みなさん、こんにちは。丘紫真璃です。
今回は、ポーランドの児童文学『すばらしいフェルディナンド』を取り上げたいと思います。
この物語の主人公は犬のフェルディナンドです。小さい頃から私も兄もこのお話が大好きで、何度も何度も読んで楽しみました。犬のフェルディナンドの冒険が、とにかくひたすら楽しくて、明るくて、面白くて、くすくす笑いながらどんどん読めてしまいます。夢中になって笑いながら読んでいる間に、気がついたら終わってしまうのがこのフェルディナンドの物語なのです。
さて、そんなユーモアあふれるフェルディナンドの物語とヨガにどのような関係があるのでしょうか?みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
フェルディナンドの作者ルドウィク・J・ケルン

『すばらしいフェルディナンド』の作者は、ポーランド出身のルドウィク・J・ケルン。1921年にワルシャワで生まれました。第二次世界大戦中はナチス占領下のワルシャワにいて、市民たちによる悲劇的な抵抗「ワルシャワ蜂起」(1944年)にも加わったそうです。
悲惨な戦争を体験したケルンは、戦後、ポーランド通信社の記者として働きながら俳優学校に通います。1948年からはクラクフに定住し、ポーランドで人気ナンバーワンの週刊誌『プシェクルイ』専属の寄稿者として、風刺詩やユーモア詩を寄稿し続けました。
数々の詩集を出した後、1963年に出版されたのが『すばらしいフェルディナンド』です。
この本はポーランドで大変な人気を博し、ハンガリーやスロバキア、チェコ、ロシア、イギリス、アメリカ、日本などの世界各国で翻訳され、国を超え時代を超えて愛されてきました。
ちなみに主人公のフェルディナンドは、作者自身の飼い犬フェルディナンドがモデルになっているそうですよ。
2本足で冒険に出る犬のフェルディナンド

物語は、犬のフェルディナンドがお気に入りの古いソファに丸まって眠っているところから始まります。フェルディナンドのご主人も、同じソファに寝そべってうたた寝をしています。フェルディナンドは、ご主人の足を見つめながらこんなことを考えました。
こういう足はぐあいがいいだろうな。いきたいところへいける。どんなにとおくまでいったって、だれにも「おとなしくついてきなさい!」なんてどなられない。なんだってやっていいんだ。
『すばらしいフェルディナンド』
それから、ふっとすてきな考えがひらめきます。
もし、このぼくが、ソファからたって、げんかんのドアのところまでいったら!階段に出て、この2本足で立ってみたら!このうしろ2本足で!
『すばらしいフェルディナンド』
自分の考えにワクワクしたフェルディナンドは、玄関に走っていきます。玄関ドアは閉まっていましたが、フェルディナンドがじっと待っているとやがて郵便配達員がやってきました。奥さんが郵便物を受け取っている間に、フェルディナンドは素早く郵便配達員の足の間をくぐりぬけ、外に出ることに成功しました。
フェルディナンドは、郵便配達員が見えなくなったのを見すまして行動に出ます。誰もいないことを確かめてから2本の後足で立ち、手すりにつかまりながら階段を降り始めたのです。
おもってた以上に、うまくいきました。3階から2階におりたときは、しょうじきいって、ちょうど初舞台をふんだ人のように、あぶなっかしい足つきでしたが、2階から1階にくるときは、もう新米ではなく、どんなすばらしい階段でも、あるきなれた人のように、自信たっぷりな足どりでした。
『すばらしいフェルディナンド』
そうして見事に2本足で歩き始めたフェルディナンドですが、洋服を着ていないことに気がついて洋服屋に入ります。
面白いことに、洋服屋は、フェルディナンドが犬だということは全く気がつきません。おまけに、洋服屋は、フェルディナンドのことをとても気に入ってしまいます。
こんな感じのよいお客に、洋服屋はいままでいちども出あったことがありませんでした。フェルディナンドにみつめられると、洋服屋はろうのようにくにゃくにゃになりました。
『すばらしいフェルディナンド』
そして上等で素晴らしい背広とワイシャツ、ネクタイ、靴まではいたフェルディナンドがお金の心配をしてソワソワし始めると、洋服屋はキッパリとこう言います。
おっしゃりたいことはよくわかります。いま、お金をおもちでない、ということですね。ご心配なく。お金の問題ではありません。あなたがよろこんでくださった、満足してくださった。わたくしは、そのお気もちが、どんな大金よりうれしくおもえますよ。もう、お金のことはこれっきりお忘れください。フェルディナンドさん、あなたはりっぱな方ですよ。
『すばらしいフェルディナンド』
こうして素晴らしく紳士的な服をゲットしたフェルディナンドは、どこに行っても感心されたり褒められたりしながら次々に面白い体験をしていきます。
レストランに入って骨をバリバリ噛んだら、店にいたお客さんたちから歯の丈夫なことを感心されて「ご立派、ご立派」と褒められたり、ホテルに泊まって乗ったエレベーターがホテルの屋根を突き抜けて空高く飛んで行き、犬の品評会が行われている公園に着陸したりと…そこでフェルディナンドは、犬にものすごく詳しいと感心されメダルまで贈られます。
この物語では、このような楽しいナンセンスな出来事が次々と展開していくのです。
物語の続きはぜひ、本を手に取って読んでみて下さい。
楽しく型を破る

