こんにちは。丘紫真璃です。
今回は、料理研究家である土井善晴さんの『一汁一菜でよいという提案』を取り上げたいと思います。テレビの料理番組などで、土井義晴さんのことを一度は見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。『おかずのクッキング』や『きょうの料理』などによく出演されていますよね。
土井さんのレシピで、我が家でもよくおかずを作ってみるのですが、いつだって間違いのないおいしさがあります。
そんな料理研究家の土井さんが提唱したのが『一汁一菜』。
毎日の献立に悩む必要なんて全然なく、毎日3食、ご飯とお味噌汁、それに漬物だけで大丈夫だとおっしゃるのです。様々なおかずをバランスよくとるのが良いというのが常識ですよね。そんな常識をくつがえす驚きの提案に、私は思わず本を手に取り読んでみました。すると、そこにはヨガとつながる土井さんの料理哲学が書かれていたのです。
というわけで、今回は、『一汁一菜で良いという提案』とヨガのつながりについて考えていきたいと思います。
土井義晴さんとは
土井義晴さんは、1957年に料理研究家である土井勝、信子夫妻の息子として生まれました。料理研究家の家庭で育っただけあって、幼い頃から料理はとても身近にあったのでしょうね。義晴さんは、両親と同じ料理の道を志し、スイスやフランスでフランス料理を、大阪の「味吉兆」では日本料理の修行をします。
その後、「土井義晴おいしいもの研究所」を設立し、『きょうの料理』や『おかずのクッキング』などの料理番組にも多数出演されます。レシピ本の出版はもちろん、様々な大学で食文化教育活動を行ったり、レストランの総合開発に携わったり、料理講座や対談、講演会なども数多く行って、料理研究家として現在も多忙な毎日を送っていらっしゃいます。2022年には文化庁長官表彰を受賞されました。
一汁一菜とは?

この本の冒頭には、こんなことが書かれています。
この本は、お料理を作るのがたいへんと感じている人に読んでほしいのです。
毎日の献立を考えるのがたいへんだという人が多いと聞きます。遅くまで仕事をしていると、家に帰ってからお料理をする気にもなれない。外のことを優先して、大切にすべき自分のことは後回しにしてしまう。ついおろそかにしてしまう。結婚してちゃんとしようと思っても、仕事をしていると食事の支度が負担になる。一人暮らしでは面倒だ。子どもたちが大きくなって手が離れるとお料理するモチベーションがなくなる、といろいろな声が聞こえてきます。今、お料理をしない、できないという理由はいくらでもあるのです。土井義晴. 『一汁一菜でよいという提案』. 新潮社.令和5年. p,14
料理嫌いの私は、この冒頭で早速ウンウンとうなずいてしまいました。
毎日の献立を考えるのは面倒くさいし、買い物に行くのは億劫だし、食事の支度をする時間があったら仕事をしたいなんて考えてしまう私ですから、これはもしかしたら、私が読むべき本なのかもと心底思いました。
そういうわけで、読んでみると、料理研究家であり数々のおいしいおかずのレシピを紹介してきた土井さんが、毎日の食事はご飯とお味噌汁、それに漬物が時々あれば十分だと言っているのですから、ものすごく驚いてしまったのです。
え、少なくない?っていうのが、正直な私の感想です。栄養バランス的に良くないのでは? とも思ったのですが、それは大丈夫だと土井さんは言います。
一汁一菜は、現代に生きる私たちにも応用できる、最適な食事です。おかずをわざわざ考えなくても、ご飯と味噌汁を作り、味噌汁を具だくさんにすればそれは充分におかずを兼ねるものとなります。魚、豆腐、野菜、海藻などを時々に応じて汁に入れ、発酵食品の味噌で味つけます。肉を少量入れてもいいでしょう。血肉骨を作るタンパク質や脂質、身体の機能を整えるビタミン、ミネラル(カルシウムなど)を含む食材を具とします。
「飯」は、身体や頭を働かせるエネルギー源(炭水化物)です。昔なら雑穀やかて飯(芋や大根を増量のために炊き込んだご飯)、玄米や白米です。
「香」は漬物です。味噌と同じ発酵食品のぬか漬けや白菜漬けですが、これはご飯を食べるための塩気であり、必ずしもなくていいと考えています。土井義晴. 『一汁一菜でよいという提案』. 新潮社.令和5年. p,58
こうやって読んでみると、なるほど!と思いますよね。
味噌汁に、栄養に必要な具をたくさん入れて煮込んでしまう!という発想に驚きました。土井さんによると、入れる具は本当に何でもよいのだそうです。前の日の残りのからあげを入れたっていいっていうんですから、びっくりですよね。
固定観念を取っ払う

