ヨガの呼吸法で自律神経・血圧をコントロール。ポイントは左右の鼻の使い分け!

ヨガの呼吸法で自律神経・血圧をコントロール。ポイントは左右の鼻の使い分け!

今回は、呼吸と自律神経、左右の鼻との深〜いつながりについて。

「自律神経を整える一番簡単な方法は?」「右鼻は交感神経、左鼻は副交感神経って本当?」「左右の鼻を使い分けることで、血圧も変わる?」などの疑問に、インドで行われた研究結果をもとにお答えします!

ゆっくり呼吸するだけ!副交感神経でリラックス効果

体温調整、免疫機能、さらには食べ物の消化吸収から心臓の動きまで、私たちが生きるために必要な働きは「自律神経」によってコントロールされています。

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、ストレスをうまく対処できないと、交感神経優位な状態が続き、それが様々なストレス性疾患の引き金になると言われています。

副交感神経でリラックス効果
副交感神経でリラックス効果

自律神経のバランスを整える最も手軽な方法は、“ゆっくりした呼吸”です。呼吸は唯一、意識的にコントロールできる自律神経系だからです。

実際に、男子大学生を“ゆっくりした呼吸”を練習するグループと“速い呼吸”を練習するグループに分け、自律神経機能を調査した研究では、ゆっくりした呼吸を練習したグループでのみ、副交感神経活動の増加と交感神経活動の減少が確認されました。1)

このように“ゆっくりした呼吸”は誰でもできるため、ヨガ初心者の方がまず意識することとしてオススメです。

左右の鼻と呼吸・自律神経の関係

ヨガ中級者・上級者の方向けに、もう少し詳しく呼吸と自律神経の関係について見ていきましょう。

前回の記事で、ネーザルサイクルについて紹介しました。ネーザルサイクルも自律神経によってコントロールされているものの一つです。

自律神経&睡眠バランスは鼻の使い方で決まる!ヨガの呼吸を科学で検証2

身体の右側をカバーする神経と、身体の左側をカバーする神経のセットがあり、常にどちらかが交感神経優位、反対側は副交感神経優位になっています。これが切り替わる時、ネーザルサイクルも切り替わるという仕組みです。

左右のどちら側が交感神経優位かによって、身体に真逆の反応が現れます。

左右の鼻と呼吸・自律神経の関係
※エンドルフィンは脳内ホルモンで、分泌されると高揚感や満足感が高まります。長距離走などを行って引き起こされる「ランナーズハイ」に深く関わるホルモンです。

呼吸で血圧もコントロール

本当に、左右の鼻どちらを使っているかで、上記のように身体の反応は変わるのでしょうか?ここでは、60代以上の半数以上が悩む血圧について、インドで行われた研究を詳しくみてみましょう。

右鼻呼吸を行うグループと左鼻呼吸を行うグループに分け、それぞれ毎日6週間にわたって練習をしてもらったところ、左鼻呼吸を行ったグループのみ血圧が下がりました。2)
呼吸で血圧もコントロール

この研究で血圧が下がったグループが行ったのは、右鼻を指で閉じ、吸う息・吐く息ともに5秒間ずつ左鼻で呼吸する練習だけです。

同じ研究で、左鼻グループでは副交感神経が優位になり、右鼻グループでは交感神経が優位になったことも示されていることから、使う鼻によって自律神経のバランスが変わり、血圧まで変化することがわかりました。

ヨガの呼吸法で自律神経を意図的に活性できる!?

このことから、交感神経が優位になりすぎている時、例えば「血圧が高めの方」「イライラしている時」には、副交感神経を優位にする左鼻でゆっくり呼吸する練習がオススメです。

逆に「寝起きが悪い」「活力が湧かない」といった場合には、交感神経を優位にする右鼻呼吸を練習してみましょう。

左右の鼻を意図的に使い分けることで、通常は無意識のうちに使い分けている自律神経を自分で選択することができます。このことによって、血圧や心拍数、更にはホルモン分泌を変えることも可能です。

左右の鼻を上手に使い分けて、普通はコントロールできない自律神経を意のままに操ってみませんか?アクティブモードとリラックスモードのメリハリができることで、更に充実した生活を送れるようになるかも…?

参考資料

  1. Pal GK, et al, Indian J. Med. Res, 2004; 120:115–121.
  2. Pal GK, et al, N Am J Med Sci, 2014;6(3):145–151.