女性の横顔のシルエットと人体模型や化学記号

自然と化学物質。相反するものをヨガ的に考える

化学物質過敏症って知ってる?

白衣姿の男性がタブレットを手にしている

ヨガをしていると大地や空、風などの自然を通して五感が研ぎ澄まされ、不思議と自然回帰していく人も多いでしょう。そして「体調が良くなっていく」という声も多く聞こえてきます。一方で、その中にはもしかしたら、化学物質過敏症の人もいるかもしれません。

化学物質過敏症とは、様々な種類の微量化学物質に反応してしまうこと。何かの化学物質の大量接触や、微量の化学物質を繰り返し浴びることなどによって発症するとされています。化学物質への感受性は個人差が大きく、同じ環境にいても発症する人としない人がいるそうです。また、一度発症するとわずかな化学物質で、頭痛やめまい、かゆみ、しびれなど、自律神経系が関わる広範囲の症状が現れるとされます。

化学物質過敏症の原因は?

煙突から出る煙と工場群
戦後の高度成長期以降、自然汚染は急速に高まった

アレルギーとは異なり、原因となる物質は特定の物質ではなく、自然界に存在するものも含めた、すべての化学物質が原因となる可能性があります。

現在、世の中には5万種以上の化学物質が流通しており、毎年300もの新たな化学物質が市場へ出ています。化学物質の開発・普及は20世紀に入って急速に進み、人類や生態系にとって、こうした化学物質に長期間において曝される状況はいままでなかったのです。

便利な世の中の代償なのか?

天然由来成分の薬
植物から研究され、薬として人の命を助けることになった化学物質もある

暮らしやすさを求めた結果、日々進化するテクノロジーのために大量の化学物質が利用され、また時には安全性の検証がないまま使われ始めました。このような中で「環境ホルモン」「化学物質過敏症」など、従来予想できなかった新たな問題も始まったのです。

こうして化学物質は危険というイメージが広がりましたが、有害な化学物質は1割ほどではないか、という説もあります。

アルコールや染料など、昔から生活で使用してきた化学物質もあります。植物から研究され、薬として人の命を助けることになった化学物質もあることでしょう。化学物質は人工的・工業的に合成したものもありますが、自然界にもたくさん存在するのです。

毒にも薬にもなるということを知っておくことが大切

赤い薬のカプセルを手にした女性
どんな化学物質も、扱い方次第で薬にも毒にもなる可能性がある

とはいえ天然の化学物質の中にも、今まで安全であるといわれたもので、危険だとわかったものも。さらに今では建築材、パソコン、どんなものにも人工的・工業的な化学物質が含まれ、現代生活では避けることができない状態です。

確かに便利であったり有効なものもあるのですが、化学物質過敏症や環境ホルモンへの影響のように、一度悪影響を及ぼすと、自然にも溢れているものなので、逆に避けることが難しくなってしまいます。人工・天然、どちらも含め、化学物質の安全性や危険性についてはまだまだ完全に解明されていないという事実もあります。

神経質になり過ぎる必要はありませんが、どんな化学物質も、扱い方次第で薬にも毒にもなる可能性があります。慎重に扱って上手に使うことが求められていることを、頭の片隅に留めておいてください。