それにしても、毎日3食、ご飯とお味噌汁、それに漬物の食事だと飽きてしまいそうですよね。パンだって、パスタだって、ハンバーグだって、いろいろ食べたいとつい思ってしまいますが、それはもちろんOKなのだそうです。
毎日の基本は、一汁一菜。ご飯と具沢山のお味噌汁と漬物と決めてしまいます。でも、仕事が休みの日など余裕がある時には、おかずを足せばいいというのです。ハンバーグを作ってみたり、パスタにしてみたり、パンにしてみたり。そういうおかずをつける時には、味噌汁の具を減らしたり、ご飯をパンに変えたりとアレンジしたらいいというわけなのですね。
余裕がある時にたまに作るからこそ、ハンバーグを作るのが楽しくなるのだと、土井さんは言います。忙しい時に、あくせくしながらハンバーグを作っても、大変なばっかりでストレスになるばかりだと。
だったら、おかずはたまの楽しみにしてしまえばいいというわけです。毎日、ご飯とお味噌汁、漬物の食事だったところに、たま~にハンバーグや、パスタを作ってみると、それは喜びに変わるのです。家族だって、ご飯とお味噌汁、漬物が当たり前だと思っていたところに、ごくたま~に、ご馳走のようにしてハンバーグが出たら、喜びもひとしおになるだろうというわけです。
家族の健康のためにいろいろな献立を考えなくてはいけないとか、手間暇をかけて料理をしなくてはいけないとか、様々なプレッシャーでストレスを感じている方は、とても多いのではないでしょうか。でも、そんなプレッシャーは全部いらないものだと土井さんは言い切ります。献立を考える必要はなくて、いつも同じご飯と味噌汁だけでいいし、手間暇をかけなくてもおいしいものを食べればいいんだと教えてくれます。
「こうでなければならない」という縛りから自由になることがヨガの目的の一つですが、そういう意味でこの本は、献立をいっぱい考えてたくさんのおかずを上手に作らなくてはならないという知らないうちに縛られていた固定観念から、自由にしてくれるものだと思いました。
食材全てが神

