ヨガをしながら世界を旅する トルコのヨガ事情

ヨガをしながら世界を旅する
トルコのヨガ事情

イスラム教徒が多いトルコにおいて、ヨガはどのように広まっているのだろうか。

世界一周ヨガ旅をしているYutoです。
私は、アフリカのケニアを訪れた後、中東にあるトルコを訪れました。
この国を訪れた目的は、世界的に有名なブルーモスク(スルタンアフメトモスク)を見るためです。そして、イスラム教が普及しているトルコにおいて、ヨガがどのような形で人々の間に広がっているのか興味があったからです。

トルコの首都イスタンブール

街中で人慣れした犬
街中で人慣れした犬

首都イスタンブールは、ヨーロッパの様なオシャレな街並みが広がっており、アフリカ大陸から新しい大陸に来たのだと心がワクワクしました。
また、印象的だったのは、街中に沢山のふくよかな野良犬が歩いていたことです。どの犬もおとなしくて人慣れしており、「この国の人は動物を大切にする優しい人が多いのかな」という印象を受けました。

ブルーモスク(スルタン・アフメト・モスク)
ブルーモスク(スルタン・アフメト・モスク)

念願のブルーモスクを訪れると、その迫力と美しさに圧倒されました。
そして、そこで真剣にお祈りをしているイスラム教徒の人々の熱意にも感動しました。

私が首都イスタンブールに滞在した2日間では、ヨガスタジオを見ることはありませんでした。ネットで探せば必ずあると思うのですが、そこまで多くはないのかなという印象を受けました。

イズミルでのボランティア

自然豊かな地域
自然豊かな地域

首都での滞在の後、私はトルコ南部にあるイズミルという地域に移動しました。イズミルは、自然豊かな暖かい気候の土地で、とてもリラックスできる場所だと感じました。
私は、そこで2つのヨガリトリート施設のボランティアへ参加することにしました。

Valley of breathヨガリトリート農場でのボランティア

ホストの夫婦
ホストの夫婦

1つ目のヨガリトリート施設は、街の中心から車で2時間程離れた場所にありました。そこは森の中のとても静かな場所で、鳥や風の音以外はあまり聞こえず、ヨガをするには最高の環境だと感じました。

今回、ボランティアのホストをしてくれたのは、イギリス人の旦那さんとトルコ人の奥さんの夫婦でした。2人共とても優しく、お互いを尊敬している関係性が素敵だと感じました。ホストの2人が直接ヨガを教えることはなく、ヨガリトリートを実施したい人に対して、ヨガスタジオ付きの宿泊施設と食事の提供をしているスタイルでした。

また、パーマカルチャーと呼ばれる、自然を大切にする持続可能なエコな生活を実践しており、敷地内の農園にはたくさんのオーガニック野菜が育っていました。採れたての新鮮な野菜はとても美味しかったです。

ボランティアの私には、モンゴル式テントのような個室を用意してくれました。
オシャレなデザインで、ベッドも清潔、シャワーとトイレも設置されており、とても快適に過ごすことができました。
ボランティアの仕事は1日5時間。9時から16時までの間、休憩を挟みつつホストと一緒に様々な作業を行いました。
私が滞在していた時期は、ヨガリトリートが始まる直前の準備期間だったので、プールの清掃や畑作業、施設の清掃などを手伝いました。

トルコのヨガのトレンドを尋ねると、「今はメンタルよりも、フィジカルにフォーカスしたヨガが主流だと思う」と話してくれました。

用意していただいた食事
用意していただいた食事

ホストは、夜ご飯も用意してくれました。奥さんの作るトルコ式のベジタリアン料理はとても美味しく、毎日たくさん食べてしまいました。笑

数日間一緒に生活して印象的だったのは、ホストのジョンさんのとても優しく温かい人柄でした。
私は、こんなに優しくて温かい人がいるのかと驚き、感動しました。そして、「何があなたの幸せを作っているの?」と聞いてみました。
するとジョンさんは、「何が私の幸せを作っているのか?」と、最初は少し困った様な表情を見せました。
私は、あまり良くない質問をしてしまったのかと思いましたが、ジョンさんはこのように答えてくれました。

「何か特別な物が私の幸せを作っているわけではない」
「ただ、今この瞬間を楽しむ。感情を引きずらない。真実の自然体でいることを大切にしている」

私はこの言葉を聞いて、ヨガ哲学の言葉を思い出しました。

「今この瞬間に集中する」
「執着をしない」
「自分の身体の声を聞く」

ジョンさんの言ったことは、ヨガ哲学のこれらの言葉と似ていると感じました。

ジョンさんが何を学び、どのようにして今に至ったのかはわかりませんが、とても大切なことは、全ての教えにおいて共通していると感じました。
そして、どのように実践していくかが1番大切だと感じました。

