インドで開く、人生の扉 ─ 挑戦が次の章をつくる ─

インドで開く、人生の扉 ─ 挑戦が次の章をつくる ─

2025年11月。
インド・バンガロール ── 再び訪れる、あの感触。
空港の扉が開いた瞬間、バンガロール特有の湿り気を帯びた風が、まるで古い記憶を呼び覚ますように頬を撫でました。ヨガの聖地。そして、1年前の私を“壊した”場所。2024年の旅で崩れ落ちた、自分の中に長く居座っていた“こうあるべき”という鎧。
あれは今思えば、次の物語を始めるために必要だった“予告編”だったのかもしれません。
そして今回は、まるで私の人生がそっと次の扉を示すためにインドへ呼んでいる ─ そんな気配が最初から漂っていました。その予感は、思いがけない瞬間に確信へと変わります。

「人生は挑戦です」─ その一言が扉を開いた

ヴィダーナ サウダ(政庁ビル)
ヴィダーナ サウダ(政庁ビル)

私は今回も、バンガロールにある某ヨガ大学を訪れました。ある先生のお話を聞きに行った、その時のことです。悩める生徒からの質問に、先生はふと視線を上げ、日常の中にそっと真理を置くかのように、静かに言いました。

「人生は挑戦です。」

その瞬間、胸の奥で過去の記憶が静かに蘇りました。

─ そうだ。これは私の師匠も、かつて同じ響きで告げていた言葉。

「人生の挑戦者になれ。」

行者とは、不可能を可能にする、“人生の挑戦者”。
ふたつの言葉がひとつに重なり、深く、そして確かに私の胸へ落ちていきました。

ヨガは優しさだけじゃない ─ “静かに挑む力”

挑む道
挑む道

ヨガというと、自分に優しく、受け入れて、癒される ─ そんな柔らかい世界を思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん、それは大切な側面です。けれど、ヨガはそれだけではありません。誤解を恐れずに言えば、ヨガとは「挑む道」“自分という存在”と向き合う、深い挑戦そのものです。

私はかつて、「人生は挑戦だ」という言葉を、“頑張れ”“諦めるな”“行動し続けろ”、そんな励ましだと思っていました。けれど今は違います。

試練は“準備ができた人”にだけ訪れる

人生を“挑戦”として受け取るということは、目の前の出来事を良い・悪い・成功・失敗と判断することではありません。むしろ、試練は人を選んでやってくるのです。あなたの器が、その試練を受け取れるほどに整ったタイミングで。
“なぜ今それが起きたのか”には、必ず理由があります。乗り越えられない試練は一つもないのです。ですから、逃げる必要も、無理に頑張る必要もありません。

ただ、あなたが“迎える準備ができた”だけ。
そう思うと、試練はもう敵ではなく、あなたの人生が次の章へ進むための静かな合図に見えてくるのです。

神様の采配 ─ 物語の主人公は“あなた”

先生は続けました。

「私たちの人生は、神様が書いた物語です。」

インドでは「神様」という言葉は、宗教的な存在というより、“自然の流れ”や“宇宙の法則”を指す日常語に近いのです。その言葉を聞いた瞬間、私の胸の内側で何かがそっと動きました。

神様の物語 ──
でも、その神とはどこか遠い存在ではありません。
その中心に“あなた”がいる。
その神様とは、“あなた自身”。
あなたの魂が選んだ挑戦、経験、人間関係、痛み。そのすべてが、本来向かうべき場所へ戻っていくための“道しるべ”。
もしかしたらあなたは、主人公であるだけでなく、その物語を紡ぐ“脚本家”でもあるのです。

そしてその“種明かし”は、準備が整った者にだけ明かされます。
なぜなら、器が整っていなければ、どんな真理も、サインも、ただ静かに横を流れ去ってしまうからです。

サインを受け取る“器”

ヨガの行を深める目的は、ポーズの完成ではありません。身体を整え、心を澄ませ、人生からのサインを受け取れる“器”を育てることです。

ヨガを学んでいる方なら、聖典の中にアシュタ・シッディという“特別な力”が記されていることをご存じかもしれません。このシッディについては、あらためて別の記事で紐解いていこうと思いますが、それは、誰もが一度は惹かれてしまうほど魅力的な力でもあります。ですが、本当に大切なのはシッディを求めることではありません。まずは、それを受け取れる器を整えること。

私が感じている“流れ”は、超能力ではありません。それは、心が透明に澄んだ時にだけ起こる、ごく自然な一致。
世の中で「引き寄せ」と呼ばれている現象も、その一致の“表面的な姿”にすぎません。引き寄せようとするのではなく、受け取れる器を整える。その先に、必要な出来事は自然と訪れます。

人生は扉の連続 ― 物語は次の章へ

私自身、まだ何かを悟ったわけではありません。ひとつ扉を開けると、また次の扉が現れる…… そんな旅の途中にいるだけなのです。
だからこの記事も、“教える側”ではなく、あなたと共に歩む旅の仲間として書いています。

人生は挑戦です。その挑戦は、あなたを選んでやってきます。そして、バンガロールは今日も、そっと新しい扉の鍵を私の手に乗せようとしているのです。
人生の扉は、いつも突然に、しかし必ず“準備の整ったタイミング”で現れます。試練も、気づきも、別れも、出会いも ─ そのすべてが、次の章へとつながる静かな合図。
私もまた、この地でひとつの扉を開きました。そして今、その次の扉の前に立っています。

あなたは、次の章へ進む準備は整っていますか?

2025年11月 インド・バンガロールにて