相談室:体が硬くても大丈夫!らくらく前屈の秘訣 〜ヨガ指導者が知らないこと3〜

体が硬くても大丈夫!正しい「股関節」がわかれば前屈も楽勝

前屈が苦手な生徒さんが、苦しそうにしているとき、何を伝えたらいいでしょうか。「カラダが硬い!」とおっしゃる方にありがちな傾向と対策をまとめてみました。

正しい「股関節」がわかれば前屈はらくらく!

  • 足はどこから動いていますか?
  • 股関節はどこでしょう?

こう聞くと、たいていの人が、ウエストのあたりや、その少し下の部分を指さします。
 
でも、人体の模型を見るとわかることですが、ウエストは解剖学的には存在しないのです。脊椎はずっと頭の方からカーブを描いて尾骨まで続いています。つまりウエストという区切りや関節は存在しません!

前屈をするときに役に立つ構造と可動域を持つ関節はどこでしょうか? それは、「股関節」です。
 
股関節はどこにあるか?というと、パンツのライン、ズボンがちょうど折れるラインのあたりなので、かなり下の方にあります。恥骨から斜めに、奥にはいっていく場所が股関節です。簡単に言うと、あなたの胴体と脚の間のラインの下にあります。

股関節は思っているよりも下にある!
股関節は思っているよりも下にある!

そして前屈するときは尾骨(お尻の骨)が大きく後ろにいき、骨盤が後方にスライドします。骨盤の前にある「恥骨」の結合部分が、前屈するときは骨盤が回転するのと一緒に下へ、そして後方へいきます。
 
ちょうどパンツの折り目のライン、斜めに線が入っているところです。実際に自分で手で触れてみましょう。大きな骨盤が後ろに回転していくのがわかります。

“偽”股関節(ウエスト)にだまされない!

前屈が苦手な方の多くが、実はカラダの構造について勘違いをしています。

多くの人が誤解するのは、ウエストがちょうどスカートをはくときやベルトをするラインであり、腰椎の一番上で前後左右に可動域があるので、ここから足だと勘違いしやすいようです。

「股関節」より「ウエスト」を使っていませんか?

多くの人が前屈するときは、最初に「ウエスト」と言われる胴体のくびれの部分から前に脊椎をまげて動き出します。これはヨガの前屈ではあまりオススメできないやり方です。

ヨガのクラス等でお互いにチェックしてみるとわかりやすいですよ。「カラダが硬い」と思っている人も「股関節」を使うことがわかると、今より前屈がうまくいくので試してみましょう。

脚が痛い人、膝の裏がつっぱる人の対処法は?

「股関節が痛い」「足の裏がつっぱる」など色々な痛みを感じることが前屈ではあります。その痛みは、カラダの構造に合わない動きをしていることを知らせてくれるので、とてもありがたいサインなのです。

ただその痛みはカラダの使い方の「結果」なので、痛みやカラダの部分に注目するより、なぜそこに負担がかかってしまっているのか?部分よりカラダ全体の構造を見る観察眼を磨くことをおすすめします。

「このポーズのとき体に何が起きているの?」と好奇心を持ってみる

例えば脚の裏や膝の裏がつっぱる人は、前屈する前にお腹、膝や足に無意識に力を入れていることが多いのです。

試しに足を投げ出して座った状態で深呼吸して、まずは足の裏をぶらぶらさせ、膝を緩めて、股関節から足をぶら下げる感じで、ゆっくり揺らしてみましょう。それから、優しくそろそろと足の裏をついて、立ってみましょう。前屈では、お腹は少々緩めた方が良いです。全身で前屈できれば、お腹は自然と引きあがってきます。

カラダの軸が自由にラクになり、全身で前屈ができれば、少しずつポーズは深まることでしょう。

大切なのはプロセスを楽しむこと

前屈のプロセスを楽しむ
前屈のプロセスを楽しむ

肩を上げ(腕全体を固め)、腕や手を、頭やカラダの軸より「先に」「前に」出そうとする人がいます。でも、腕に力を入れることは前屈の動きの助けにはならないのです。そんなとき、気持ちも「先にいこう!」「手をつきたい!」と焦ってませんか?
 
焦る気持ちを手放し、プロセスを楽しんでみましょう。だらんと腕を垂らして、深呼吸しながら背中を少し丸くしてもいいので、首の後ろをラクにしてみましょう。手を先につくことは考えないようにしましょう。
 
先を急ぐより、道のりを楽しむのが本当のヨガです。プロセスを楽しむほうが、ずっと成功率が高まります。

カラダの軸を制する人はヨガを制す!首の後ろはラクに

兎にも角にも、カラダの軸がゆるやかで自由に使える状態を作ることが前屈の前提です。

このためには、自分の考え方の自由度をあげることも大切です。「首をまっすぐ」「がんばる」「引き寄せる」「背中を立てる」「腰の下の方から前屈する」などの言葉をいつも使っている人は、脊椎の動き、可動域を小さくしてしまうので、いったんこの言葉を手放してみましょう。

カラダの動きの選択を狭めてしまう言葉は、役に立たないものです。それどころか、カラダのパフォーマンスが低くなっている状態で、ある部分を無理に押したり、カラダに無理をさせることは、怪我の元となります。

「軸」が自由に動ける状態があれば関節もラクに動きます。首の後ろを固めたままで、脚やお腹に力を入れて動くことが習慣化し、そのまま力を加えて無理に前屈や開脚をし続けると、ハムストリングや腰を痛める結果となります。

あなたは、ラクで自然に自分のパフォーマンスが上がる本物のヨガを伝えたいですか? それとも、呼吸が苦しい、動きにくい、いずれケガをするヨガを教えたいですか。やった感はあっても、誰のためにもならない不自然な指導法を選び続けますか?

どんなヨガにするか、この時間をどう使うか、どんなメッセージを伝えるか。結局、それはインストラクターとしてのあなたの選択なのです。

地球に重力がある限り、重力に反発せず、脊椎に任せてカラダ全体で動けば前屈は深まるのです。私たちのカラダとその自然な構造に対する「信頼」も大事なキーワードですね。

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