八支則(ヤマ・ニヤマ)を日常に取り入れるコツ!

八支則(ヤマ・ニヤマ)を日常に取り入れるコツ!ヨガ哲学の実践

ヨガとは本来、ヨガ教室やマットの上だけで行うものではありません。私たちの人生がもっと幸せに満ちたものになるためのメソッドです。生活スタイルや考え方を含めて、生き方のコツを教えてくれます。

中でも八支則は、ヨガの経典として最もポピュラーなヨガスートラの中で、アーサナの練習の前に土台として実践すべきと言われている考え方です。

八支則の実践には、まずは1つを覚えること

アーサナやプラナヤマの練習に比べて、八支則を常習するのは難しいと感じる人も多いでしょう。理由の一つに、8つもあるので、全てを常に意識するのが難しいと感じたことはありませんか? 私も、ヨガ・スートラを勉強し始めたころ、8つの名前の暗記だけで大変でした。

安心してください。ヨガの智慧は、難しそうに見えてとてもシンプルで効率的。

ヤマ・ニヤマは、その中のたった一つを完全に身に着けようと努力するだけで、無意識に他のヤマ・ニヤマの10個が身につくように考えられています。

ヤマ・ニヤマとは?
ヤマ・ニヤマとは?

私の大好きなアヒムサを例にあげてみます。

アヒムサとは、自分も他人も傷つけないということ

アヒムサを練習すると、どうして他のヤマも習得できるのかをご説明します。

サティア(正直)

嘘をつく行為は、相手を傷つけるだけでなく、自分自身の中にもネガティブで不純な感情を持ち込み、傷つけてしまう行為です。正直でいることは、自分自身も大切にするということです。人も自分も傷つけないということは、自然とアヒムサの実践と通じています。

アステーヤ(不盗)

物質的、精神的に奪う行為は、最も人を傷つける行為で、アヒムサに反します。

ブラフマ・チャリア(禁欲)

極端な快楽による行為は、自分自身の生命のエネルギーを著しく消費します。エネルギーのバランスを崩す行為は、自分を傷つけることと同等で、アヒムサに反してしまいます。「欲」の感情を正しくコントロールすることは、エネルギーの枯渇を避け、自分を守る行為です。

アパリグラハ(不貪)

人間の欲は、一つが叶うと、もっと欲しがるように出来ています。貪欲な心は、自分自身に与えられたものに満足できなくなる心で、自分自身を幸せから遠ざけます。貪欲さによる不幸な感情から自分を守ることもアヒムサの一環です。 

いかがでしょうか?同じように、アヒムサをニヤマの5つに当てはめて考えてみても良いでしょう。

このようにヤマ・ニヤマの練習は、

  1. 自分が実践する一つを選ぶ
  2. あらゆる角度から、その課題について考える
  3. 日常生活で、その一つだけは必ず守るように意識を持ち続ける
  4. 実践の中で感じたことから、さらに課題について考える

これだけで自身の考え方と、生活がガラリと変化するのを感じることが出来ます。

バガヴァット・ギータの12章でクリシュナが説いたように、ヨガの練習は一つの道ではありません。ある人は瞑想で、ある人は知恵を学ぶこと、または自身の行いで、またある人は神への信愛で、どの道を選んでも到達できると説かれています。沢山の方法の中で、一人一人に適したヨガがあります。

まずは、ヤマ・ニヤマの中から一つ自分の課題を選んでみましょう。

例:アヒムサが何かを深く考えてみよう

アヒムサ(非暴力)とは、他人に暴力を行わないこと。他人を傷つけないことは、自分を大切にする行為。
アヒムサ(非暴力)とは、他人に暴力を行わないこと。他人を傷つけないことは、自分を大切にする行為。

さて、自分の課題が決まったら、その課題の意味を徹底的に考えましょう。私の大好きなアヒムサを例に挙げてご説明します。

アヒムサ(非暴力)とは何でしょうか?

アヒムサ(非暴力)とは、他人に暴力を行わない。悪口も言わない。物理的にも、精神的にも傷つけない。

もちろん対象は、人間だけではなく、動物や植物、普段使っている道具にも暴力的にならないようにしましょう。

そして、もちろん自分自身に対しても同じ。実はこれが一番大切です。他人を傷つけないことは、自分を大切にする行為です。他人を傷つけると、それを行った自分の中に負の感情を背負ってしまいます。

ヨガの練習は、自分自身を純粋な状態に近づける練習です。

誰かのために行う自己犠牲ではなく、自分自身のためだと自覚しましょう。全ての不純な感情に繋がる行為は、アヒムサに反しています。

アヒムサの具体例

喜びだと思っていることは本当に喜びかを自問しましょう

ワインは本当に喜びでしょうか?
ワインは本当に喜びでしょうか?

例えば、ワインを飲んでいるところを想像してください。ジェスチャーで飲んだふりをしてみると良いかも。

飲んだ瞬間の姿でストップ!

舌が痺れるような感覚がありましたか? それは身体が自然に警戒した証拠。最初の表情を鏡で見てみてください。

それは笑顔? 無意識に顔の筋肉が緊張して苦しそうな顔をしていませんか? 「かーっ!美味い!」と言った時の顔、実は苦いものを食べた時の顔と似ていませんか?

それがワインを飲んだときの、本当の感情です。

アルコールが美味しいという感覚は、味覚をつかさどる感覚器官や、記憶、知識などによって後からやってくるものです。それは純粋な自分の喜びとは違うのかもしれません。自分の感覚を鈍らせるために飲んでいませんか?

インドでベジタリアン思想が多い理由の1つもアヒムサ

ヨガ発祥の地インドでは、ベジタリアンがとても多いです。

ヨギーは、ベジタリアンを貫くのもヨガの練習の一つだと考えます。動物の肉を食べるということは、動物を殺した時の感情を一緒に食べる行為です。

  1. 動物を殺したときの、人間の殺意や暴力性
  2. 殺された動物の恐怖や痛み、悲しみ

これらのネガティブな感情から自分自身の純粋さを守るのがアヒムサです。

私は、誰もがベジタリアンになる必要はないと思っています。お酒を頂くこともあります。

自分が食べているものについて考えて、選択する行為が大切なヨガの実践です。あらゆる日常に対して観察しましょう。本当に自分の心が喜ぶ行為なのか、表面的な欲望なのか、意識を向けることが大切です。

ヨガ哲学は、自分自身を純粋な状態にするためのメソッド

まず自分自身の快適な状態とは何かを知るところから
まず自分自身の快適な状態とは何かを知るところから

たった一つの課題、例えば「アヒムサ」について考えるだけで、自分の行い全てを考え直すきっかけになります。思考が変われば行動が変わり、人生が変わります。

しっかりと自分自身の感覚を観察して、正直に従いましょう。「私はこういう人間。こういう感情を持っている。」といった思い込みは、世間に適応するために学んだ、間違った知識かもしれません。

まず自分自身の快適な状態とは何かを知るところから、ヨガ的な生活は始まります。

すでに書いたようにヨガの哲学は、自分自身を純粋な状態にするためのメソッド。

人に優しくしている時でさえ、自分が快適でないといけません。とても利己的に聞こえてしまったでしょうか? それでもまずは実践してください。自分に優しくなると、自然に周囲にも優しくなります。そして、誰も私を傷つけないことに気が付くかもしれません。

それは、ヨガのポーズを練習している時も、日常生活でも同じ。一つずつ、今出来ることから。もっとヨガを生活の中で感じてみませんか?

Hari Om…

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