ブラックマスタード

記事の項目

概要

ブラックマスタード（英名：Black mustard、学名：Brassica nigra L.）は、アブラナ科アブラナ属の一年草で、別名はクロガラシ。原産地は、南ヨーロッパ、地中海沿岸など。

高さ2m以上になる一年草で、四弁の黄色い花を直立した茎に三房状につける。花は成熟するとベージュからこげ茶色の種子の入った細長い鞘になる。

マスタードという名は、この植物の種子を発酵前のブドウの果汁「マスト」に浸し、それによってできた混合物を「マストラム」と呼んだ古代ローマの習慣に由来している。

葉は野菜として栽培されている。種子はそのまま口に含んでもあまり辛味を感じることはないが、すりつぶしたり、加熱したりすることによって香ばしい香りや、苦味、辛味を抽出することができる。現在マスタードの主流はカラシナ（ブラウンマスタード）に移り、粒マスタードに利用されるのもカラシナの種子である。

古代インドの法典には重さの最小単位として「サルサバ」＝「マスタードの種子1粒」が挙げられている。エジプトでは第12王朝のピラミッドから大量のマスタードの種子が発見されている。

マスタードは古くから知られて履いたものの、中世までは主に塗り薬、湿布、催吐剤などとして利用されていた。17世紀のフランスで種子を圧縮乾燥する方法が発明され、「粉カラシ」が作られるようになった。

日本には奈良時代中期に中国から渡来して栽培されるようになり、平安初期の『延喜式』の中に「芥子（からし）」の名が租税作物や天皇が食した食品として記載されている。

抗菌、防腐、利尿、殺菌、健胃