情報に振り回されない生き方をヨガと瞑想で

情報に振り回されない生き方をヨガと瞑想で

多くの情報がありすぎて、ちょっと疲れてしまった経験はありませんか?インターネットで多くの情報を得ることができる一方、情報がありすぎて何が本当なのか、わからなくなる時があります。

情報社会を生きる中で、大量の情報にどのように向き合い、どんな基準で正解を判断していけば良いのでしょうか?実は、その答えはもう既に皆さんの中にあるのかも…?情報に振り回されない生き方を一緒に考えていきましょう。

真実も嘘も溢れる情報社会

女性が深呼吸をしているところ
真実も嘘も溢れる情報社会

ここ数ヶ月、目にする情報が急に増え少し疲れを覚えたのを実感しました。大きな要因は、「自粛生活の中でスマホに触れる機会が増えたこと」ではないかと考えています。自分自身が情報にアクセスする時間が増えたことに加え、発信する人数・回数も飛躍的に増えたのではと思うのです。

この期間に身をもって体感したのは、私たちが得る情報には真実だけでなく、“不確かな情報も含まれている”ということです。私たちは、インターネットという便利さを享受する一方で、これらの情報を精査する能力も求められるようになりました。警視庁が発信する“不確かな情報を判断するヒント”1)を紹介します。

  1. 強調表現、不安をあおる表現や急がせる表現が多い
  2. 生命や金銭に関わる内容
  3. 情報源が記載されていない
  4. 伝聞形式で書かれている
  5. 拡散を勧めている
  6. (警視庁「不確かな情報に惑わされないために」抜粋)

過去の記事で紹介している事例が良い例だと思います。実際に検索すると、「体温が1度下がると、免疫が30%下がる」という情報が多くヒットしましたが、これらの記事には (3)情報源が記載されていない という共通の特徴がありました。こうした特徴があっても、同じような情報が沢山あれば、信じてしまいそうになるのが人の常です。

ですが、記事内で私がやっていたように、根拠となる論文があるかまで全ての情報について調べるのは現実的ではありません。では、このように溢れる情報に私たちはどう付き合っていくのが良いのでしょうか。一緒に考えていきたいと思います。

みんなが信じている正解と、科学が示す真実

代謝を例にしたいと思います。代謝は高い方が良いと信じていませんか?実際に、SNSを通じてアンケートを取ったところ、約95%の方が「代謝は高い方が良い」と回答し、「代謝を高くするために具体的な行動をしている」という人が60%以上でした。

事実として、基礎代謝量は10代をピークに加齢と共に低下します。だからこそ、年齢を重ねると痩せにくくなるのですね。そして、万が一“肥満”となれば、健康診断で「生活習慣病に気をつけて」なんて言われかねません。なるほど、代謝は高い方が良さそうです。

一方でこんな説もあります。「カロリー制限で代謝を落とすと、老化を遅らせることができ、寿命が延びる」というのです。実際に人での研究2)も行われています。カロリー制限をすることで、代謝だけでなく、血圧やコレステロールなど生活習慣病のリスク因子が下がることが示されているのです。これだけ聞くと、代謝を落とす事で健康になれそうだと思いますよね。

実際に、高血圧と肥満に悩みカロリー制限の研究に参加した人は、そのどちらも改善したそうです。しかし、彼は実験への参加を途中で辞めてしまっています。理由は、「エネルギーも体力も奪われて、こんな生活にうんざりしたから。」その後彼は、高血圧も肥満も再発しています。しかし、より充実した生活を送れている実感があるそうです。

答えは自分の心と身体が知っている

答えは自分の心と身体が知っている
答えは自分の心と身体が知っている

さて、代謝は高いのと、低いの、どちらが良さそうですか?ある側面で見ると、代謝が高い方が良さそうですし、他の側面から見ると低い方が良さそうでしたね。しかし、インターネットで検索していると、偏った側面からの情報しか目に入らないことが往々にして起こります。そして、その情報が正しいと判断して「こうあらねばならない」と自分の首を絞めていないでしょうか?

特に、健康に関する情報は、仮に正しい内容であっても、自分に合った情報なのかはわかりません。一人ひとり体質もあるし、好き嫌いもあるからです。効果がある方法でも嫌いな方法を我慢して行っていれば、期待する効果は得られないかもしれません。

私は理系出身だからか、何事にも「え、根拠は?論文あるの?」と言ってしまう性格ですが、ヨガをしていて気がついたことがあります。それは、「答えは自分の心と身体が知っている」ということ。代謝に関しても、高ければ良いものではなく、自分の一番良いコンディション、というところがあるのだと思います。そして、ベストなコンディションを保てているのであれば、人がなんと言おうと、気にする必要はないのではないでしょうか。

自分と繋がってもっと生きやすく

自分と繋がってもっと生きやすく
自分と繋がってもっと生きやすく

「答えは自分の心と身体が知っている」とは言っても、どのように判断すれば良いのでしょうか?まずは、自分の心と体に興味を持つことです。学生時代、聴講していたスポーツ栄養学の先生が、興味深いことを仰っていました。

「計算で出てくる数字はあくまでも目安。毎日自分の身体を動かして、触って、観察して、初めて自分にとってのベストな体重がわかる」

まさしく、「答えは自分の身体が知っている」ですね。

ヨガもとても重要な役割を果たしてくれます。呼吸・アーサナ・瞑想を通して自分の心と身体の状態を知る手助けになるからです。また、瞑想をすることで自分の中に“思い込み”があり、それによって「自分の首を絞めていた」ということに気がつくかもしれません。

情報社会を生きる私たちは、とめどない情報のシャワーを浴び続けているようなものです。その情報に惑わされ、不必要な心配や悩み、思い込みばかりが増えてしまった経験が私にもあります。そんな時には、ゆっくりと深呼吸してから、心と身体に“自分にとっての正解は何か”聞いてみませんか?情報の氾濫で気がついていなかっただけで、とてもシンプルに、答えはそこにあること、既に自分が知っていることに気がつくかもしれませんよ。

最後に、本記事執筆にあたり、アンケートにご協力頂いた皆様に、この場をかりて感謝申し上げます。ありがとうございました。

参考資料

  1. 警視庁 不確かな情報に惑わされないために(参照日:2020年6月16日)
  2. Ravussin, E., et al, J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 2015 Sep;70(9):1097-104.