「がん」に、ヨガインストラクターができること[現役医師:高尾美穂インタビュー]

医療の進化により、がん患者の生存率は今後も上がり続けるという予測があります。これが意味することは、社会復帰をするがん経験者が増えるということです。

現役医師である高尾美穂先生は、「がん経験者に対して、社会が変わる必要がある」と言います。その意味とは?ヨガジェネレーションスタッフ2名がインタビューしてきました!

がんを経験した人が増える。社会はどう変わる?

医師:高尾美穂先生へのインタビュー第3弾!今回も貴重なお話を伺いました!
今、がんの5年生存率は6割を超えてるんですね。

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
そう。だからね、がんを経験して普通の生活に戻って来る人はたくさんいるの。

今後は、その方達が「より快適に生活するために何ができるのか?」というところを、社会全体で真剣に考える必要がある。

さすが高尾先生ですね・・・!

かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
なんで!笑

政府の考える三段階目に今の日本はある。

どういうことですか?

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
まず第一段階として、1981年にがんが死亡理由の1位になった。脳卒中を抜いてね。

この辺りから、「がん=怖い病気」っていうイメージができたはず。

ちょうど40年前ですね。

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
その時から、「国としてがんの対策をしよう」という風になったの。

それが、がん先進国としての大きな一歩だね。

国として対策をしているんですね。
かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
そうだよ。きっと、それも知らない人が多いよね。
知らないです!
じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
その次の段階は、

  • 統計をとる
  • 標準治療の規定を定める
  • 「どこのがん」の「どのステージ」では、「どんな治療をすれば」生きる人が多いのか?

そういう統計の話が二段階目だね。症例は確実に蓄積されてる。

そして、今は三段階目なんですね。

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
そう。

三段階目は、受け入れる社会の構築っていうフェーズなの。

平成 28(2016)年の法の一部改正の結果、法の理念に、

「がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指し、がん患者が、その置かれている状況に応じ、適切ながん医療のみならず、福祉的支援、教育的支援その他の必要な支援を受けることができるようにするとともに、がん患者に関する国民の理解が深められ、がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備が図られること」

が追加され、国や地方公共団体は、医療・福祉資源を有効に活用し、国民の視点に立ったがん対策を実施することが求められている。

[厚生労働省のHPより]

正しいがんの知識は、世の中に出回っていない!?

高尾先生の真剣な想いが伝わってきたインタビューでした。
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
がんに関する様々な情報は蓄積されているんだけど、それを受け取る機会っていうのがないと思うんだよね。

そうですね。

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
例えばね、卵巣がんで母親を亡くした方は、本人が30代になって「卵巣がんが怖いです。」っていう人が多いの。その通りだと思う。でも、それって自分だけの経験値なの。
なるほど・・・

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
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「社会全体を見るとどうだろう?」って、考える機会がないんだよね。

それで、私のように「怖い怖い」になってしまうのかもしれないですね。

かめこインタビュー
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高尾先生インタビュー
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そう。

家が集まったのが社会だからね。社会全体でがんの理解を深めるのは大切だと思う。

正しい、本当に必要ながんの情報って出回っていないのでしょうか?

かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
いや、情報は出回ってるんだよ。患者さんには。

そうか・・・

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
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病院に来た人には、医師たちは正しいことを伝えてる。それは当たり前なんだけど、でも、それは1対1でしょ?

しかも、患者さんは客観的には受け取れないですもんね。

かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
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そして、患者さんが誰に伝えるかって言ったら家族でしょ?家族は当然心配するわけで。

目の前で家族ががんになって、社会のことは考えられないですよね。家族で精一杯。

かめこインタビュー
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ヨガインストラクターに、がんの正しい知識は必要?

