解剖学でアーサナを徹底分析!三日月のポーズ【練習編】

解剖学でアーサナを徹底分析!三日月のポーズ【練習編】

今回からヨガ初心者、ヨガ未経験の方向けにそれぞれのアーサナの練習方法やバリエーションを紹介したいと思います。

わたしは普段、外来の整形外科で勤めるメディカルヨガトレーナーとして多くの患者様のリハビリをお手伝いしています。来られる方は、老若男女幅広い層の方です。疾患も腰痛、膝痛、肩痛、足関節捻挫などさまざまですが、それぞれの疾患や年齢に応じて運動療法を施し、中にはヨガのアーサナを指導する場合もあります。その場合はアーサナのレベルを調節して、その人にベストな形を指導できるよう心がけています。

今回からそのノウハウをお伝えして皆さんの役に立てたらと考えています。初心者クラスの指導をするインストラクターの方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。今回は三日月のポーズを解説します。

三日月のポーズを解剖学的に分析

三日月のポーズは後屈系の代表的なアーサナです。足から手先までを意識して身体全体を弓のようにしならせることで綺麗で安全な三日月のポーズを行うことができます。

三日月のポーズを、解剖学的により細かく見ていくと股関節の伸展・脊柱の伸展・肩関節の挙上(屈曲)を行うアーサナです。この3部位が協調して身体を動かすことで足先から脊柱を通って手先まで綺麗にしなることができます。

とはいえ身体を強く反らすポーズのため、正しくできていないと腰への負担が大きいのも事実です。股関節の伸展と肩関節の挙上がうまく行えないと、腰の過剰な伸展につながり、腰痛になることもあるのです。正しい方法を身につけて、身体への負担を最小限にすることが安全に行うポイントになります。

安全に行うための練習法

これから紹介する練習方は、三日月のポーズだけでなく、他の後屈系のアーサナにも有効ですので、ぜひ普段の練習に取り入れてみてください。

股関節の伸展エクササイズ

まずは股関節をきちんと動かせるようにするために、股関節の伸展を促すエクササイズをしていきましょう。

バージョン1

1.イスに斜め、もしくは真横を向くように座ります
2.三日月のポーズの形になるように脚を前後に広げます

イスに座っているので比較的安定した姿勢でポーズを行えますので後ろの脚をしっかり伸ばすことを意識して股関節の前面を伸ばしましょう。

三日月のポーズ バージョン1
後ろの脚をしっかり伸ばすことを意識する

バージョン2

1.骨盤を動かないように手で骨盤を支えます

三日月のポーズ バージョン2
骨盤を動かないように手で骨盤を支える

2.息を吐きながらでも吸いながらでも、どちらでもいいので呼吸を意識しながら前足に体重をかけます。この時、股関節前面の硬さに負けて腰が反らないようにし注意してください

三日月のポーズ バージョン2
股関節への意識を高める

手を骨盤に置くことで、不安定になりがちな体幹や下半身が安定。股関節への意識を高めることができます。

脊柱の伸展エクササイズ

次は、しっかり脊柱が伸展し、無理なく背中を反らせられるようにするためのエクササイズを見ていきたいと思います。

1.膝を立てて座り写真のように、両手で床を押します

脊柱の伸展エクササイズ
膝を立てて座り、両手で床を押す

2.床を押す力を利用して肩甲骨を引き寄せながら胸を張り、脊柱全体を伸展させていきます

脊柱の伸展エクササイズ
甲骨を引き寄せながら胸を張る

肩関節の屈曲を促すエクササイズ

最後に、肩関節がしっかり屈曲し、腕を頭上に持ち上げながら、指先までまっすぐ伸ばせるようになるためのエクササイズを行いましょう。

1.チャイルドポーズでまずは肩関節の挙上の動きを促します。この時、お尻を天井に持ち上げるようにすると肩関節の挙上に加えて脊柱伸展の動きを促せるようになります。無理のない範囲でトライしてみましょう

肩関節の屈曲を促すエクササイズ
チャイルドポーズでまずは肩関節の挙上の動きを促す

2.膝立ちになり、タオルを持ちます

肩関節の屈曲を促すエクササイズ
肘をしっかり伸ばしてバンザイ

3.肘をしっかり伸ばしてバンザイをします。できるなら両手は頭上を越すようにすると三日月のポーズの時の形に近くなります。ポイントはお腹に力を入れて腰にストレスが加わらないように行うことです