姿勢の土台「骨盤」についてのおさらい

姿勢の土台「骨盤」についてのおさらい

「骨盤を立てる」ってどういうこと?

ヨガスタジオに行ったり、トレーニングを教わったりすると言われることがある「骨盤を立てる」。でも骨盤がどのように動くのかをイメージできていないと、立てること、ましてや動かすことすらできないものです。

姿勢を決める土台とも言える骨盤は、脊柱と連動しているので、背筋を伸ばしたり、丸めたりすることで簡単に前後に動かすことができます。では「骨盤を立てる」というのはどういう動作なのでしょうか?

骨盤は股関節を軸に前後に動きます。「骨盤を立てる」とは、「骨盤を前に倒す意識をする(前傾)」ことを表します

ただし、背中が丸まった猫背の人やお腹・お尻が出っ張っている人などは骨盤をニュートラルな位置に保ちにくいもの。また、直立した時に、すでに反り腰=骨盤の前傾型の人には、腰痛を併発する可能性があるため、さらに前傾したほうがいいとは言えません。何ごとも中庸を目指すことが基本です。

「骨盤が歪む」は骨そのものが歪むわけではない

「骨盤が歪む」という言い方をしますが、もちろん骨そのものが歪むわけではありません。骨盤は本来、足からの衝撃と上からの重力の間で体の安定性を保つため、動かないようにできています。しかし、股関節や脊柱の動きに連動し、結果として仙骨が少し動いたようにも見えるのです。


例えるなら、車のブレーキの「遊び」。ブレーキには本来の動く範囲とは別に「遊び」と言われる部分が存在します。その「遊び」がガチガチに硬くても、緩くてもスムーズな走行は難しいのです。

骨盤にも、このわずか数ミリの「遊び」の部分があります。それによってバランスを整え、体を安定させることができるのです。この微妙な動きを「歪み」と言うならば、そう言えるというわけです。

「骨盤が開く」とはどういうこと?

骨盤は左右の腸骨が仙骨に着いた状態で形作られています。「骨盤が開く」とは、この腸骨の上部分が左右に広がることを、指しています。この場合、同時に左右の座骨が近づきます。これは生理の時などにあり得ることだと、よく聞きます。

解剖学的に言い換えると、「骨盤が開く」とは恥骨結合が緩む、仙骨が起き上がる、左右の坐骨が近づくこと。反対に「骨盤が閉じる」は、恥骨結合が近づく、仙骨が遠ざかる、左右の坐骨が離れるとなります。

ただし、この感覚は実は東洋医学的な視点。西洋医学では骨盤が簡単に閉じたり、開いたりすることはないとも。生理の時など、あなたはどんな感覚でしょうか?

骨盤はカラダの要

骨盤は上半身でもあり、下半身でもあります。カラダの中心にあるので、何を行うにしても、とても重要な場所です。体内の巡りが悪くなると、途端に骨盤内が冷えてしまうので、さまざまな不調を起こします。そして、女性の場合では生理や妊娠に影響を及ぼすことになるため、冷やさないように注意が必要でしょう。

また、骨盤底(性器)のあたりにある第1チャクラ、下腹部にある第2チャクラと、生存や生きる力に関係するチャクラがあるのもここ。より元気にエネルギッシュに生きるためには、骨盤内のエネルギーの巡りを整えておくことは、生きる力を蓄えることにもなるのです。

教えてくれた人

内田かつのり/鍼灸師・ヨガ解剖学講師。
アヌサラヨガなど複数のTTC修了。リラヨガ、ヨガジェネレーションなど各地でヨガ解剖学集中講義やTTを行う。

取材:Yogini編集部
イラスト=macco
出典:『カラダの仕組みと使い方』/「ヨガ的骨盤徹底研究」