ヨガインストラクターは本気で社会貢献できる存在だと信じている高尾先生。
高尾先生インタビュー
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冷静に見ることが大切な気がしてる。

患者さんになっちゃうと冷静に見れないのは当たり前で。家族となると、もっと冷静に見れないものなの。

そうですよね。

じゅんじゅんインタビュー
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高尾先生インタビュー
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結局、冷静に見られるのは、本人でも家族でもないわけで。

第三者的な立場として、ヨガインストラクターのみんなには、冷静な目を持っていて欲しい。ただ冷静なのではなくて、正しいがんの知識も必要になるんだけど。

そうですね

かめこインタビュー
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高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
自分が経験しなくても、生徒さんに相談されることもあると思う。

だって、「手術した体でヨガしていいのかな?」って相談したいじゃない?体のことを知ってるだろうからって思ってさ。その勇気を無下にしないで欲しい。

泣けてきました。

じゅんじゅんインタビュー
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高尾先生インタビュー
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「またヨガをする!」ていうのを希望に治療を頑張ったかもしれないじゃない?

そうですよね。「ここに傷口があるけど、ヨガをしていいのかな?」って不安になるのは当然だと思います。何度も経験することじゃないし。

かめこインタビュー
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高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
でも、その不安に根拠を持って応えられるヨガインストラクターはまだまだ少ないと思うの。

きっと、そうですね。

かめこインタビュー
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高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
ある日、突然がん患者さんになるのよ、私達も。それが、たまたま気が付くのが今日っていうだけなの。
確かに・・・

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
人生は続いているからね。どの段階で自分ががん患者になるのかなんて、分からないっていう事も知っておいて欲しい。

2人に1人は癌を経験する時代なんだから。

自分事としてですね。

じゅんじゅんインタビュー
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高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
もちろん、がんにならないのがいいんだよ。

だけど、実際はなったからって悪くない。なった人が悪いでもないわけ。何かをしたからなるわけじゃないの。

どういうことですか?

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
日本はさ、「どうしてがんになったんだろう?○○したからかな。自分のせいだな。だからこうなっちゃったんだ」って思う傾向にあるの。

でも、そうかもしれない。うちの父親の膵管が腫れているのが見つかった時、母親に「裕子の部屋が汚いからよ!」って言われましたもん。

かめこインタビュー
かめこインタビュー
理由付けしたくなるんですよね。

じゅんじゅんインタビュー
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高尾先生インタビュー
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でも、「○○しなければよかった。」とか、「自分のせいだ」とか絶対に思わないで欲しい。そんなことないから!

がんを客観的にみることで、できることは増える!

先日、初開催された「がん」という病気を知り、向き合うための講座での一コマ。Yogini編集長の大嶋さんと。
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
閉ざされた分野なんだと思うんだよね。特にがんて。

だって、一昔前なら、がんになっちゃったていう人たちは、世の中から見れば、ごく一部っていう扱いだったの。

「今は、これだけ多いんだよ。」って言っても、まだ、がんにかかるのは特別っていう意識があるでしょ?

ありますね。

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
そうなると、情報を得ようなんて、まずしない。得ようとするとしたら、がんになってからなんだよね。

確かに・・・

じゅんじゅんインタビュー
じゅんじゅんインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
なってからだと、本人の問題・家族の問題になる。

だから、社会全体を見るわけじゃなくて、「今の状態」とか「治療法の選択」っていう視点になる。

そうですよね。

かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
手術をするっていう点においては、子宮内膜症や筋腫と、受け止め方は同じでいいと思ってる。体の傷付き方は同じだから。

そういうことですね。

かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
がんもそうなんだけど、それ以外の病気や帝王切開も含めて、手術を経験した人がたくさんいる社会。それが今の日本。

今後、ますますそうなりそうですね。

かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
だから、ヨガインストラクターのみんなには知っておいて欲しいの。

手術をした人にとってのヨガの練習法をね。

喜ぶ人が増えそうですね!

かめこインタビュー
かめこインタビュー
高尾先生インタビュー
高尾先生インタビュー
個人の集合体が社会だからさ。1人の笑顔を追求して欲しいね。ヨガインストラクターはそれができる存在だからね。

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