最も近くにいる存在にヨガが伝わらない!?

ヨガ(Yoga)を始めて、このヨガから受ける恩恵をまわりの人にも伝えたいと思ってスタートした、わたしのヨガインストラクターとしての活動。
ということを胸に、あれから10年経っても、ヨガを伝えるのが最も難しい相手がいます。
それは家族です。
いくらわたしがヨガの素晴らしさを伝えようとしても、なかなか声が響かず、届かず。伝えることすらいつの間にか諦めてしまうほど。不思議ですね、一番近くにいるのに。
けれど、つい最近、家族の看病をきっかけに「ヨガはこういう伝え方もあるのだ」という実感が生まれたので、みなさんにもシェアしたいと思います。
ヨガは日常で活用、応用できる
予期せぬ家族の救急搬送は夜間に起こりました。それも年が明けた1月2日。夕食も済ませ、バスタイムも終わり、ゆったりくつろいでいる時です。
具合の悪くなった家族が自分でかかりつけの病院の急患受付に電話している間、わたしはまだ濡れた髪の毛を全力で乾かし、付き添うためにサッと着替えて持ち物を確認して準備を済ませました。
タクシーを呼ぼうとしてもお正月のため台数が少ない上に混雑で1台もつかまらず、わたしの車の運転はペーパードライバーでむしろ安全ではないため、最終手段で救急車を呼ぶ決断をし、家族と一緒に飛び乗りました。
サイレンを鳴らしてくる救急車を呼ぶことは近所迷惑になるのではと、最初は躊躇していた家族でしたが、一夜明けて容態が落ち着いたあとは「あのままタクシーを待っていたら手遅れになっていたかもしれない。信号待ちもなく救急車でスムーズに病院まで運ばれたのは、かえって良かったかもしれない」と言っていました。
何が起こっても物事に柔軟に対応する機敏さはヨガが養ってくれたものです。そして、いま必要なもの、必要でないものを見極める、優先順位をつけられるクリアな心が、機敏な行動を後押しします。
流れに身をまかせて生きるしなやかさと強さはヨガのおかげです。
呼吸の調整が物事を楽にする
救急車の中、強烈な痛みを抱えた家族に付き添いながら、よく観察していると、無意識のうちに息を止めているのがわかりました。
痛みで身体が強ばってしまい、うまく血圧も測れない状態であったのを、救急隊員さんは「腕を楽にしてください」としか言いません。
救急隊員さんたちはそれぞれ彼らのすべき仕事があって、患者の細かい状態までは対応しきれないのかもしれません。そこでわたしが咄嗟の判断でできたことは、「息を吐きだして。痛みが少し楽になって次の息が吸いやすくなるから。吸ったらまた吐き出して」。そう声をかけることだけでした。
人は「楽にして」「リラックスして」と言われても、どうしたらリラックスできるのかわからない場合が多いです。具体的にどうすれば力を抜けるのかを示唆してあげることで、痛みの混乱の中でもその瞬間にやるべきこと(ここでは呼吸)に集中でき、次のステップに移るまでの時間を冷静に受け入れることができるのではないかと思います。
そしてこの時こそ、初めて家族とヨガの時間を共有できた瞬間です。
ヨガの呼吸は、人の言葉を聞き入れる素直さをも育むのだ、という気づきも得られました。
ヨガの伝え方・受け取り方は人の数だけ様々ある
今回、ようやく家族に「呼吸」についてヨガの恩恵をシェアすることができました。どういうタイミングでも、ヨガマットの上でなくても、ヨガスタジオの中でなくても、ヨガの知恵ををシェアできる機会はいつでもあるのだ、と再確認できた貴重な経験です。
ヨガはわたしたちの視野を広げてくれます。物事の取り組み方、やり方はひとつだけではないことに気づかせてくれます。ヨガを伝える側の数と、教えを受ける側の数を掛け合わせた分だけ、そのやり方は無限にあります。
そして、日常で起こるすべての出来事は、プラクティスの機会です。これらの「今」の積み重ねが、未来の1分1秒を創っていくのです。
ヨガは誰かに見せるためでも、好かれるためにするものでもありません。自分が自分を好きになるためにいまの自分と向き合う練習です。「人生で経験することすべてがヨガプラクティス」ということを心に留めながら、どんな波も柔軟に乗り越えていく強さとやさしさを身につけていきましょう。
今回、家族と初めてヨガをシェアできた状況と似ている、『ヨガとは何か』を表現したわたしの好きな言葉を引用します。
ヨーガは盲目的に信じてついて行かねばならない哲学ではない。始めるときは確かに何らかの信念や信頼を必要とするが、修練を続けていくと、一歩また一歩と進むたびに、より大きな希望がひらけて、ますます確信を深めていく。もしわれわれがただの一日でも真のヨーギーであるならば、われわれは変わり、もっとそうでありたいと願うであろう。それは他の習慣と同じで”蔓延性”なのである。
だがはじめのうちはーーその効益の味を知るまではーー何らかの努力をしなければならない。それはちょうど、子どもが母親のさし出すちょっと変わったキャンディーを見て、「いや!いらない!」と言うのと同じである。ところが母親が何かの拍子にひょういとその子の口の中にそれを押し込んでやると、子どもはその味を覚えて、それからはいくらでも欲しがるようになる。
ーーだから、その味を一度覚えたら、たとえ世界中がわれわれの前に立ちはだかっても、われわれが目標に向かって進むのを阻むことはできないだろう。「インテグラル・ヨーガ – パタンジャリのヨーガ・スートラ」より[1]
あれから家族は順調に回復し、入院中も深呼吸と、ベッドの上でできる呼吸に併せて腕と足を動かす簡単なエクササイズを続けて、得意げな顔をしています。まるでそれは、「いや!いらない!」と言っていたのに、母親にちょっと変わったキャンディーを口に入れられた子どものように。
ヨガスタジオの役割

