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骨盤の歪み、生理の悩み……まちがった「効果」「対策」を信じてない?

「このポーズは便秘に効きます」
「生理痛をやわらげるポーズです」
こんな説明をヨガのクラスで耳にしたり、ネットで見たりしたことはありませんか? 中には、ヨガ界で「常識」とされている知識もありますよね。でも、ぶっちゃけどのくらい「有効」なのでしょうか?

そこで今回は、多くの人が見ている「ネットの検索ワード」に注目。ヨガの効果に関して、検索上位に挙がっているサイトから疑問点をまとめてみました。お答えいただくのは、産婦人科医であり、ヨガの指導者としても活動している大人気の高尾美穂先生です!

 

骨盤――「締めたい」という願望がまちがいを生んだ?

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――まずは注目度の高い「骨盤」についてお願いします。「骨盤 ヨガ」で調べると、「締める」「ゆるめる」「歪み」「開く」「矯正」などがセットで出てきます。その内容はこんな感じですが……。
・骨盤は生活習慣で歪む
・骨盤の歪みは生理不順、肩こり、腰痛、頭痛を引き起こす
・ヨガで歪んだ骨盤を調整すれば、こうした不調を解決できる

そうね、まず骨盤は生活習慣で歪みません(あっさり)。「骨盤」と聞いてあの仙骨・寛骨・尾骨だけをイメージすると開いたり歪んだりしそうに思うかもしれないね。でも、実際の骨盤にはものすごい数のじん帯が張っているの。骨盤底筋の講座ではその画像も見せるんだけど、それを見たら「これは歪まないな」と思ってくれるはず。

――朝は閉じて夜は開くとか、生理前に開くという話もヨガで聞いたことがありますが……?

それもないから、安心して(笑)。女性の場合、出産のときに骨盤が開いて産後閉じる、というのは事実。たぶんそのイメージが、妊娠・出産以外でも「可動する」というイメージにつながったんじゃないかな。でもただのイメージです。あとは「締めたい」という願望でしょうね。生理のときは骨盤を締めて早く経血を出しちゃいたい、とか。

姿勢は歪んでいるのが普通

――そういう「願望」をメディアや商売にうまく利用されて、結果的にまちがった知識が広まっているのかもしれませんね。それでも、ヨガで骨盤を「調整する」とかアプローチは可能なんでしょうか?

骨盤そのものは変形しないけど、全身のバランスの中で骨盤が前傾・後傾、左右どちらかに傾く、などの動きはあります。というのも、骨盤は上半身と下半身のジョイント部分なので、全身のバランスのうちどこかが崩れると、それに連動して骨盤がバランスをとるために前傾したり後傾したりするわけ。

その姿勢の崩れを「歪み」と表現するなら、肩こりや頭痛を引き起こすことはあり得るでしょうね。生理痛についても、一万歩くらい譲ったら「あり得る」かも。姿勢が崩れたことによって、骨盤を通る血流が悪くなる可能性はゼロではないからです。

そもそも人間の身体は左右非対称だし、完璧に左右対称に動く人なんていないでしょ? だから姿勢は「ちょっとくらい歪んでいるのが普通」くらいの認識でいるべきなんです。ただ、その左右非対称な動きをヨガという非日常の時間を持つことによってなるべく対称なように調整し、日常生活でも意識するようにする、ということは可能です。そういった努力によって頭痛や肩こりが解消、というのは十分あり得ます。

 

生理【その1】――まずは原因の有無をクリアにして!

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――次は生理についてです。検索上位に挙がっていて、実際よく耳にするのはこんな内容ですが……。
A.生理中もヨガはできるが、逆転系のポーズはNG
B.経血の多い日はヨガをやめておくべき

A.はその通りですね。逆転系がなぜダメかというと「逆流血」が怖いから。月経血というのは、血液と子宮内膜が半々くらいなの。それがお腹に逆流すると、お腹の中に子宮内膜の組織がばらまかれてしまい、これが子宮内膜症の原因のひとつになるのね。だから逆転はNGなわけ。

――経血量もですが、「生理が重くてつらいときはやめておきましょう」と言われることも多いです。これはどうなんでしょう?

そもそも生理のつらさについては、病気つまり子宮内膜症などがあるのか、正常な範囲での痛みなのかクリアに分ける必要があります。ヨガでアプローチできるのは、後者のほう。前者の場合は、まず婦人科で適切な治療を受けないと悪化する一方です。

私はずっと、この2つをちゃんと分けてほしいと思っていたのね。子宮内膜症のために生理が重い人だったら、いくらヨガをしても期待するような効果は得られないわけ。講座などを通じて、最近やっとそれが伝えられるようになってきました。

生理【その2】――子宮や排卵のしくみをちゃんと知ってる?

――続いて挙げますね。
C.生理不順に効果的なポーズがある
D.ヨガで経血量をコントロールできる(早く終わらせられる)
E.生理痛にはホットヨガで身体をあたためるのがいい

C.は……まぁないでしょうね。そもそも生理不順を解決する方法って、西洋医学にも根本的なものはないんですよ。生理を順調に起こすには排卵が順調に起こることが必要なわけだけど、西洋医学の薬を使っても「飲んで何日目に絶対排卵が起きます」というような精度ではないのが現状。ピルを使えば見かけ上は定期的にできるけど、あくまで見かけ上のこと。そのくらいアバウトだしコントロールが難しいのが生理の周期なので、ヨガのポーズだけでどうこうするのは難しいと思います。

D.も同じですね。そもそも子宮は自分で動かせないんですよ。子宮の筋肉は医学的には「不随意筋」といって、私たちの意志では動かせないものです。じゃあ外側から押せばいいかというとそれも難しい。下腹部にはまず脂肪があって、膀胱があって、その内側に子宮があるんだけど、子宮は固定されている臓器ではないから、下腹部を押したくらいじゃさわれないの。産婦人科の診察でも、腟の方から指を入れて子宮を支えたうえでようやくお腹のほうから触診ができるんです。

女性の体の正しい理解

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――生理や子宮のしくみを理解していれば、どれもおかしいと分かるわけですね。そのあたりを先生の講座でも伝えていらっしゃるのかと思いますが。生理痛には温めるのがいいとはよくいわれますが、E.のホットヨガはどうですか?

温めるのは確かに効果的です。正常な範囲の生理痛は子宮の過剰な収縮が原因なので、温めて筋肉を弛緩させてあげると楽になります。骨盤まわりについている大きな筋肉の血流をよくするのも効果的なので、このあたりはヨガの得意分野ですよね。

ただ、ホットヨガではこういう「温める」効果は期待できないですね。むしろ逆。環境が暑いわけなので、身体は冷やそう冷やそうと頑張るんです。目的と逆よね。ただし、汗腺をひらくといったサウナ的な効果はあります。汗のかけない人がかきやすい身体になるとか、スッキリ感が得られるとか、そういうメリットはありますよ。ホットヨガでヨガに出会ってから、自力で熱を生みだせる常温のヨガに移行するのもありですよね。

後編では、気になる「女性ホルモン」「便秘」そして「西洋医学とヨガの可能性」などについてたっぷりうかがいます!

後編に続く

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