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ハート・オブ・ヨガ シニア・ティーチャー
川原朋子による全3回のシリーズ連載がスタート!
Part1:「Heart of Yoga:人の数だけヨガがある」

ハート・オブ・ヨガの「ハート」とは?

  
「ハート・オブ・ヨガ(Heart of Yoga)」。その名前を聞いて、真っ先に思い浮かぶものは何でしょう?“ハートマーク”という答えは、きっと少なくないはず。実際、わたしも初めはそうでした。「ハートってあのハート?」「ヨガの心?!」「よく分からないけれど、なんとなく名前の響きに惹かれて来ました」と言ってくださる方も多いので、クラスでは、まずこのヨガがそう呼ばれる由来をお話するようにしています。
 
ハート・オブ・ヨガの“ハート”は、サンスクリット語の「フリダヤ(hridaya)」。“心”を表す言葉です。また、“心臓(もっとも大切なもの)”という意味もあります。わたしの恩師、ハート・オブ・ヨガを提唱するマーク・ウィットウェルは、「フリダヤは、すべての相反するものが生まれ、戻る場所」と言います。つまりは、“あらゆる生命の源”ということ。そして、英語のハートが“中心”を表すように、“ヨガの本質(もっとも大切なもの。中心)”というのが、「ハート・オブ・ヨガ」の名前に込められたメッセージです。

これは、ヨガの流派名ではありません。いわゆる「流派(スタイル)」でヨガを語るなら、ハート・オブ・ヨガは「ハタ・ヨガ」です。ゆったりとしたペースのヨガ全般がハタ・ヨガと呼ばれることがありますが、本来の言葉の意味は別にあります。そうした通称と混同することがないよう、ヨガの本質を大切にした伝統的なプラクティスであることを表すために、その手法に「ハート・オブ・ヨガ」という名前がつけられています。
 
 

ハタ・ヨガの意味は”相反するものの融合”

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写真左:現代ヨガの父T.クリシュナマチャリア氏の写真/中央:ハート・オブ・ヨガ提唱者マーク・ウィットウェル氏/右:T.クリシュナマチャリア氏の息子であり、マーク氏の恩師にあたるT.K.V.デシカチャー氏
 
「ハタ」とは、サンスクリット語で太陽と月。つまりは、陰(月)と陽(太陽)。「ヨガ」は、融合、結合。「ハタ・ヨガ」とは、“相反するものの融合”を表す言葉です。ハート・オブ・ヨガの名前の由来である「フリダヤ」は、相反するすべてものが生まれ、戻っていく、生命の源。すなわち、そのフリダヤこそ、ハタ・ヨガの象徴です。
 
生命の源から生まれてきた存在、生命体としてのわたしたちを例に考えてみましょう。わたしたちの命は、父親という男性、母親という女性、その相反するものの融合です。そして、性別が女性であれ、男性であれ、誰もが女性性と男性性、その二つを合わせ持っています。つまりは、わたしたちの命が、ハタ・ヨガそのもの。
 
その命は、身体という形を持って、今を生きています。上半身と下半身、左半身と右半身、身体の前側と後ろ側、そして内側と外側。わたしたちの身体もまた、相反するものの融合(ハタ・ヨガ)であることは、言うまでもありません。
 
ハタ・ヨガであるわたしたちを、まさにこの瞬間も生かしてくれているものは何でしょう?それは命ある限り、停まることなく続く「呼吸」です。吐く息(呼気)と、吸う息(吸気)。ここにもまた、大切なハタ・ヨガがあります。
 
 

アーサナは”動く呼吸法(プラーナヤーマ)”

 
だからこそ、ハート・オブ・ヨガでは、他の何ものでもなく、自分の「呼吸」を敬います。自宅などでする日常のプラクティスや、一対一でのプライベートのクラスはもちろん、たとえ複数で行うグループクラスであっても、参加者は指導者のインストラクションについていくのではなく、自分の呼吸に従ってアーサナ(ポーズ)やヴィンヤサ(呼吸に合わせて身体を動かすこと)をするのが特徴です。そして、ポーズをするために呼吸をするのではなく、呼吸をするためにポーズをします
 
