掃除機で床を掃除する女性の足元

年末は大掃除で部屋も自分も整えよう!~日常に取り入れるシャウチャ(清浄)の実践~

年末になると大掃除を行う人も多いと思います。
部屋が綺麗になるだけでも、急に神聖なエネルギーが流れて、心が洗われるのを感じますね。

ヨガにもシャウチャ(清浄)という教えがあり、清潔さが幸せへの1つの鍵だと考えらえています。

日常で取り入れやすいヨガ、シャウチャについて考えてみましょう。

幸福を知るためのシャウチャの教え

ガンジス川で両手で水を掬い上げる赤い布を纏った女性
そもそもヨガは純粋さ、清浄さを高めるものであると知っていますか?

ヨガの思想はサーンキャ哲学を土台にしていますが、サーンキャ哲学ではサトヴィック(純質)な状態こそが真実を見るための鍵だと考えています。

サトヴィックな状態とは、純粋で、汚れなく、軽く、光を通し、明るく、正知を知ることができる状態であり、幸福に繋がります。

汚れがないということは遮るものが無く光を通します。つまり、視界が明るくなり、真実を知ることができます。

今まで妄見によって生まれていた苦悩は消え去り、自分自身の本当の輝きに気が付くことができます。

だからヨガでは、あらゆる方法で不浄を取り除こうとします。

一般にシャウチャは、自分の身体を清潔に保つことを意味しています。

そのためインドのヨガ修行者は、毎朝聖なるガンジス川で沐浴をし、汚れを洗い流します。

しかし、シャウチャのコンセプトが分かれば、身体を洗う以外のあらゆる清浄さを保つことが必要だと分かってきます。

暗闇から光へ。~全てのヨガは純粋な輝きを目指すもの~

自分の周囲を整えると自分の心も整う

緑豊かな木々の間を歩く女性
仕事の繁忙期などで疲れが溜まってくると、仕事の山を越えたら自然の美しい場所に旅行に行きたいと思う人も多いのではないでしょうか。

旅行までしなくても、気分を切り替えるために外でウォーキングをしたら、家の中でモヤモヤとしていた気持ちが晴れてくることがあります。

私たちは、いる場所のエネルギーの影響を受けています。

散らかっている部屋よりは清潔な部屋の方が場所の純粋さが高く、屋内よりは野外の方が、エネルギーが流れて洗われています。

屋外でも都会よりは自然の方がより純粋です。

呼吸によって外と内のエネルギーを入れ替える

ヨガではプラーナーヤーマ(調気法)という実践がありますが、これは単純に呼吸を深めて肺の機能を向上させるものではありません。

プラーナーヤーマのプラーナとは「気」や「生命エネルギー」を意味します。

私たちの身体的な活動も、心の働きも、人間が生きるための活動は全てプラーナの流れだと考えられています。

プラーナの流れが滞ると不純性が高まります。それは、コレステロールの取りすぎで血管が詰まってしまうのと同様です。

血液がドロドロになってしまうように、プラーナも不純な状態になり、流れが滞ってしまいます。

体内のプラーナの状態は、プラーナーヤーマの練習によって純粋なものにすることができます。

しかし、呼吸をするときに取り込む周囲のプラーナーの状態が不純であれば、どうしても悪い影響を受けてしまいますね。

例えば、部屋が散らかっている時には、何となく怠慢になってしまい、ゴロゴロと横になってスナックを食べたくなってしまいます。

逆も起こり得ます。自分の心の不純性が周囲に影響を与える場合もあります。

仕事でストレスや疲労が溜まっている時、自分の内側の不純性が高まってしまっているので、気が付くと部屋が汚れていることはありませんか?

