「サマスティティヒ」を日常遣いする

「ヨガ」の第一歩

「サマスティティヒ」(中立の姿勢)は、太陽礼拝の最初のポーズとして、聞いたことが在る人も多いだろう。いかにもヨガの第一歩というイメージだが、実はこれこそ日常的に簡単に用いることのできるアーサナだ。単にきれいに立てるからというだけではない、サマスティティヒの大きな効能を見ていこう。

ヨガの大きな目的の一つ

さて、質問。ヨガをやっていることの大きな目的の一つであり、日常に落とし込むのがすごく難しいことは何だろう? それは「今ここ」にいることだ。一つのことに集中するのはとても難しい行為で、だからこそ最近はマインドフルネスに注目が集まっている。

私達は外からの情報をたくさん得ることで、「生きる」ための防御策を練ることができる。そのシンプルなものが五感だ。現代はさまざまな情報が行き交い、脳の使い方も多彩になっているので、「ながら」で同時にいくつもの行為をすることができる。脳内も多層構造になっていて、一度にいくつも思考を巡らせることができる。実際に、何かの音楽が頭の中で鳴っていながら、ネットサーフィンをしてニュースを読み、さらに今日起こったことを考えている…なんていうことは、誰でも普段からやっているだろう。それらはすべて、本能的には自分を守るための防御策として行われている、脳の戦略と言ってもいいのだ。

私達の脳はほとんど常に、時間と空間を高速移動している。もう「今ここ」がどこかなんてわからなくなっているぐらいだろう。だからこそ、ヨガの効果が大きいのだが、マットの上でできることが、オフザマットだとなかなかできない、ということも少なくない。なぜなら、道ばたでいきなりアーサナを取るのは困難だからだ。

しかし、「サマスティティヒ」なら大丈夫。すぐに使える! そして、ヨガの目的の一つである「今ここ」に導いてくれるのだ。

「サマスティティヒ」の効能

ただまっすぐに立つ姿勢。それは「今ここ」へ導く一つのスイッチだ。このスイッチをうまく使いこなせば、意外に簡単に「今ここ」でとどまっていることができるようになっていく。

では、「サマスティティヒ」にはどんな使い方があるのだろうか?

01 今の姿勢で気持ちが見えてくる

何も考えずに立った時、自分が前のめりなのか、少し引いた感じなのか、それとも真ん中に立てているのか、観察してみよう。無意識な行為には自分の気づいていない感情が表れることがある。例えば、前のめりな時は気持ちが先へ先へと行っているのかもしれない。少し引き気味なら、なんとなくやる気がない、コワイ、好きではない…などが考えられる。そうしたら、なぜそうなのか考えてみる。自分のことを知ることができるだろう。

02 日常のネガティブな気持ちも解消

「サマスティティヒ」にはリセット効果がある。例えばネガティブな気持ちが浮かんだ時、「サマスティティヒ」と自分に呼びかけ、短い時間でもいいので、その場ですっと立つ。少し立ち止まって自分の状態を確認してみるのだ。そうして、ふっと一つ吐いてリセット。「今ここ」から再スタートを切ろう。

03 自分の体をスキャンする

今どんな風に立っているのか、どこかに体重の負荷をかけているか、傾いていないか、ふらふらしていないかなど、足下からスキャンしていこう。いい姿勢とは、立っているかいないかわからないような、どこにも体重がかかっていない、重力を感じない状態。この状態になれるように、重力を意識しながら立ち方を調整してみよう。これをしていくと、自分の体に集中し、まさに「今ここ」にいることができるようになる。心がブレそうになったら、「サマスティティヒ」でスキャンだ。

いつでもどこでも「サマスティティヒ」

ただ立つなら、どこでもできる。電車の中で、信号待ちで、コピーを取っている時、何かを待っている時…。そんな時はいつでも「サマスティティヒ」。過去や未来にとらわれがちな気持ちを「今」に取り戻し、新らしい自分を再スタートしよう。

Text:Yogini編集部
出典:『Yogini』Vol.45

関連タグ