自分の感情、感覚に気づけている?【インストラクターのための話し方/聴き方】5

感情や感覚を無視しがち

「今の気持ちを教えてください」

という問いから始まる私のワークショップ。とまどって答えが出てこない人が、意外に少なくない。

「今の気持ち?????えっと自分、どう思ってる?」

自分に順番が回ってきた時、「…緊張してます」ぐらいは言えるかもしれないけれど、よく考えると、なぜ緊張しているのか、いつから緊張しているのか、どう緊張しているのかなど、その背景にはまだ足せる言葉がたくさんある。

誰かとのコミュニケーションでは、この背景にある心の動きを見つめ、それを表現するのがとても大事だ。それがあるからこそ、相手により多くの情報を渡すことができ、時に親密になり、時に衝突を回避できるのだ。

好き嫌い、怖い、頭くる!

ワークショップで他にもよく行うのは、抽象的な絵を見て沸き起こってくる感情を書き出すこと。これも案外難しい。抽象的だから象徴的なものはないのだが、そこには色があり、筆を置いた後がある。全体として、感情を揺さぶる「何か」がある。

しかし、じっと見ていても感情が浮かばない…。なかなか文字が出てこない。いや、これは本当は感情や感覚などは沸き起こっているのだが、それをキャッチできていないのだ。

「何か気持ち悪いな〜」とぼんやり思っていても、それをやりすごしてしまう。「すっきり感あるな〜」と思っても、それを感情や感覚として捉えない。キャッチしているのは、大きな大きな揺れ動きだけ。好き嫌いや怒りの感情だ。時には不安さえ、不安として認識できていない。よく聴かれる質問を耳にしたことがあるだろう。「それは不安なの? 不満なの?」

内観力

自分が今、どんな感情を持ったのか。心が動いた時、すかさずキャッチしよう。少しの心の動きも見逃さない。意識しているうちに、自分はものすごく心が動いていることに気づくはずだ。風が当たって気持ちいいなとか、部屋が片付いていてさっぱりしているなとか、皿の載せ方がグラグラして不安とか…。何でもいい。何でもいいし、どれも大事だ。

それは、内観を日常からするということだ。感情や感覚を日ごろからキャッチしていれば、人の心の機微も感じられるようになってくる。例えば、生徒さんのちょっとした表情や仕草や息遣い、声質などの変化を捉えられるようになってくるわけだ。

一事が万事。すべてのことはつながっている。内観力を育んでいこう。

Text:大嶋朋子(Yogini編集部/Lotus8)

『Yogini』編集デスク。専門学校卒業後、フリーランスライターとして健康本や医療本の執筆、高校野球誌『輝け甲子園の星』のメイン編集、ハワイ全島のガイドブック編集を経験し、ピークス株式会社を経てエイ出版社社員に。『RETRIEVER』『アロマじかん』『ハワイスタイル』編集長、『東京生活』副編集長を経験。その後は多くのトレーニング本、女性の心と体を豊かにする書籍などの編集に携わる。インタビューした数は数千人。現在は、心理カウンセリング、傾聴を学び、判断基準を「ヨガの八支則」のヤマ・ニヤマにおいて、日々、女性の心と体について知識を深めている。

関連タグ