頭に本をのせて立木のポーズをとる女性

10分で学ぶ!初心者のためのヨガ哲学入門~ヨガの哲学って何?~

ヨガって、哲学が土台になっていると知っていますか?

ヨガ発祥の地インドで、ヨガは6つの正統派哲学の1つとして定められています。

その中で、ヨガが他の哲学と大きく違うことは、経験を伴う哲学であることです。

アーサナ(ポーズ)やプラーナーヤーマ(調気法)、瞑想を行って、自分で体感することを大切にしています。

ヨガの体験を深めるためにも、ヨガ哲学の基本を学びましょう。

ヨガ哲学って何だろう?

開かれた古い本とティンシャ
まずは古典ヨガの代表的な教典である『ヨガ・スートラ』をもとにして、ヨガ哲学がどんなものなのかを見ていきましょう。

ヨガの教典『「ヨガ・スートラ』

最初にヨガの哲学が説かれている教典をご紹介します。

ヨガ・スートラはヨガ派という学派の教典で、聖者パタンジャリが編集したと言われています。

ヨガは8つの段階を順番に練習するものだと説き、ました。神秘的な哲学と、実践を組み合わせた教えが書かれています。

成立時期は4~5世紀頃

ヨガがいつ生まれたのか?

こう聞かれると、実は紀元前2,500年前に遡ってインダス文明の頃からあると言われています。

しかし、この頃のヨガとは人里離れた森やヒマラヤに籠って修行するものであり、先生から口頭でのみ伝承するものでした。

哲学的にまとめられたのはだいぶ後になります。

ヨガ・スートラは、ヨガ派と呼ばれる人たちが、4~5世紀頃にまとめ、初めて後世に残した教典として知られています。

ヨガの目的「本当の自分に出会う」

ヨガ哲学で学ぶヨガの目的とは「本当の自分を知ること」です。

ヨガの言葉で本当の自分のことを「プルシャ(真我)」と呼びます。

本当の自分とは何でしょうか?

それは、普段私たちが社会生活を営むために被っている仮面を全て外した時に出会うことができる姿です。

例えば「私は大事な時に限っていつも失敗する」と認識しています。

すると、ここぞという時に「また失敗するかも」という不安が頭をよぎって緊張し、本当に失敗してしまう可能性を高めてしまいます。

このように人生では「私はこんな人間」という思い込みが、私たちの可能性を邪魔してしまいます。

ヨガでは「自分はこんな人」という思い込みの仮面を全て外します。そして、本来の自分の可能性を導き出すものです。

心の働きを止めて本当の自分と世界に出会う

ヨガ・スートラの冒頭に書かれているヨガの定義をご紹介します。

ヨガとは心の働きを止滅することである。(ヨガ・スートラ1章2節)

ヨガでは瞑想を行うことで、徐々に雑念や煩悩を止めていきます。

どうして心を止めることが自分に出会うことに繋がるのでしょか?

思考が働いている時は、言葉によって作り上げた自分像に固執してしまいます。

「これが正しい、これでは駄目」「こんな自分になりたい」「自分のここが嫌い」「私はこれが得意で、これが苦手」「これは許せない、これくらいなら仕方ない」

思考が生み出した枠の中でしか生きることができなくなり、思考が望んだとおりに物事が進まないと苦しみます。

思考が活発な状態は、常に色眼鏡をかけて物事を見ている状態です。自分の価値観に囚われて、世界を正しく見られません。

思考が止まって、純粋な魂であるプルシャの状態になれると、初めて本来の美しい世界に気が付くことができます。

古典ヨガの実践方法「8支則」

古典ヨガと呼ばれるヨガ・スートラでは、8支則という実践が説かれています。

  1. ヤマ(制戒):社会的な禁止事項。
  2. ニヤマ(内制):自分に対する制御。
  3. アーサナ(座法):安定的な座り方。
  4. プラーナーヤーマ(調気法):呼吸でプラーナ(気)をコントロール。
  5. プラティヤーハーラ(制感 ): 外界から受ける感覚を断つ。
  6. ダーラナ(凝念):意識を一点に集中。
  7. ディヤーナ(静慮 ):ダーラナで一点だった対象を広げる。
  8. サマーディ(三昧): 心が停止した状態。

