世界最古のヨーガ研究所へ

「これが本場インドのヨーガなんだ」
私は震えるほど感動しました。
今回、私はインドにあるカイヴァリヤダーマヨーガ研究所を訪れました。
施設の最寄り駅から、庶民の足であるリキシャに乗って約10分。自然豊かな風と街の賑やかさを感じながら、カイヴァリヤダーマヨーガ研究所に到着しました。
建物の中に入ると、自然の中の静けさと研究所のような心地よく引き締まった空気感も感じられて、「いよいよ到着したんだ」と心がワクワクしました。
ここは世界最古のヨーガ研究所と言われており、インドの伝統的なヨーガの実践をしつつ、ヨーガの効果を科学的に研究・証明したり、学生への教育を行ったりしています。
私がこの研究所を訪れたのは、私のヨガの先生である中村尚人先生の影響でした。先生から、カイヴァリヤダーマヨーガ研究所での素晴らしい話を聞いて、「自分も本場のヨーガを体験したい!」と思い、この場所を訪れました。
私はここで、2週間のソーハムプログラム(SOHAM Program)に参加しました。SOHAMとはサンスクリット語のマントラですが、ここではSELF OBSERVATION(自己観察)HEALING AWARENESS MANTRA(癒しの気づきをもたらすマントラ)としても紹介されていました。
このプログラムは、自己観察を通して身体と心の状態に気づき、癒しへとつなげることを目的としたヨーガの実践と理論の統合的なヨーガセラピーの側面を含みます。
プログラムの内容

私が今回宿泊した所は、トイレ・シャワールームが共有の1番値段の安い個室でしたが、とても綺麗で、快適な生活を送ることができました。
初日はプログラムのオリエンテーションと医師による問診があり、ヨーガの練習のみでなく、ヨーガセラピーの側面も大きく、自分の身体の不調を根本から解決することができるかもしれないと感じました。
1日のスケジュールは、このような日程でした。
6:30〜6:45 クリア(身体の浄化)
6:45〜8:00 朝のヨーガレッスン
8:00〜8:30 朝食
8:30〜10:00 医師への相談(必要に応じて)
10:00〜 自然療法(マッサージやサウナなど)
12:00〜13:00 ランチ
14:30〜15:00 午後のハーブティーとフルーツ
15:00〜16:00 カイヴァリヤダーマ式シャヴァーサナ
16:00〜16:30 デトックスジュース
17:00〜18:15 午後のヨーガレッスン
18:30〜19:00 チャンティング、トラタク
19:00〜20:00 ディナー
20:00〜21:00 座学(自由参加)
このように、1日のスケジュールは過密ではなかったので、施設内でゆったりと過ごすことができました。
ヨーガのレッスンに関して

カイヴァリヤダーマヨーガ研究所は、インドの古典的なヨーガに現代の科学的な知見を加えたヨーガを実践しています。
アーサナの際は、一つ一つのポーズをゆっくりと行いながらポーズをじっくりと味わい、自分を観察することを大切にします。ポーズ一つ一つに意味があり、それぞれのポーズで身体の反応も違い、自分の身体としっかりと対話できるとても贅沢な時間だと感じました。
また、プラーナヤーマ(呼吸法)や瞑想、マントラなどもとても丁寧に実践するので、インドの伝統的なヨーガをしっかりと体験することができました。
数日間練習を繰り返して、身体と心が慣れてきた頃、最後のシャヴァーサナの時に、先生はいつもより長めにマントラを唱えてくれました。そして、先生はこう言いました。
「何も考えずに、ただ身体を観察して、マントラを受け取って」と。
そうしたら、なんとも言えない初めての感情や感覚が身体中を巡り、全身が震えました。それはとても神秘的で、パワーに満ちていました。
その他のプログラムに関して