それゆえ、“動くプラーナヤーマ(呼吸法)”とも呼ばれますが、プラクティスにおいて、呼吸がすべての主導権を握るのは、マットの上で、自分自身のハタ・ヨガ(命)を称えるため。身体という形を持ってこの命があり、それを呼吸が生かしてくれていること。その奇跡とも言える現実に意識を戻し、命としての自分を慈しむためです。
 
マークの大切な師の一人であり、現代ヨガの父と呼ばれる偉大なヨギ、T. クリシュナマチャリアはこう言っています。
 

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「呼吸はあなたのグル(師)です。あなたのグルに従いなさい」
“The breath is your guru. Obey your guru.”
— T. Krishnamacharya

 
 

「人の数だけヨガがある」

 
何よりも、呼吸が優先。それは、他の誰でもなく、「自分自身のヨガ」をするためでもあります。インド発祥と言われるヨガですが、かつては師から弟子へ、一対一で伝えられていたものでした。マークも若い頃インドに渡り、自身の師であるクリシュナマチャリアや、その息子であるTKV. デシカチャーに、一対一でヨガを教わっています。そこで一番大切にされていたのは「個」を重んじること。人がヨガに合わせるのではなく、ヨガを人に合わせるということでした。
 
でも、なぜそれほどまでに、個が重視されていたのでしょう。それは、一人ひとりが、唯一無二であるがゆえ。年齢、性別、体型、体力、生活習慣、文化的背景…。わたしたちは様々な要素がかけ合わさった複雑な存在で、何もかも自分と同じという人は、他に誰もいません。クリシュナマチャリアが言うように、“百人いれば百通りのヨガ”があって当然なのです。
 

「たとえどんな人であっても、正しいヨガは一人にひとつ」
“There is a right yoga for each person no matter who the person is.”
— T. Krishnamacharya

 
ハート・オブ・ヨガは、その「ヨガの本質」を大切にするためにも、自分の呼吸をプラクティスの中心にしています。ただインストラクションに従い、他の誰かのポーズを真似ていたら、それは、自分のためにヨガをしているようで、他人のヨガをしているのと同じこと。気づかないうちに自分に合わないことをしてしまい、それが怪我や不調の原因にもなりかねません。残念ながら、それでは本末転倒です。
 
ヨガは他の誰でもない「自分自身」のためにするもの。自分に合ったヨガこそ、正しいヨガです。何が合っていて、何が合っていないか。それを教えてくれるのも、いつも自分の「呼吸」です。そうやって呼吸に寄り添うことは、自分の命、ハタ・ヨガを敬うこと。だからこそ、マットの上に立つことは、苦行や挑戦ではなく、この上ない喜びであり、祝福なのです。
 

「もがき苦しむのはやめましょう。呼吸に従うのです。アーサナをしていて、呼吸についていくのが辛くなったら、ポーズを緩めます。何か別のことをしてみるのです。呼吸があなたを先導しているとき、力技で、ねじこむようにポーズをするのは良くありません。プラクティスのどの瞬間も、呼吸と一つでありましょう」 
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(マーク・ウィットウェル)

“Don’t struggle. Obey your breath. If you can’t stay with the breath in the asana, then ease up! Do something different. It’s not good going to some sort of muscular effort in the body if the breath leads you. Stay with the breath in every moment of the practice.”
— Mark Whitwell

>>Part3はこちら Heart of Yoga: 指導者であることは友人であること
>>Part2はこちら Heart of Yoga: 7分間の奇跡
 
 

Profile pic+川原 朋子(ハート・オブ・ヨガ シニア・ティーチャー)
リストラティブ・ヨガ/リストラティブ・ヨガ セラピューティック講師、ヨガ専門の通訳・翻訳者としても活躍中。
東日本大震災の復興地にリストラティブ・ヨガの輪を広げるチャリティ”Breathe for Peace(B4P)”を展開するなど、マットを超えたヨガの普及に力を注ぎつつ、ヨガが身近でない場所にヨガを届けることをライフワークとしている。https://www.facebook.com/yoga.with.tomoko

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