8支則の最初のヤマとニヤマは、日常生活で守るべき戒律です。この2つを実践することで、ヨガの教えを受け取る土台を作ります。

3つ目のアーサナ(座法)では、身体を安定して快適な状態に保ちます。

4つめのプラーナーヤーマ(調気法)は、呼吸を通して、身体の内側のエネルギーを整えます。

そして、5番目のプラティヤーハーラ(制感)では感覚器官を制御し、ダーラナ(凝念)、ディヤーナ(静慮 )という深い瞑想状態に入ります。

最後のサマーディ(三昧)では、エゴが消えた本来の自分の姿に出会うことができます。

10分で理解が深まるヨガ哲学〜基本の八支則を超訳〜

ヨガとは体験する哲学!哲学を体験するって何だろう?

室内で安楽座で座りながらくつろいだ様子で瞑想をする女性
ヨガとは、体験する哲学だとすでに書きました。

体験がとても大切で、知識を暗記するだけでも、カタチだけの修業でも不十分です。

「ヨガとは心の働きを止滅することである」と哲学の偉い先生が言ったとしても、その先生の思考が誰よりも忙しく、誰よりも感情的だと、「本当にこの人はヨガの先生?」と疑いたくなってしまいます。

逆に、長時間練習をしてアクロバティックなポーズを沢山出来る実践重視の先生でも、ポーズの難しさばかり競っているようでは、ヨガの先生か新体操の先生か分からなくなってしまいますね。

ヨガでは、哲学と実践の両方を組み合わせることで真実に近づいていきます。

「ヨガは自分を知ること」と目的を理解しながらアーサナの練習を行うことで、その瞬間の感覚や深い呼吸を楽しみながら練習ができるようになります。

実践を行いながら、不要な雑念が弱まっていくのを感じた時に、初めてヨガが何かを理解することができます。

哲学を通して知り得た知識を、実際の体験に落とし込んでいく。そのプロセスで、初めて本当の自分に出会う幸せを感じることができます。

ヨガ哲学を学ぶための教典3選

前後開脚をしながら窓辺で本を読む女性
これからヨガの哲学を勉強したい人に代表的なヨガの教典を3つご紹介します。

原文そのままだと難しいのですが、教典をもとにした解説を読むことで、ヨガの土台にある考え方を知ることができます。

『ヨガ・スートラ』

今回のまとめで取り上げたヨガの代表的な教典です。8支則という実践方法を採用しています。

ヨガ・スートラは、もともと出家してフルタイムで修行するヨガ行者の人たちの教えです。

最終的には瞑想を深めて雑念を止めることで、本当の自分の姿に出会うことを目的とします。

10分でわかる!わかりやすいヨガ・スートラ

『バガヴァッド・ギーター』

ヨガ・スートラが瞑想を中心としたヨガなら、バガヴァッド・ギーターは日常生活の中で行うことができるヨガです。

自分の人生で行うべきことをダルマ(職務)と呼び、執着なくダルマを遂行することをカルマ・ヨガ(行為のヨガ)と呼びました。

仕事をしている時、食事をしている時、子育てをしている時、人生の全ての瞬間をヨガとして生きる方法が書かれています。

10分で分かる!バガヴァッド・ギーターのヨガを要約

『ハタヨガ・プラディーピカ』

ハタヨガ・プラディーピカは、アーサナ(ポーズ)を行うヨガをする人にとって1番身近な教典です。

ヨガ・スートラが瞑想を中心とした心のヨガであるのに対して、ハタヨガ・プラディーピカでは、身体のコントロールを通して、少しずつ心も穏やかな状態に導きます。

身体と心の関係性を学ぶことで、ヨガの練習がもっと深まってきます。

教典をパッと理解〜ハタヨガ・プラディーピカ編〜

ヨガ哲学を学ぶとヨガが100倍楽しくなる

哲学と聞くと、それだけで敷居が高い難しいものだと感じてしまいませんか?

そんなことはありません。

私たちが普段練習しているヨガについてもっと深く知ること、日常生活で感じていることを注意深く観察して、物事の本質を見つけていくのがヨガ哲学です。

ヨガジェネレーションでは、さらに分かりやすく動画でもヨガ哲学を解説していますので、そちらもぜひチェックして下さい。

ヨガジェネレーション講座情報

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