼吸を繰り返すと、胸に空気が入る感覚が得やすくなります。

このように、体勢によって、空気の入りやすい場所が変化し、そこに意識を向けながら呼吸をすることで、普段使わない呼吸筋も刺激され、レッスン後に呼吸がしやすい状態を作ることができます。

身体の動きと呼吸

もう1点、身体の動きと呼吸についてお話ししします。

呼吸は胸郭の大きさの変化により行われます。

つまり、身体の動きの中で、胸郭が広がる動きをすれば、自然と息を吸い込みたくなり、逆に胸郭を縮める動きの時は、自然と息を吐きたくなります。

この原理をしっかりと理解しながら、呼吸のリードをすることで、呼吸と動作が連動し、心地よく動くことができます。

具体的には、両手を上げたり、胸を開いたりする動作は、胸郭を広げるので、息を吸いたくなります。

逆に、前屈したり、背中を広げたりする動きでは、胸郭が縮むので、息を吐きたくなります。

この原理が組み込まれている代表的な例が、太陽礼拝です。

ウルドゥバハスタアーサナでは、両手を上に上げるため、胸郭が広がるので、息が吸いやすくなります。

ウッターナアーサナでは、前屈になるので、息を吐きやすくなります。

太陽礼拝以外の動作でも、いつ吸っていつ吐くか、胸郭の動きを考えてリードすることで、心地い呼吸と動きができるクラスとなります。

呼吸の変化を感じよう

ただ、呼吸をしましょうと言われても、普段使い慣れていない呼吸筋にはなかなか意識が向きません。

アーサナを通して、色々な呼吸筋に意識を向けながら呼吸を行うことで、呼吸筋のストレッチや刺激になり、レッスン後、自然と呼吸が深くなることが期待できます。

毎日絶え間なく続けている呼吸。

浅くなっていることにも気付きにくいですが、楽に呼吸ができることは、肩こりの改善や、様々な日々の生活のパフォーマンスを上げることにもつながります。

是非、レッスン前後に変化を感じられるクラスを作ってみてください。

参考文献