健康の維持・向上、心の安定や美容など、さまざまな目的でヨガをしている方がいらっしゃるかと思いますが、ヨガは海外では医療の補助や代替ケアとしても注目されています。
文献検索サイトに「Yoga」と入力してみると、2024年9月末までに約8,700件を超える研究報告があり、科学的な視点からもヨガの効果が確認されつつあります。
今回は、2019年にアメリカから報告された妊娠中の心身のウェルビーイングに対するヨガの効果について紹介します。
1. 研究の背景

妊娠中の腰痛は、ほとんどの女性が経験する悩みの一つとして世界中から声があげられています。妊娠性腰痛は、母体の体重増加、脊柱の湾曲の変化、腹部筋力の低下、重心の変化、関節のゆるみなど、妊娠中に特有の身体変化によって引き起こされると考えられています。また、腰や骨盤周囲の関節に負担がかかることで、腰痛だけでなく転倒のリスクも高まります。
妊娠性腰痛は、不眠症、日常的な活動の制限、運動不足、うつや不安、鎮痛剤の使用、慢性的な腰痛とも関連していることが、これまでの研究からも分かっています。
また、社会的な要因による精神面へのストレスなどが、母体と胎児の両方の健康に影響を与えることも分かっており、未熟児、低出生率、産後うつ病とも関係があります。
妊娠中の適度な身体的運動は、転倒の予防と妊娠性腰痛を軽減させる効果だけでなく、自信を持ち自己効力感を高める可能性が期待されています。
ヨガは、ストレッチ、体幹部の強化、バランストレーニングなど含む身体的運動の側面と、マインドフルネス、受容(ありのままを受け容れること)、自己への思いやりなどを養う精神的側面の両方を持ち合わせています。
産前ヨガを行うことで、腰痛、ストレス、生活の質、うつや不安、陣痛や出産時間に効果があることは、これまでにも世界中から報告がよせられています。
そこで、今回の研究では、米国都市部にある医療センターの患者を対象に、12週間の出産前ヨガプログラムを提供し、妊婦に対するヨガの介入の実現可能性・安全性を確認するとともに、腰痛等の痛みを含めた母体のウェルビーイングに対する効果を検証しました。
2. 研究の方法
この研究には、妊娠周期12~26週の健康な妊婦(18~39歳)20人が参加しました。参加者は2つのグループに分けられ、1つはヨガクラスを行ったグループ11名。もう1つは、ヨガは行わず教育サポート(専門家によるセルフケア、栄養や運動、健康や病気に関する指導、産前・産後に関連するトピックスを提供)を行ったグループ9名。どちらのグループも週に1回の頻度で、12週間にわたるプログラムを実施しました。
この研究で提供されたヨガプログラムは、産前ヨガの指導者、心身の専門家や研究者、産科ケアや助産の専門家と医師らの専門家グループによってつくられました。プログラムは以下のポイントを重要視しています。
- 自分自身に対して優しくあること
- 伝統的なヨガの要素であるリラクセーション、呼吸法、マインドフルネス、身体的ポーズが含まれること
- 妊娠期に特有の転倒や腰痛を予防をしたり、バランス能力を改善すること
アーサナには、チャイルドポーズ、四つ這い、キャット&カウ、ダウンドッグ、山のポーズ、椅子のポーズ、女神のポーズ、トリコナーサナ、戦士のポーズⅡ、がっせきのポーズが含まれました。
3. 研究の結果

クラスの平均出席率は、ヨガグループが74%、教育サポートグループが90%。12週間後の完了時の被験者維持率は、ヨガグループが81%、教育サポートグループが77%でした。
どちらのグループも提供されたプログラムに対して肯定的なフィードバックを報告しており、ヨガグループの全員が妊娠中の友人にヨガプログラムを薦めたいと回答しています。
どちらのグループでも、妊娠や出産に伴う一般的な合併症が数件あったものの、そのプログラムが起因となって発生した健康への影響、有害事象はありませんでした。
ヨガグループと教育サポートグループを比べた結果、腰痛障害に対する効果に差は見られなかったものの、歩行機能の指標をもとにした評価では、ヨガを実施することで以下の日常の運動機能を高める効果があることが認められました。
- 歩行速度の向上
- 両足支持割合の改善
- 椅子からの立ち上がり速度の向上
- 方向転換機能の向上
さらに、産前・産後のメンタルヘルスが、12週間のヨガプログラムの実施によって向上していることも報告されました。
出産時における比較では、平均妊娠期間、母体体重、分娩第1期の所要時間に差は見られませんでしたが、分娩第2期の所要時間がヨガグループでは有意に短くなりました。
出産体験のインタビューでは、ヨガグループから、自分に対して自信が持てた、より安全だと感じられた、という声がありました。
以上のことから、ヨガは妊婦に対して安全で取り組みやすく、身体的にも精神的にも産前・産後のウェルビーイングに大きく貢献できる可能性があることが分かりました。
この研究の参加者には、易しい内容に修正されたヨガが提供され、インストラクターや専門家からは、自分の体に耳を傾け、必要に応じてポーズを変え、自分に優しくするようにとアドバイスがありました。ヨガは一人ひとりの状態に合わせて内容や強度を選ぶことができるのもいいところのひとつだと思います。無理をすることなく、その日その日にできる心地よい内容を心がけ、妊娠中の心身の健康にヨガを役立ててみてはいかがでしょうか。
参考文献のFull TextをPDFでダウンロードすると、付録(Appendix)にヨガクラスで行われたポーズの名称と流れが掲載されています。これを機に、よかったらアクセスしてみてください。
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