ヨガマットの上でも、ヨガマットの上でなくても、ヨガはわたしたちに寄り添ってくれている人生そのもの。
では、あえてヨガスタジオやコミュニティに足を運んで人と関わりながらするヨガの良さとはなんでしょう?それは、人それぞれの身体の状態、心の状態、身体の使い方の癖、思考のパターンなど、今現在の相手としっかり向き合いながら、よりよい方向へ導きあい、同じ「ヨガ=人生」という一瞬を過ごすかけがえのない時間であるから、ということも忘れてはなりません。
そこにはお互いの学び、感謝、向上が化学反応を起こし、研ぎ澄まされていく空間が広がります。
SNSやYouTubeなどで手軽に、気軽にできるヨガも増えてきて、便利な世の中になりました。そういったツールでヨガに触れる人が増えることも素晴らしいことです。
ヨガはコミュケーション、特に自分とのコミュケーションです。ヨガスタジオでのプラクティスだとしても、自宅でのホームプラクティスだとしても、まずは自分の心と身体の声に耳をすませるコミュニケーションが大切です。
ヨガにおけるセルフプラクティスはヨガを続ける上での最終的な目標ではありますが、時間とお金が許すなら、ぜひスタジオでのヨガの時間も楽しんでほしいと思います。

わたし自身が経験したスタジオでするヨガの良さは、
- 普段の生活空間から離れた場所でのプラクティス
- 家庭をとりまく雑音からも離れられる
- ただ自分自身を見つめることができる
- 自分のコンフォートゾーンを超えた場所での新しい出会いが生まれる
そんな時間と場所が持てることで、日常での自分の頑張りを自分で認められるようになり、さらにまわりとの関わりをより大切に思えるようになるでしょう。
ぜひみなさんも、様々な状況でのヨガと親しみながら、日常生活に活かせる自分のヨガを見つけて生きていってほしいと願っています。
参考資料
- 「インテグラル・ヨーガ – パタンジャリのヨーガ・スートラ」(スワミ・サッチダーナンダ著/伊藤久子訳/めるくまーる)
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