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世界を広げれば、泣き止まない子への焦りと苛立ちから解放される
日本は子どもの泣き声にかなり厳しい国です。これでは子育てしづらいのも当然です。しんと静まり返った公共の施設や、電車、バスなどの乗り物のなかで、お子さんがなかなか泣きやまず、肩身の狭い思いをされたことがある親御さんもいらっしゃるかもしれません。
でも、どうかご自身を責めないでください。子どもは、泣くことが仕事なのですから。
泣き止まない子どもに対して不快感をあらわにしたり、親御さんに厳しい言葉をかけられる方もいらっしゃいますが、それはきっと多くの人が、子どもの頃、大人から泣くことをよしとはされなかったからでしょう。
「泣くんじゃない」、「静かしなさい」などと、人前で泣くことを、頭ごなしに否定された。その刷り込みで、とくに子どもが泣きわめくことに対して、寛容になれないのかもしれません。
海外では、誰も責めない

いっぽう、海外ではたとえ飛行機のなかで子どもが泣いていたとしても誰も気にしません。子どもは泣いて当たり前、という認識が広がっているからです。日本では機内に「赤ちゃん専用席」まで設置されていますが、海外からは信じがたい光景のようです。
インドネシア:子どもに対して、おおらかで寛容
先日、ガルーダインドネシア航空に乗った際、長時間泣いたり、騒いでいる子どもがいましたが、外国の方は、CAも方も含め誰も気にしていませんでした。イライラしていたのは「日本人」の方がほとんどだったように思います。
タイ:優しい眼差しを子どもに、そして家族に
タイでは、子どもを大切にする精神が根付いていますので、レストランのなかで泣きわめいていたとしても、子どもを叱ることはありません。むしろ、店員さんがサポートしにきてくれるほど、親御さんへも優しい眼差しを向けてくれます。
フランス:手厚い支援で、出産率アップ
出産率が上がったフランスでは赤ちゃんはフランス文化を守る大事な宝である、と定義づけられるほど、大切にされています。そして手厚い育児支援と女性の意志を優先する政策が生まれたそうです。
ドイツ:子どもの泣き声を、騒音とみなさない!
2011年5月、「子どもの声」をめぐって連邦法が改正されました。そして、乳幼児や児童保育施設、児童遊戯施設などから発生する音を環境騒音から除外。
具体的には、子どもが発する話し声・歌声・笑い声・泣き声・叫び声などの他、遊戯・かけっこ・跳躍の際に発する音。さらには、保育施設等に勤務し、子どもの世話に従事している職員が発する音も含まれるとのことです。
国をあげて、子どもがのびのび育つ環境をサポートしていることが伺えます。
子どもは泣くのが仕事。一生懸命生きている証
いかがですか?国が違うだけで、こんなにも子どもと、その親御さんへの意識の向け方が異なるのです。社会の常識というのは、どんどん進化していくべきですし、子どもは未来を担う宝物なのですから、泣き止まなかったとしても周囲の人は寛容になることが大切なのは、いうまでもありません。
もし、どこかで、子どもがなかなか泣き止まずに困っている親御さんを見たら、おおらかに対応してください。
子どもが泣くことは当たり前であると、大きな心で受け止める大人たちが増えることで、誰もが安心しながら、ゆったりと子育てをすることができるようになります。
もし、子育て中の親御さんと関わることがあれば、ぜひ、ほっとできる言葉をかけてください。子どもが泣き止まないことで、自分を責めて、ひとりで頑張って、精魂尽き果ててしまう。子育て中の親御さんが、そうした負のスパイラルに陥らないためにも……。
私の子どもも、かつては周囲が心配するほどよく泣いていました。連続で6時間泣きっぱなしということもありましたが、長い子育て生活のなかの、ほんの一時にすぎません。成長ともに、この問題から解放される日が必ず訪れます。
体調不良が原因かも!?
なかなか泣き止まない時は、体調が悪い可能性もあるので、必ず、お子様の体の変化、体調にも目を向けてみてください。大切なのは、泣き止ませようとすることにとらわれないこと。
焦らず、子どもの泣き方を細かく観察してみることもポイントです。そうすると泣き方によって、何を子どもが訴えているのかが、どんどん見えてきます。結果、あやし方が上手になるので、泣き止まないで困る、という状況も徐々に減ってくるでしょう。
辛いときこそ、ヨガ・スートラを

とはいえ、子育てに追われる日々を過ごされている方にとっては、どうしても寛大になれないこともあることでしょう。そんなときこそ、ヨガの知恵が役立ちます。
苦悩とカルマからの解放(『ヨガ・スートラ』4-30)
カルマは「行い」と訳され、仏教の教えでは「因果応報」としてとらえられています。つまり、やった事(行為、カルマ)は、結果になって戻って来る」ということです。では、苦しみを深める原因とは何か。それは“無知”であると『ヨガ・スートラ』では伝えています。
知恵があれば、選択肢も広がり、とらえ方ひとつで、いっさいの問題から解放され、自由であることを思い出せるはず。しかし無知である場合、選択肢がないぶん視野は狭いままです。そのため、悩みのループにはまってしまうのでしょう。
子育てに置き換えて考えてみると、私たちは子育てがしづらい社会の中で生きているだけであって、決して子どもが泣いてしまうことがダメということではありません。
ましてや、子どもを落ち着かせることができない、と自分を責める必要はまったくありません。この真実に目覚める事が大切です。そうした真に広い視野をもてた時、理解を示さない社会を悪ものにする考えさえ消えていくことでしょう。
子どもが泣きやまないことに、つい厳しくなってしまうという人は、自分自身の人生にも厳しくなっているといえます。だから、苦しくなってしまうのです。というのは、泣き声を耳にするたびに“苛立ち”を作り出してしまう、とても苦しい状態(カルマ)を背負っているということになるからです。
不快感が出てくるということは、その不快感によって、他ではない、自分自身を苦しめ、責めていることになります。
だからこそ、寛大におおらかにいること、誰も何も責めない心が大切なのです。それは、自分自身をラクにすることでもあります。
ピンチこそ、幸せに直結するチャンス
子どもが泣き止むかどうかは、大人がどう頑張ってもダメな時はダメです。
いっぽう、大人である自身のとらえ方や考え方を変えることはできます。人が怒りやネガティブな感情にとらわれている時、それは視野が狭くなっている証拠です。同時に、もっと視野を広げて、世界を広くとらえられることを知らせるメッセージでもあるのです。
ピンチはチャンス!「泣き止ませる事」は解決できなくても、この経験をとおして自分の視野を広げられる瞬間がやってきたと受け取ってみてください。「子どもの泣き声」さえ、神様のメッセージである、と思えるようになったら、それこそあなたはヨガマスターです。
参考資料
- 『やさしく学ぶYOGA哲学 ヨーガスートラ』向井田みお著、2015年、アンダーザライトYOGA BOOKS






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