さて、この『すばらしいフェルディナンド』ですが、作者のケルン自身が誰よりも楽しんで書いていることがとてもよくわかります。ケルンはどんなにワクワクしながら、飼い犬のフェルディナンドをモデルにこの物語を書いたことでしょう!子ども心全開にして、この本を書いたに違いありません。
ヨガでは、子どものように純粋な心を持つことをサットヴァと言いますよね。ヨガでは、サットヴァな心を持つことがとても大事だと言われるのですが、作者のケルンはまさしくサットヴァな心全開でこの物語をワクワクしながら書き上げたのです。
サットヴァな子ども心には、常識なんてつまらないものはいりません。子ども心はいつでも無邪気で楽しく、自由で型にとらわれないものなのですから。このフェルディナンドの物語には、常識なんて一切通用しません。そんなものは軽く飛びこえて、紳士犬フェルディナンドは楽しく明るく型破りな冒険を繰り広げていくのです。
ヨガの大きな目的は縛りからの解放です。そういった意味で言えば、この物語は、縛りから解放されすぎなくらい解放されている自由な物語だということができるでしょう。
子どもたちにはユーモアを

この『すばらしいフェルディナンド』が、ポーランドで生まれた物語だという点にも注目していきたいと思います。ご存じの通り、ポーランドという国は辛い歴史を背負っています。ロシアやドイツに幾度も侵略され、一度はすっかり消滅してしまいました。また、第一次世界大戦後に独立してからも第二次世界大戦でナチスドイツに侵略され、ソ連からも攻め込まれ、戦争の苦しみを嘗め尽くしました。
作者のケルン自身も第二次世界大戦を経験しています。『すばらしいフェルディナンド』が出版された1963年のポーランドは、ソ連の衛星国として完全な独立国とは言えない状態でした。戦争の影が生々しく残っている状況の中、戦争文学や戦争映画、戦争演劇が数多く作られました。
けれども、子ども向けとなると話は別でした。ポーランドの児童文学には、戦争に関係するものはびっくりするほど見当たりません。ナンセンスものやファンタジー、ユーモア童話、冒険物語など、明るくて楽しい作品がほとんどです。ポーランドの児童文学に関わる大人達は、子どもたちに戦争の物語を強いて与える必要はなく、むしろ明るくて楽しい物語をたくさん与えようと考えていたのです。『すばらしいフェルディナンド』は、ポーランドの子どもたちに与えられた楽しくて明るいユーモア童話の中の一つでした。
私もその考え方に賛成です。
心の中に犬のフェルディナンドや、ピーターパン、サンタクロースなどの楽しいものがいっぱい入っている子どもたちは、成長して大人になった時、心の中に “いいもの”がたくさん残っているような気がするのです。たとえ大人になりフェルディナンドのことを一時忘れてしまったとしても、フェルディナンドを読んだ時にお腹の底から笑って楽しかったことは絶対に心に残ります。大人になった時にフェルディナンドがいた心の中に残る“いいもの”は、お腹の底から笑った時に感じた楽しさや明るさ、ユーモアなどではないでしょうか。
『すばらしいフェルディナンド』は、子どもはもちろん大人のみなさんにも読んでいただきたい名作です。疲れた時、『すばらしいフェルディナンド』のページをそっとめくってみませんか。絶対に楽しくて愉快なひとときを過ごせることと思います!
参考文献:『すばらしいフェルディナンド』(1995年)13刷発行 著:ルドウィク・J・ケルン 訳内田莉莎子
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