1日2回のヨーガレッスンの他にも、朝のクリア(浄化)はとても印象的な体験でした。
私は、ジャラネイティ(鼻うがい)やスートラネイティと呼ばれる、ゴムチューブを鼻から通して口から出し、鼻腔を洗浄する方法を練習しました。鼻うがいは日本でも実践していたため問題なかったのですが、スートラネイティはとても大変でした。もともと喉への刺激に敏感でえずきやすい体質のため、鼻から通したゴムチューブを口からキャッチするのがとても難しかったのです。毎回吐きそうになりながら、涙をボロボロ流しつつ練習していました。とても辛かったのですが、先生から「苦い薬は効果があるでしょう?」と言われ、「確かに!」と納得し、なんとか練習を続けました。
また、自然療法の時間には、インド式のマッサージや土パックなどのセラピーも受けることができました。毎回「今日は何をしてもらえるんだろう?」と楽しみでしたが、時にはただの足湯やジャグジーのお風呂に入るだけの日もありました。しかし、「インド人にとってはお風呂に入ること自体が特別なことなんだな」と感じ、日本では毎日お風呂に入れる環境に感謝した瞬間でもありました。
ある日、英語での説明がよく聞き取れないまま「OK」と答えてセラピーを受けていたら、なんと腸洗浄の日だったようで、腸にチューブが挿入されてきて驚きました。気づいた時にはもう遅く、なすすべもなく、無気力のまま受け入れるしかありませんでした。「もう二度と体験しなくていいや」と心から思いました。笑
2週間を通じて印象に残ったこと

この2週間は本当にたくさんの学びがありましたが、特に印象に残っていることが3つあります。
1つ目は、自分を観察する大切さです。
先生は、ヨーガのレッスンの際によく「ただありのまま自分を観察して」と繰り返し伝えてくれました。さらに、より深く自分を観察するために、目を閉じることと、ゆっくり丁寧に動くことを大切にしていました。最初は、とてもゆっくりと動くことに慣れず違和感がありましたが、徐々にその動きが心地よくなっていきました。
そして、プラーナ(生命エネルギー)というものも非常に大切にしていると感じました。私はプラーナという言葉自体は知っていましたし、本などを通じて意味もなんとなく理解しているつもりでした。しかし、実際にはそれが何なのか、どんな感覚なのかはわかっていませんでした。
アーサナやプラーナヤーマの実践の際、目を閉じて、ゆっくりと動き、自分を観察することで、自分の身体の中に、普段は気づけない神秘的な“何か”を感じることができました。ただし、目を開けたり、雑に動いたり、自分への観察を怠ったりすると、それはどこかへ消えてしまうような感覚でもありました。
「もしかしたら、あの神秘的な何かが“プラーナ”なのかもしれない」そんなふうに感じたのです。
アーサナ、プラーナヤーマ、瞑想、マントラ。
普段と同じようなことをしているはずなのに、普段のヨーガとは全く違う、インドの伝統的なヨーガならではの神秘的な空気を肌で感じました。
この言葉にできない感覚は、これからも大切にしていきたいと強く思いました。
2つ目は、Be with breath(呼吸と共に)の大切さです。
「Be with breath(どんなときでも、自分の呼吸を感じなさい)」これもヨーガのレッスンで、先生がよく伝えてくれた言葉です。これはアーサナの練習中だけでなく、普段の生活の中でも非常に大切なことだと感じました。
たとえば、ミスをして焦ったとき。先のことが不安になったとき。些細なことで心がざわついたとき。そんな瞬間こそ、自分の呼吸を感じてみると、呼吸が自然と穏やかになり、気持ちも落ち着いていきます。そして、ふと気づくのです。「あ、今の自分はこんな状態だったんだ」と。
呼吸を感じることは、自分自身を見つめる入り口になるのだと実感しました。
3つ目は、Surrender(サレンダー)=諦める・手放すことの大切さです。
これは特にシャバーサナの時に、先生がよく「サレンダー」という言葉を使っていたことが印象に残っています。ヨーガ哲学を学ぶ中で、これは私のものだ!という執着や、これからどうなってしまうのかという未来への過剰な不安などを手放すことが大切だと学んできました。しかし、手放すという言葉のイメージだけでは、私の中でどうしても未練が残り、完全には手放しきれないことも多くありました。
しかし、サレンダー(諦める)という言葉を使うことで、「本当はこうなるはずだったのに」とか「もっと頑張らなきゃ」という思考を諦めることができ、余計な考えにエネルギーを使わずに済み、より今この瞬間に集中できるのだと感じました。
まとめ
この2週間は、私にとって本当に素晴らしい時間でした。
「インドの伝統的なヨーガを体験したい!」という気持ちで訪れましたが、自分の予想をはるかに超える感動的な体験と学びがたくさんありました。
神聖で美しく、そしてパワフル。
「これがインドの伝統的なヨーガなのだ」と心から感動しました。
ヨーガは、ただのエクササイズでも健康法でもなく、とてつもないパワーを秘めた素晴らしいものなのだと改めて実感しました。
もし本格的なヨーガを学んでみたいと思っているなら、カイヴァリヤダーマヨーガ研究所は本当におすすめです。
ぜひ、本場インドの伝統的なヨーガを現地で味わってみてください。
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