部屋を片付けることで自分の内側の幸福に結びやすくなる

自分の内と外のプラーナの状態は繋がっている。それに気が付くと、大掃除の大切さが分かってきますね。

私たちは無意識に周囲のエネルギーの影響を受け続けています。

自宅、職場、自分が長い時間過ごす場所のプラーナは清浄で、流れが滞らないように気を付けるべきです。

まさに、日常生活で行うべきヨガですね。

自分の身体の純粋さを高めるシャウチャ

鏡の前で鼻うがいをする女性
プラーナの清浄さを上げるために流れが大切なことが分かると、自分の内側の大掃除もしたいと思いませんか。

物質的にな身体の中で詰まっているところがあると、プラーナの流れにも影響してしまいます。

そのため、ハタヨガでは身体中の管を洗浄して、プラーナの流れを清浄化します。

『ハタヨガ・プラディーピカ』の第2章にはシャット・カルマ、またはシャット・クリヤと呼ばれるテクニックが出てきます。

シャット・カルマは鼻腔、食道、胃腸などを洗い流す6つのテクニックです。

例えばネーティは鼻を洗う方法です。伝統的に2種類のネーティが行われてきました。

  • ジャラネーティ:鼻うがい用のポットを使い、水で鼻孔を洗う。片方の鼻から水を入れ、他方の鼻から流す。
  • スートラネーティ:糸を使った方法。撚った細い布を鼻の穴から入れ、口から出して、ふいごのように数回動かす。

鼻腔が清浄であることはヨガにとってとても重要です。

プラーナーヤーマ(調気法)は瞑想状態に導く重要な練習ですが、息がスムーズに通らないとプラーナの流れも滞ってしまいます。

アーサナ(対位法)の時でも同じです。ヨガのアーサナは基本的に鼻呼吸を行います。だから、鼻が詰まっている状態では効果的な練習を妨げてしまいます。

ネーティを行うことは、感覚を鮮明にしてくれる効果もあります。鼻孔の奥は頭蓋骨に繋がっています。

ハタヨガでは、ネーティを行うことで頭の中を清め、霊的な直観直を養うと説きます。

実際、スートラネーティを行った後は視界が明るくなり、思考がサッパリする感覚が得られます。

身体の清浄さは、心の純粋さに直接的に作用すると感じることができます。

カパ(水)体質の人に特に必要な身体のシャウチャ

ハタヨガ・プラディーピカによると、カパ(水)体質の人はプラーナヤーマ(調気法)の練習の前にシャット・クリヤ(浄化作法)を行うべきだと書かれています。

カパ(水)はアーユルヴェーダで説かれる3つのドーシャ(属性)の1つです。

カパ体質が強い人は、ぽっちゃりと色白でもち肌の人が多く、ゆったりした性格の人が多いです。

カパが増えると粘液質の疾患が現れます。鼻水や痰が溜まるのはカパの乱れが原因です。

精神的には、1つのことに執着、粘着しやすくなると、カパの良くない部分が増幅してしまっています。

体内や心の中に粘液性のドロドロとした汚れが溜まってしまっている状態は不快ですね。

ネーティなどのシャット・クリヤ(浄化法)で、自分の外側だけでなく、内側からスッキリと清浄にするのもおススメのシャウチャの実践です。

※シャット・クリヤの実践は、必ず熟練した先生と一緒に学んでください。

新しい自分に出会うためにシャウチャを意識しましょう

今回はシャウチャ(清浄)の実践を、自分の周囲の空間と、自分の内側の両方からご説明しました。

特に年末年始は大掃除をする方が多いと思いますが、部屋の掃除と一緒に、自分の内側の清浄さにも意識を向けてみてはいかがでしょうか。

今回はシャット・クリヤ(浄化法)を紹介しましたが、それ以外にも消化しやすいものを食べることで胃腸を清浄に保ったり、瞑想を行ったりすることで思考を毎回クリヤな状態に保つこともできます。

汚れのない空間には、新しい風が流れやすくなります。

人生を変えてくれる新しい風も、滞った場所には流れてきません。

シャウチャを実践することによって、自分の人生もスムーズに流れに乗ることができると実感できるかもしれません。

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