状況別ケーススタディ~公園編~

なかなか、子どもとのコミュニケーションがうまく取れない。子どもが言うことを聞いてくれない……と、悩んでいる方は、状況別のケーススタディを学んでおくことも役立ちますよ。
今回は子どもが公園で遊ぶのに夢中になって、なかなか帰ろうとしてくれない状況に、どう対処したらいいのか、具体的にお伝えしたいと思います。
公園からの帰宅は45分前行動で
特に男の子は、外で遊ぶのに夢中になると周りが見えなくなり、「帰るよ!」と言った途端、泣く、怒る、逃げ出す、滑り台をしつこく滑りだす……など、手につけられない状況に直面することが多いかもしれません。
そんな時に役立つのが、実際に帰る時間の45分前から“帰るサイン”を出すことです。例えば17:00には確実に公園を出たい場合、16:15には、「もう帰るよ」と、伝えましょう。
その時の子どもの反応は、

となることがほとんどです。もし、何か遊具に夢中になっている場合は、

と、再びアナウンスをします。しかし、それでも子どもは言うことを聞かないのがほとんどですので、イライラせず、気長に待ちながら、うまく帰る方向に誘導していきましょう。
“尊重”こそ、最高の愛情表現

ポイントは、3回で終わるはずがない、と見込んでおくこと。そのための45分前行動ですから、たとえ子どもが言うことを聞かなくても「約束したじゃない!」と言葉にするのは禁物です。子どもにしてみたら“勝手に約束させられた”という気持ちになり、かえって状況がこじれていきます。
もし、

と、言われたら
じゃぁ、あと3回はどう?
それなら帰ってくれるかな?

と、無理やり約束をさせるのではなく、“代案”として持ちかけましょう。
代案とは自分の希望を相手に伝える行為です。相手が引き受けるかどうかは、確定ではないことを念頭に入れてください。つまり、あくまでも対等に意見を交わすことが重要になるわけです。
ここからが、いよいよ本番です。ラスト3回で満足してくれれば取引成功。御の字ですね。しかし、なかなか取引に応じてくれない場合、タイムリミットの15分前に、あえて多めの回数を伝えてみてください。
あの時計の針が5時になったら帰るからね。協力してくれるかな?
じゃあ、最後!あと5回やってもいいよ!

それでも、うまくいかないケースもあるかもしれませんが、はなから親の言い分を子どもに押し付けるのではなく、子どもの様子を見守りながら、会話を交わしたことで、子どもは「自分が満足するまで待ってくれた」と、感じてくれるはず。
それは自分のことを大切にしてくれたという自覚にもつながります。自分のことを尊重してくれる人には、子どもであっても自然と協力したくなるものです。
ちょっとした工夫で子どものほうから「協力をしたい!」と思ってもらえるような対応を心がけることは、お互いにとって謙虚な愛情表現になります。
そんな風に育てられた子どもは、いつしか、多くの人を受容し、そして結果を急がず待てる、大らかで優しい大人へと成長を遂げていくことでしょう。
相手の気持ちを想像することが大切

考えに瞑想すると、他人の気持ちがわかる
(ヨガスートラ3-19)
瞑想とは、感情の赴くまま、思考を動かさないことです。感情的になると、視野が狭くなります。そうした自分の心、考え、行動パターンや態度に注意を払うことを瞑想によって体得することで、自分の心を理解できるようになります。
いつも自分の都合だけを考えてしまう……。それは、自分の感情だけに囚われている状態に等しいといえます。そのとき、感情だけを見てしまっている自分に気づくことができれば、感情と、考えや行動を切り離すことができます。
そうして冷静に自分の内側をフォーカスできるようになると、他人の気持ちを察することが自然とできるようになります。つまり、相手を待てるようになるということです。
その結果、自分の気持ちも大事にしながら、相手の要求も大切にできるWIN-WINな関係を築いていけるでしょう。その姿勢は、子育てのみならず、あらゆる関係性をよりよくするうえでも役立つはずです。
参考資料
- 『やさしく学ぶYOGA哲学 ヨーガスートラ』向井田みお著、2015年、アンダーザライトYOGA BOOKS






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