この本は、それだけにとどまりません。土井さんは、そもそも料理とは何かということまで掘り下げて考察されています。
お料理を自分で作るのであれば、どんな食料、どんな調味料を使うかを自分で決められます。どんな食材を使おうかと考えることは、すでに台所の外に飛び出して、社会や大自然を思っていることにつながります。その食料をどこでだれから求めるか、どこの産地のものなのか、どこの海で獲れたものかを知れば、食材を通して多くの人や自然が関わっていることがわかるでしょう。目で見て手で触れて料理をすることで、人間はその根本にあるものと直接つながることができるのです。
土井義晴. 『一汁一菜でよいという提案』. 新潮社.令和5年. p,53
料理に対してこんな考え方をしてこなかったので、これにも私はハッとさせられました。私ときたら、スーパーに並んでいる食材を買って、面倒くさがりながら料理をして食べているだけだったのです。
ですが、考えてみたら当たり前のことですが、食材は全てこの地球の自然から獲れたものなのですよね。野菜だって、肉だって、卵だって、全てそうです。私たちが口にする全ての食材は、地球の自然が生み出してくれた恵みです。そのことは、私の頭からすっかり抜けていました。
土井さんはさらに、料理の原点まで掘り下げて考えられています。大昔の古代日本では、八百万の神といって、神羅万象全てに神が宿ると考えられてきました。周りの生きとし生ける全てに神が宿っているわけですから、山に生えるたけのこだって、木の実だって、山菜だって、海で獲れる魚や貝だって、肉にだって、神が宿っているわけですよね。
つまり、古代日本では、食材は神そのものだったというのです。
お天道様が作った食材はすべてが神なのですから、おろそかに扱うことはありません。そんなことをすればバチがあたります。神様がそこにいるように、手を洗って、きれいな手で触れ、一つ一つ料理をしたのです。食文化とは、気候風土とともに大自然を畏怖し、神様を感じながら生まれたものなのです。
土井義晴. 『一汁一菜でよいという提案』. 新潮社.令和5年. p,136
料理をして食べるということは、神様と食べているということだったのです。そして、その考え方はヨガの考え方と全く同じです。
ヨガでは、生きとし生ける全ての中にプルシャがあると考えられています。プルシャとは永遠の何かということですから、それはつまり、神だといってよいでしょう。そして、ヨガでもまた、全てのものに神が宿っていると考えられているわけですから、当然、人間が口にする食べ物も神そのものだといえます。
古代のインドでも食事は神聖なものだったといいます。食事の前にはマントラを唱え、神に感謝を捧げます。そして、不浄の手とされる左手は使わず、右手だけで食事をします。
大昔は、日本やインドだけではなく世界中のどこだって、食材は神が作った特別なものだったのでしょう。ヨーロッパだって、食事の前には神に祈りを捧げますよね。どこの世界でも、生命をいただくということは、それだけ大切でおそろかにできないことだったのです。
土井さんは言います。
料理することは、生きることです。大昔も今も、料理することで、大自然に直接触れているのだと信じるのです。
土井義晴. 『一汁一菜でよいという提案』. 新潮社.令和5年. p,209
ここまで読むと、毎日の食事に並ぶ食材一つ一つに感謝をささげ、キチンと手を合わせて「いただきます」としなければならないなと心から思いました。
一汁一菜生活を実践するかどうかは別として、とりあえず、この本を読んでみませんか。自分の暮らしを見つめ直すきっかけになるのではないかと思います。
![Dr.マヘシュ直接指導![症状別]ヨガセラピー体験クラス](https://shop.yoga-gene.com/wp-content/uploads/2024/11/mahesh90-top-800x515_new-520x335.jpg)


![[新感覚!]瞑想状態を体験する。ケンハラクマ 瞑想集中講座](https://shop.yoga-gene.com/wp-content/uploads/2023/04/kenharakuma-meditationWS-1-520x335.jpg)



![現在、オハナスマイル祐天寺で開催されている、佐久間涼子先生による体幹トレーニングプログラム「THE BASIC」先日は、トレーニングの山場ともいえるモジュール3でした。筋発揮がテーマ。筋発揮は、筋肉が最大限の力を出すこと。これまでに一か月間、コツコツとトレーニングを積んできた皆さん。辛そうでしたが、確実に体は変わっていましたね!お疲れ様でした!これから忘年会シーズンですが、トレーニングを頭の片隅に置きながら、最後まで頑張りましょう^^応援しています!年内、佐久間涼子先生は「ハタヨガクラス」をオンラインと東京・対面で開催します。ぜひ、しっかり体を動かして、極上のシャバーサナを味わってくださいね。■佐久間涼子「ハタヨガ90分クラス」<オンライン>12月16日(火)<東京・対面>12月29日(木)[検索]ヨガジェネ 佐久間涼子ぜひ、涼子先生のクラスで、筋肉から熱を生みましょう!#ヨガ](https://www.yoga-gene.com/wp-content/themes/yogageneration/assets/images/common/transparent-1x1.gif)