カナダの雄大な景色をバックに立つサントーシマ香先生

サントーシマ香の“ここちよく、やさしく、きげんよく” vol.1

カナダでの日々

わたしは、2017〜2019年までの2年間、家族の事情で、カナダのバンクーバーで生活をしていました。人生初の海外での子育て。上の子が3歳、下の子が0歳と、まだまだ手がかかる時期だったこともあり、家事に育児にあたふたする日々を送っていました。

誰でもそうなのかもしれませんが、私の場合は一つの役割に自分を集中するよりも、複数のアイデンティティーがほどほどに機能している状態が好きなようです。日本に住んでいる時は、二人の子どもの母親やヨガの講師として。また、子育てや仕事から離れた、プライベートな趣味の領域など。

それぞれが重なり合って、バランスをとりながら、そして日本ならではの社会的資源や人間関係に助けられながら、わたしらしく存在できていたんだなというのを、カナダでは実感しました。

意外と孤独な海外育児

カナダの自然の中で遊ぶ子どもたち
カナダの自然の中で遊ぶ子どもたち

生活環境も気候も異なる海外で子育てするのは、思いどおりにいかないことも多くて、毎日のご飯作りに必要な食材を買うのも一苦労です。仕事ってある意味、何かから逃げているような側面もある気がしていて。

“ヨガを教える“仕事をする時間も少なくなり、どうすれば新しいバランスに落ちつくのか、とにかく五里霧中で(笑)。その時々で前向きにできることを考えて実行していかないと、できないことばかりに目が向いてしまい……。

カナダは雨も多く、日照時間も少ないので、気をつけていないとすぐに気持ちが落ち込んでしまうんです。

そうしたなか、時間を作って自宅から通いやすいスタジオで、単発で講師をしたり、自宅に知人や仲間を招いて小規模のレッスンをしたり。半年に1度の帰国時にはクラスを開かせてもらったことや書籍の執筆を通じて自分の内側を見つめる機会を持てたことが、支えになりました。

ナチュラルにヨガを体感するインプットの時間も

滞在中には経験豊富なカナダ人の先生のクラスや講座、そしてアメリカまで研修を受けにいったこともあります。このインプットの時間も、現在の指導にも役立ってしますが、自分のバランスや在り方を見つめ直す上で役立ったように思いますね。

特に、サントーシマ香のアイデンティティを置いて、一生徒としてカナダのヨガシーンを体験できたことは、初心に戻る体験になりました。カナダでは、日本よりも多くの人の日常に、ヨガが自然と浸透していて、いい意味でリラックスしてクラスを展開している先生が多いです。

ティーチャー然としていないというか、権威を手放しているというか。

先生と生徒さんの関係性がものすごく対等で。若い女性だけではなく、シニア層の方々や闘病中の方、そしてカナダだから当たり前なんですけど、それでも肌の色も文化も体型もさまざまな人たちがそれぞれの姿でクラスを楽しまれている光景も、すてきだと思いました。

フラットな関係性に基づいたカナダのヨガクラス

生徒に親身に寄り添うサントーシマ香先生
生徒に親身に寄り添うサントーシマ香先生

人から「先生」と呼ばれる職業って、いつの間にか、おごってしまう部分もあって。上にも下にも立たないように、言葉や態度を意識していたつもりですけど、カナダの成熟したヨガのシーン、コミュニケーションを見ることができ、改めてその重要性が腑に落ちたように思います。

母国から離れて、仕事をする時間よりも、家族と向き合う時間が長くなったことで、自分の家事力の未熟さ、精神的な不甲斐なさと正面から向き合うことも多々あった2年間でしたが、いま思い返すと、これはこれでいい経験だったなって感じています。

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