記事の項目
スポーツ医学。と聞くといきなりハードルが高い分野のように感じることでしょう。しかし、皆さんはスポーツの指導者と同じように、生徒の皆さんの体を預かり、ヨガ(アーサナ)を指導しています。
体を扱う仕事をしている以上、私たちには体に対する学びを怠ってはならないという責任があるのではないでしょうか。今回は、トレーナーとしても活躍されている、株式会社E.M.Iの代表取締役である本橋恵美さんにお越し頂き、運動療法としてのヨガの可能性、そしてヨガ指導者の皆さんがスポーツ医学を勉強する意義をお話頂きました。
痛みや怪我に寄り添える。スポーツ医学に精通したヨガ指導者を目指す


皆さんのクラスにもいらっしゃると思うのですが、例えば『今日は腰が痛いですがヨガしてもいいですか?』『肩が上がらないんですが、ヨガが良いと聞いて今日来たんですが』という生徒さん。その様な生徒さんに対しヨガを教えるとなると、怪我を悪化させないように配慮したり、改善の方向に持っていこうとしたりすると、ヨガの知識は当然のことながら、更にレベルアップするためにスポーツ医学の知識も必要になってくるかと思います。
そこで今日は株式会社E.M.Iの代表取締役である本橋恵美さんにお越しいただいております。本橋さん、よろしくお願いします。



ヨガやピラティスは運動療法として有効である


一方で私は、ヨガの指導をしながら ヨガのポーズの動作によって怪我や機能不全が起きている原因を探っていて、ヨガが運動療法としてとても秀悦なメソッドであると気づいたんですね。そこで医療従事者の方と共通言語・同じ認識を得る為にはもっとスポーツ医学について知らないとけない思い、独学で習得する様になりました。学会に参加したりスポーツ医学の本を読んでいると、意外と言葉が慣れてきたり、耳慣れして理解が出来るようになってきて、更にヨガがスポーツ療法として活用できるのでは無いかと、確信が持てるようになってきました。
それを先生方に、「ヨガいいですよ、こういう動作からこういう評価ができ、これをどれぐらい続けると改善するんですよ」とお勧めするようになりました。しかし、医学の世界では数字が全てなんです。いくら「いいですよ」という風に言っても、根拠になるものが無ければ説得力にかけるので、大学・クリニックの先生に協力して頂き、研究するようになりました。色々な方に協力して頂き、ヨガを実際に用いて、「どのぐらいの障害率が減った」とか、「関節の可動性がただのストレッチに比べてどれ位ヨガの方が有効であるか」とか、「術後にヨガを用いたらこんな結果が出た」とか、そういった研究をしました。すると結果がやはり出るんです。ヨガは優秀なので。その数字を以って学会や書籍に紹介する機会を持つことにより、だんだんと、この2年くらい、ヨガやピラティスが有効であることがドクターに認知され始めました。

整形外科の外来は問診たった5分!?ヨガ指導者の可能性


その問診は私たちがクライアントさんと、レッスンの時やパーソナルの時には1時間くらいかけてお話する内容と非常に似ているなと感じました。つまり、もしインストラクターがある程度のスポーツ医学の知識を身につけていたら、お客様の痛みやその原因がポーズによって改善されるのではないかという、そういった部分が見えてきます。
もちろん、ドクターと同じように、診断は出来ないですが、評価をすることは可能だなという風に感じています。そしてその評価によって、病院にいく必要があるのか、それとも病院へ行かなくても運動によって改善することが出来るのか、ヨガを継続していいのかどうかという、その見極めを出来るようになるのかなと感じています。ただ、その為にはスポーツ医学を学ぶ必要があるとも感じています。

生徒の悩みに更に寄り添える。スポーツ医学を学ぶ意味

痛みとか機能不全がない方でも、「どうしてこのポーズが出来ないんでしょう?」という質問があった時に、どこをどう改善すれば動かせる様になるのかを、体の力学であったり機能解剖であったりの面から、原因が判るようになるので、的確に、「この部分をこの位動かすとここが変わってこう変化してきますよ」みたいな感じで、理論に基づいた言葉がけができる様になったり、実際にポーズがとれるように変化が得られるような結果になるかと思います。

医療業界でも注目。更なるヨガの可能性

たまたま私はこの10年位の間で、色々な先生方と出会う機会を持たせて頂いて、しかも今回会社のアドバイザーになって下さった先生方が7人いらっしゃるんですが、なんて表現したらいいのでしょうか、私は内緒で七福神とよんでいるのですが、世界に誇るスーパードクターたちなんです。単に手術がうまいとか、見てきた患者さんが多いとかだけでは無く、研究者としても長けていて人としても魅力的です。全員スポーツドクターでスポーツ好き、患者さんもスポーツ選手が多く、運動によって改善していく、という所に強く共感されています。私の、「ヨガの先生方にスポーツ医学について学んでもらいたい」という熱い想いを伝えています。でも私が最初に感じていたように、用語がわかり辛かったり距離を感じている人が多いので、出来るだけ判りやすく伝えて欲しいと伝えています。
そして、各分野のスペシャリストですので、肩とか、脊椎、骨盤、股関節、膝、足首とか、その分野で起きているヨガで起こりうる、怪我であったりとか、或いは怪我が起きている人に対して、その部分はどういう風に対処したらいいのか、といった事を講義して頂きます。スーパードクター七福神から学べる、この機会を逃して欲しくないと思っています。



いかがでしたか?徐々に、医療業界でも運動療法としてのヨガが注目されています。スポーツ医学を勉強することはヨガ業界全体のレベルアップにもつながるはずです。
これからのヨガ業界の可能性を広げていくのは皆さんお1人おひとりだと思います。
ぜひ、医学は難しい世界、と思って嫌煙するのではなく、勉強していく分野の1つにしてみてはいかがでしょうか?