また、私が「将来、ヨガリトリート宿を作りたい」と話すと、このように言ってくれました。

「結果にこだわらず、ただ楽しむことが大切だよ。そうしたら続けられるし、自然とできる」

今のジョンさんのヨガリトリート施設も、最初からヨガリトリート施設を作ろうと思ったわけではなかったそうです。自分の家、ゲストルーム、ヨガスタジオと一つずつ作っていくうちに今の形が出来上がったそうです。

リトリート施設
リトリート施設

このヨガリトリート施設でのボランティア生活は、とても充実した幸せな日々でした。
朝は静かな森の音で目が覚め、素敵なヨガスタジオで朝ヨガをして、その後、朝ご飯を食べ、ホストと一緒に作業をして昼休み。
午後に再び作業をしたらシャワーを浴び、美味しくて健康的な夜ご飯を食べ、夜のヨガをして早めに寝る。
そんな理想的な日々を過ごさせてもらいました。
そして、ホストの夫婦はいつも優しく笑顔で、一緒に生活していて元気をもらっていました。

ヨガリトリート宿を作るには、素敵なヨガスタジオや寝室、美味しいご飯なども大切ですが、何よりも重要なのは、人を温かく元気にすることができる人柄だと感じました。

YOKA Systemヨガリトリートセンターでのボランティア

YOKA Systemヨガリトリートセンター
YOKA Systemヨガリトリートセンター

約1週間のボランティア生活を終えて、次に向かったのは、YOKA Systemと呼ばれる健康法を実践しているリトリートセンターです。
YOKA Systemとは、創設者のヨギ・カズィム・ギュルビュズさん自身が重度の脊髄損傷から、ヨガをベースとした独自のリハビリ方法を実践し、歩けるようになるまでに回復した経験を元にした健康法です。
最初にこの説明を受けたとき、「世の中には色々なヨガの形があるのだな」と感じました。
実際に体験してみると、ヨガよりもフィジカルにフォーカスしたピラティスのような側面が大きいと感じました。

私がボランティアに参加した時期は、ちょうど1週間のトレーニング合宿の期間でしたので、参加者の方と一緒にYOKA Systemを体験することができ、とても幸運でした。

毎食ブッフェ形式
毎食ブッフェ形式

ボランティアの仕事としては、参加者へのヘルプや掃除が中心でしたが、正直なところ、仕事がほとんどなく、自由な時間やYOKA Systemのトレーニングに参加する時間がほとんどでした。
食事も毎食ブッフェ形式で、美味しいトルコ料理が食べ放題だったので、節約旅で普段あまりご飯を食べられない分、脂肪を蓄えておこうとたくさん食べさせてもらいました。笑

とても素晴らしい日々でしたが、一つだけ大変だったことがあります。
それは、言語の問題でした。
スタッフや参加者は英語を話せる人もいましたが、流暢に話せる人は少なく、全く英語を話せない人も多かったです。私はトルコ語が全然理解できず、大変なこともありました。
しかし、ボランティアも参加者もとても良い人が多く、みなさんが気さくに話しかけてくれ、なんとかコミュニケーションを取ろうとしてくれる姿が嬉しかったです。
私も「もっとコミュニケーションを取りたい!」と必死にトルコ語を覚え、簡単な会話からコミュニケーションを取り始めました。

合計10日間ほど滞在しましたが、とにかくトルコ人の優しさとご飯の美味しさで、トルコがとても好きな国になりました。

ヨガを深く実践している人ほど、良い人が多い印象を受けます。
それは、身体と同時に心や精神、魂が磨かれていくからだと思います。

トルコの人々とヨガ

トルコの方々とヨガをしている様子
トルコの方々とヨガをしている様子

今回の旅で私が見た限り、トルコの人々がヨガに対して精神面や哲学的な面を深く追求している印象は受けず、フィジカルな面にフォーカスしている印象でした。
そして、出会ったみなさんはとても優しく、素敵な人が多かったです。

私の経験では、トルコの人々の精神の中核にはイスラム教の教えがあるので、ヨガには精神性や哲学などを多く求めないのかなと感じました。
そして、イスラム教には旅人には優しくするようにという教えがあるとも聞きました。ですので、私のような初めて会う旅人にも、とても優しく接してくれていたのかもしれないと感じました。

トルコでヨガを実践している人たちは、宗教や文化に拘らず、自分たちの生活をより良くするために、インドのヨガの知恵をうまく取り入れていると感じました。
伝統的なインドのヨーガを大切にするという考えも大切ですが、自分たちの生活や人生をより良くするために、ヨーガを柔軟に変化させて取り入れる姿勢も重要だと感じました。

世界にはその国に適した色々な形のヨガがあっても良いのかもしれない。
そう感じさせてくれるトルコのヨガ旅でした。

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