人生は「足裏」から整う!揺れ動く時代に、揺るがない自分軸をつくるグラウンディング

人生は「足裏」から整う!揺れ動く時代に、揺るがない自分軸をつくるグラウンディング

「あなたは、足の裏を尊敬していますか? 」

足の裏
足の裏

この唐突な問いかけに、みなさんは戸惑うかもしれません。しかし、ヨガを実践している人であれば、 グラウンディングという言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

グラウンディングとは、今、ここにしっかりと在る感覚であり、その基盤となるのが足の裏です。

実は足の裏への意識は、世界中のヨガシーンでも改めて見直されています。
Polyvagal Theory(ポリヴェーガル理論)やTrauma-sensitive Yoga、Somatic Yoga、Restorative Yogaといった分野では、足裏と床との接地、微細な身体感覚への気づきが神経系を整え、安心感を取り戻すための重要な鍵としているのです。
とりわけ北米やヨーロッパでは、従来の丹田や体幹からのアプローチではなく、 “足裏から自己調整力(Self-regulation)を高める”という考え方が、ヨガティーチャーたちの間で広がりつつあります。

私がこの問いを思い出したのは、ある日のケガがきっかけでした。
足の小指を強くぶつけ、歩くたびにその小さな部分が全身に影響することを実感したとき、私は自分の足に――そして、その最も底にある足の裏に――心からの感謝と敬意を抱いたのです。

イベント登壇前に起きた“小さな出来事”が教えてくれたこと

足の小指を壁にぶつけた
足の小指を壁にぶつけた

4月後半、私はある大型イベントへの登壇を控えていました。その1週間前、まさかの出来事が起きました。足の小指を壁に強くぶつけてしまったのです。一歩歩くだけでもズキズキと響くような痛みがあり、「これは、もしかして骨が折れたかも?」と思うほどでした。

その瞬間、私の中にひとつの予感がよぎりました。
「足のケガは、人生において“ 足止めのサイン”――」そんな言葉が、ふと浮かんできたのです。

実は過去にも、似た経験がありました。起業の準備を進めていたタイミングで、まさかの骨折。それは誕生日の朝の出来事で、まるで「その方向は違う」と言われているような強制終了のサインでした。ですから、今回も一瞬「またか…」と思ったのです。

ところが、今回は違っていたようです。
上京当日、靴をまともに履くこともできず、スニーカーのかかとを踏んでスーツケースを引きずるように移動していました。イベント会場の下見も変な歩き方がバレないように気をつけながら、小指に負担をかけないようにそっと歩きました。

そして迎えた登壇当日のステージに上がる直前に、不思議なことが起こりました。舞台袖でパンプスに履き替えた瞬間、あの痛みがスッと消えたのです。
まるで、小指がこう言ってくれているようでした。「もう大丈夫。行っておいで。」

立つという行為に宿るエネルギー

イベントの前日、私は東京に向かう新幹線の中で、車窓に広がる富士山を見ながら静かに目を閉じてイメージワークをしていました。あのとき、富士山のエネルギーとつながるような感覚の中で、自分の内側にゆるぎない軸が立ち上がってくるのを感じたのです。

痛みが消えたのは、偶然ではなかったのかもしれません。
私が、自分の軸に戻ったとき、身体もエネルギーも自然と整っていた。そんな感覚があったのです。

小指が教えてくれた、立ち止まる勇気

この体験を通して、私は改めて思い知りました。
立つこと――それは単に物理的な動作ではなく、今、ここにしっかりと存在するという意志の表れだということを。

私たちは日々目まぐるしい流れの中で、外の情報に引っ張られ、何かに追われながら動き続けています。けれど本当は、ただ立ち、呼吸し、今、ここにいるという身体感覚に戻れたとき、すべての答えはすでに自分の中にあることに気づくことができるのです。
グラウンディングができていないと、私たちは浮足立ち、思考に振り回され、いつしか一喜一憂の人生に陥ってしまいます。

グラウンディングとは、ただ静かに立つことではありません。グラウンディングとは、自分の身体の声に気づき、それに敬意を払うこと。そうして自分と深くつながったとき、そのつながりはやがて他者や世界とのつながりへと広がっていきます。
そして、そのことを知って生きていくことこそがヨガの本質なのだと、私は思うのです。グラウンディングは、“自分とのつながり”から始まります。

ここで、冒頭の問いをもう一度思い出してみてください。
「あなたは、足の裏を尊敬していますか?」

足の裏は、いつもあなたのいちばん下で、あなたを黙って支え続けてくれています。今も、そしてこれからも。文句ひとつ言わずに、あなたの一歩一歩を運んでくれる存在……それはまさに、縁の下の力持ちなのです。どんなに忙しい日でも、どんなに疲れている日でも。

一日の終わりに、足の裏にそっと「おつかれさま」と声をかけてみてください。
きっと、必要なときに、あなたをまた必要な場所へと運んでくれることでしょう。

お知らせ