重要性を科学が証明!1年の初めに“サンカルパ”を考えよう

重要性を科学が証明!1年の初めに“サンカルパ”を考えよう

自分の人生の目的や意義は、明確ですか?そして、それを日々意識することはあるでしょうか。

ヨガでは、決意や誓いのことを“サンカルパ”と呼んでいます。自分の内から湧き出てくる“心からの願い”を成し遂げようとするとき、それを自分に対して誓うのです。

心からの願いは、自分の人生に目的や意義をもたらすと言われています。そして、この人生の目的があるかないかが、寿命に大きく関わるということが分かってきました。

人生の目的を持っている人は、寿命が長い

人生の目的があいまいな人は、はっきりしている人に比べて2倍も死亡するリスクが高いことが分かったのです。1)このことは、アメリカのミシガン大学の研究によって明らかになりました。

研究ではまず、50歳以上の男女7000人に対して「人生の目的」をどの程度持っているか、下記のような質問を行いスコア化します。

  • 将来について計画を立て、計画を実現しようとすることを楽しんでいる。
  • 自分の日常行動はささいなことで、重要ではない。

……等

そして5年後に、このスコアと死亡率の関連性を検討した結果、低スコアの人は高スコアの人に比べて2倍も死亡率が高かったのです。

このことは、ヴィクトール・E・フランクルの名著『夜と霧』でも触れられています。この本は、フランクルが第二次世界大戦中、ナチスの強制収容所に収容されていた経験を基に書かれたものです。

フランクルによると、強制収容所という絶望的状況を生き延びた人と、そうでない人を分けた違いも「生きる目的を見いだせたかどうか」だと言うのです。

寿命が伸びる!? サンカルパを明確にするワーク

この事実を知った時、私はサンカルパの重要性に気が付きました。サンカルパを明確にすることは、そのまま人生の目的や意義を明確にすることに繋がると思うからです。そこで、私が実際にやって良かったと思うサンカルパを明確にする方法を2つご紹介します。

サンカルパを明確にする2つの方法
サンカルパを明確にする2つの方法

イメージ瞑想

やり方
  1. 落ち着く姿勢になる(座っていても、寝ていてもOK)
  2. 目を閉じる(目を閉じるのが不快な場合は、半眼でもOK)
  3. ただひたすら呼吸に注意を向ける(約2分)
  4. 未来の自分が、自分の人生を振り返っているところをイメージする
  5. 自分に下記のような質問を投げかける。
    • 人生の中で幸せだったことは何?
    • 逆に、後悔したこと、反省したことは何?
    • 人生の中で大切にしていることは何?

    ……等

  6. 再び呼吸や身体の感覚に注意を向け、瞑想から少しずつ目覚める
  7. 浮かんできたキーワードを書き出す

ジャーナリング

やり方
  1. 自分が尊敬する人、大好きな人を3人思い浮かべる
  2. その3人について、下記の質問について思い浮かぶことを紙に書く(5分)
    • どういうところが尊敬できるのか?
    • なぜ大好きなのか?

    ……等

  3. 書いたものを読み直し、キーワードを書き出す

ジャーナリングのポイントは、ペンを止めないことです。思いついたことをどんどん書いていきます。5分の間に書くことがなくなったら、「書くことがない、書くことがない」と書き続け、また何か頭に浮かんでくるのを待ちましょう。

イメージ瞑想やジャーナリングはテーマを変えてもできます。例えば、イメージ瞑想でご紹介した“未来の自分が自分の人生を振り返ったら”というテーマでジャーナリングをしてもOKです。

サンカルパを、まとめよう

上記のワークで出てきたキーワードをサンカルパにまとめましょう。この時重要なのは、“現在形”“肯定形”で文章にすることです。

例えば……

<例1>
×些細なことで怒らない
○愛と慈悲、平和な気持ちを重んじながら生きている

<例2>
×常に感謝を感じられますように
○私は常に感謝を感じ、それを伝えている

<例3>
×ヨガを毎日練習し、上達しますように
○ヨガを毎日60分練習している

キーワードは「肯定形」でつくるのがポイント
キーワードは「肯定形」でつくるのがポイント

“肯定形”でつくるというポイントは、脳の特性を考えるととても重要なことです。脳は、「否定」を理解できないと言われています。

つまり、否定形のサンカルパ(ex.怒らない)を作ると、否定したい内容(怒る)が脳に届き、実行されてしまうのです!よく耳にする話ですが、実は科学的にもその根拠が示されています。

「シロクマのことを考えないでください」と言われるとシロクマのことを最も考えてしまう、というパラドックスが実験2)により明らかにされているのです。ですから、“怒らない”などの否定語が思い浮かんだ方は、それが実現された状態を思い浮かべ、その時の自分の姿(例:平和な気持ちを抱いている 等)をサンカルパにしましょう。

サンカルパを活用しよう

サンカルパができたら、それをどんどん活用していきましょう。オススメの方法を3つご紹介します。

  1. 手帳など、良く目にするところに書き留める
  2. ヨガや瞑想の前に、サンカルパを唱えてから練習を始める
  3. 瞑想中、サンカルパが既にかなっている姿をイメージし、その時の感情や身体の状態を味わう

サンカルパを忘れないために、短いバージョンを作るのもオススメです。こうすることで、忘れにくく、唱える回数も増えやすくなるでしょう。

  1. 愛と慈悲、平和な気持ちを重んじながら生きている
  2. 愛!平和!

  3. 私は常に感謝を感じ、それを伝えている
  4. 感謝!表現!

  5. ヨガを毎日60分練習している
  6. ヨガ!60分!

1年のはじめのこの時期、サンカルパを今一度考えるのにこれほど良いタイミングはありません。ご紹介したワークを使って、自分のサンカルパと向き合ってみてはいかがでしょうか?

参考資料

  1. A Alimujiang, et al, JAMA Netw Open, 2019;2(5):e194270
  2. DM Wegner, et al, J Pers Soc Psychol, 1987 Jul;53 (1), 5-13