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ヨガの教えは、どこからきたと思いますか。
伝統的に、ヨガの教えは必ずグル(先生)から伝えられますが、グルのグルのグルの……と続けていくと、教えが先か、グルが先かとなり、ニワトリと卵の関係になります。
インドでは、神聖なものへの知識は特定の誰かが作ったのではなく、太初からすでに存在し続けたものだと言われています。では、それらの教えがどのようにして人々に与えられたのか、インドで最も古い聖典である『ヴェーダ』から考えていきましょう。
『ヴェーダ聖典』とは?

ヴェーダとは、「知識」「智慧」を表す言葉です。ここでいうヴェーダは、人が生み出したものではなく、著者という概念がありません。
古代インドの聖者たちは、儀礼や厳しい修行を行うことで、神々からの啓示を受け取ることができました。そして神々から受け取った言葉を暗記し、口承で後世に残してきたものが、現代まで残っているヴェーダです。また、神様から直接授かった教えをシュルティ(天啓)と呼びます。
ヴェーダはとても膨大な知識ですが、それを4つに分類してまとめられたものが現在の『ヴェーダ本集(サンヒター)』です。
今でも伝統的なヴェーダの学校に行くと、先生から口承で伝えられ、若い生徒たちは繰り返し唱えながら暗記します。ヴェーダは決められた音の数で作られており、正しいリズムで読むことで心地いい音を生み出します。
4つの『ヴェーダ』

では、4つに分類された『ヴェーダ』を紹介します。
『リグ・ヴェーダ』:神々への韻文讃歌(リチ)が集められている。 『サーマ・ヴェーダ』:詠歌(サーマン)。インド音楽の源流。 『ヤジュル・ヴェーダ』:祭詞を収録。儀式に使用する。 『アタルヴァ・ヴェーダ』:呪術的な神的儀礼。編纂時期が最も新しい。
それぞれの『ヴェーダ』の特徴をみていきましょう。
『リグ・ヴェーダ』
4つの『ヴェーダ』の中で最も古いものが、『リグ・ヴェーダ』です。
全部で10巻あり、紀元前15世紀から紀元前13世紀にかけて成立したとされていますが、1000年以上の間、口承のみで伝えられてきたと言われています。
『リグ・ヴェーダ』には1028篇におよぶ神々への讃歌が含まれています。例えば、最も有名なガーヤトリー・マントラは、『リグ・ヴェーダ』の3巻に含まれています。現代でも人々が唱えるマントラは、『リグ・ヴェーダ』から来ていることがあります。
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『サーマ・ヴェーダ』
祭式の時に旋律にのせて歌われる旋律(サーマン)が多く収められているものが、『サーマ・ヴェーダ』です。
これは、現代の古典インド音楽に繋がるとされています。讃歌は『リグ・ヴェーダ』に含まれているものを多く採用していますが、音程・節回し・抑揚・リズムなどを細かく規定しています。
インドでは、音こそが全ての根源だと考えるナーダ・ブラフマンという考えがあることからも、いかに音を重要視していたかがうかがえます。
『ヤジュル・ヴェーダ』
「祭る」「供犠を捧げる」「崇拝する」という意味のYajを語源としている『ヤジュル・ヴェーダ』は、儀礼のための詩句がおさめられています。『ヤジュル・ヴェーダ』には、黒ヤジュルと白ヤジュルの2種類があります。
『ヤジュル・ヴェーダ』では、祭祀で唱えるマントラだけでなく、儀式の方法、使う道具、供物についてなど、とても細かく指定されています。神々への儀式がとても重要視されていることがわかります。
『アタルヴァ・ヴェーダ』
4つの『ヴェーダ』の中で最も新しいものが、『アタルヴァ・ヴェーダ』です。主に呪術的な内容が含まれており、密教のもとになっているのではと言われています。または、アーリア人以前の土着の民族の信仰がもとになっているとも言われています。
『アタルヴァ・ヴェーダ』には、病気を治す薬草や呪句、悪霊の祓い方、幸運祈願、子宝祈願などの俗世的な望みを叶えてくれるものが多く含まれています。そのため、『アーユル・ヴェーダ』の元になっているとも考えられています。
現代にも繋がる古代の教え

