小高い岩の上で朝日に向ってあぐらで座り腕を頭上に伸ばして合掌している女性

ヨーコ・フジワラのヨガ哲学:バランスのとれた心のために

心の静けさを見つけるには?

日々の生活の中で、友達に受け入れられたい、社会に受け入れられたい、あるいは家族に受け入れられたいという欲求は誰しもが抱いています。

私自身、人に受け入れてもらうために自分をきれいに着飾ったり、知識を増やしたり、逆に「あの人たちと一緒にされたくないから」と反発した経験があります。しかし誰かにほめられたり、多くの友達に囲まれても、この欲求が長く満たされることはありませんでした。

どうしたら私たちは満足感を得て、心の静けさを見つけられるのでしょう。

「心の層」について理解する


サーンキャ(Samkhya)哲学
では心(Citta:チッタ)の層を以下のように定義しています。

  1. Manas:マナス
  2. Ahamkara:アハンカーラ
  3. Buddhi:ブッディ

簡単にこれらの定義を説明すると、マナスが考えの基本となる部分で五感を通した反応、例えば熱いものに触れたときに無意識に手を引く反応です。

次にアハンカーラ、その言葉を直訳すると、「Aham:アハン=私」「Kara:カーラ=作る・起こった事象を所有化する」となり、すなわち「私」を作るエゴ(我想)です。

上の例をたどると「私の手が熱いものに触れて、私が火傷した」と定義ですることができます。

最後にブッディは知性です。例をたどると、ストーブを見て「前回間違えて触ったときに火傷したっけ、もう触らないようにしよう」と物事を理論立てして学習します。

ここまでが心(Citta:チッタ)の定義となりますが、このさらに後ろにはこれをすべて傍観する「Purusha(プルシャ):真の自己(Self)」がいます

幻想にまどわされやすい人間の心の動き

海に面した岩の上にバランスよく積まれた6個の石
2点間でバランスを取るにはその中間に重心をおく必要がある

これら心の層はコンピュータを例えにして説明するとわかり易いかもしれません。

マナスはWordやExcelなど、私たちが一番身近に使用するアプリケーションだとします。アプリケーション(マナス)の下にはそれを走らせるMacOSやMicrosoft WindowsなどのOS(アハンカーラ)があり、さらにはこれらのソフトウェアはパソコンなどのハードウェア(ブッディ)の上で動作します。

真の自己、プルシャはこのコンピュータの動きを操作する人間です。

多くの人が認識する「自分」はこのアハンカーラの創造物で、幻想に過ぎないのです。もう一度コンピュータの例を使うと、プログラムが正常に動いているから自分は正常だと思ったり、コンピュータの動きが遅くなったから自分が遅くなったと勘違いするようなものです。

物事には良い/悪い、好き/嫌い、強い/弱い、上手/下手など、常に両極があります。幻想の「自分」をこの判断基準にのせて両極を行ったり来たりさせていては心の静けさ見つかりません。

まずは一歩後ろにさがってこの「自分」を第三者の目から見つめ、どちらの極にも執着することなく物事をそのまま受け入れなければなりません。2点間でバランスを取るにはその中間に重心をおく必要があります。

意識を内側に向けて「自分」を受け入れよう

心のバランスも同じです。心のバランスを取ることはアサナの練習にも反映します。

心の動きを止めることがヨガである
Yogas Citta Vritti Nirodhah

– ヨガスートラ I-2

私たちが生きている限りこの心の層を消し去ることはできないでしょう。しかしながらヨガの練習によってその動きを静めることは可能です。心の動きが静まると、その後ろにある真の自己、プルシャを垣間見ることができます。真の自己はこれらの幻想を冷静に見つめ、真実と偽りを判別することができるでしょう。

真の自己は周りからの認知を必要としません。私たちが受け入れてもらおうと外に向けていた意識を内側に向け、心のバランスを取りながら批判なく「自分」を受け入れることで心の静けさは見つかります。

文:ヨーコ・フジワラ

プロフィール

ヨーコ・フジワラプロフィール写真
ヨーコ・フジワラ

東京出身。2005年にハワイへ移住し、2006年よりホノルルを中心にヨガを教える。サンガワイ代表。2013年よりハワイにてヨガティーチャー育成を始める。

パープルヨガハワイのキャシールイーズ・ブローダのもとアシュタンガ・マイソール弟子入りを含め、マンジュー・ジョイスのプライマリー及びセカンダリーティーチャートレーニング、その他マタニティヨガ、キッズヨガのトレーニング等も修了している。

サンガワイのメイン講師としてトレーニングを遂行する一方、パープルヨガハワイにてマイソールクラスを受け持ち、日々アシュタンガヨガを伝える。

ヨーコ自身幼少期から個性を求めながらも他人との違いに苦闘する経験を持ち、日本の社会で自分らしくあることに葛藤した後にハワイに移住。ヨガと人生の多くの変化を通して自己の理解を深める。ヨガの練習が大きく進歩したのも、自分自身と正面から向き合うことがきっかけとなったと信じている。

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