4つの『ヴェーダ』は、何千年も昔に、神々から聖者たちが受け取った言葉をまとめたものですが、そんな古い叡智が現代でも引き継がれています。
インドでヨガを学ぶと、必ず毎日マントラを唱えます。『リグ・ヴェーダ』にはそんなマントラが多く含まれており、出典を知ることで、その奥深さに驚かされます。マントラには音のエネルギーがあり、言葉の意味を知らなくても大きな影響を受け取ることができる実感があります。そんな音のエネルギー科学を説いてくれるのが『サーマ・ヴェーダ』です。
また、日本人が神社で二拝二拍手一拝の作法にしたがってお参りをするように、インドの人たちも日常的に神々への礼拝を行います。毎日の祈りや、人生の節目の特別な儀式で行う作法は『ヤジュル・ヴェーダ』が教えてくれ、現代まで引き継がれています。
インドでは日常的に多くの薬草を含んだマサラ(香辛料)を使用しますが、マサラは味をよくするだけではなく、健康には欠かせないものです。季節や体調、調理する食材によって、各家庭で使用するスパイスは、おばあさんの知恵袋的に暮らしの知恵として伝わっています。そんな日常的な知恵の元になっているのは、『アタルヴァ・ヴェーダ』かもしれません。
そう思うと、遠く昔の聖典も身近なものに感じられます。
『ヴェーダ』の教えを受け取った聖者リシとは

4つの『ヴェーダ』は天から授かった叡智ですが、それを受け取るのはリシと呼ばれる聖者たちです。古代から聖者たちは厳しいタパス(苦行)を行うことで、神聖な意識と繋がる力を得ていました。
最も有名なガーヤトリー・マントラを授かったのは、聖者ヴィシュヴァーミトラです。
ヴィシュヴァーミトラは、元々クシャトリヤ(王)として生まれました。強大な軍勢を引き連れて遠征を行う中、聖者ヴァシシュタのアシュラムを訪れ、素晴らしいもてなしを受けました。そこで、すべての兵や動物たちをもてなすことができるのは聖なる牛の力だと知り、神牛を奪おうとします。しかし、世界で一番強いと自負していた王ヴィシュヴァーミトラの軍勢は大敗してしまいます。
力とは軍事力ではないと知った王は、苦行の道に進むことを決めました。
タパス(苦行)、ブラフマチャリヤ(禁欲)、ディヤーナ(瞑想)、マントラ全てを極めたヴィシュヴァーミトラはリシ(聖者)としての能力を得ました。リシとなったヴィシュヴァーミトラは突然ヴィジョンを見て、ガーヤトリー・マントラの音が降ってきたと言います。
このように、インドでは、どんな富や権力よりも修行の中で得られる真理の方が大切だと考えられていました。私たちも、大切なことは、ヨガで自分に向き合うことで初めて気がつくことができるのですね。
『ヴェーダ』を哲学的に説いた『ウパニシャッド』
『ヴェーダ』の中でも、本集(サンヒター)と呼ばれるものはすでに紹介した4つですが、大きい意味では4つの『ヴェーダ』がさらに5種類に展開します。
『サンヒター』(本集) :天から受け取ったマントラが収録。 『ブラーフマナ』(祭儀書) :儀式の方法。神学的知識。儀式の意義。 『アーラニヤカ』(森林書) :秘技的な祭式。人里離れた場所で受け継がれる。 『ウパニシャッド』(奥義書) :哲学書。
この中で、ヨガでも参照することが多いのは『ウパニシャッド』です。『ウパニシャッド』は、『ヴェーダ』の哲学的な側面を担うものです。
ウパニシャッド的な思想では、世界の本質を正しく理解することこそが解脱に繋がると考えます。より宗教的な儀式に重点を置く本集(サンヒター)に比べると、じっくりと内観することを大切にしています。
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ヨガの背景を味わおう
私たちが現在実践しているヨガも、古代インドで神から与えられたものだと言われています。大きな時代の流れの中で、ヨガが生まれてきた背景を考えると、より深みが増してくるはずです。どうしてもフィジカルに重きを置きがちなヨガですが、歴史を遡ることで、自分が練習しているヨガをもっと楽しめるのではないでしょうか。









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