記事の項目
毎晩寝苦しく、疲れからかなんとなくイライラしやすくなる季節が夏です。
みなさんは、自分の感情の傾向と季節の関係を考えたことはありますか。自然の一部である私たちは、周囲の環境から多くの影響を受けています。
特に理由も無いのに感情のコントロールが難しいと感じる時には、周囲の環境、季節、食べているもの、聞こえている音などに意識を向けてみると、思わぬ要因が見えてくるかもしれません。今回は、夏の気候とイライラについて考えてみます。
夏に強まる内側の炎を理解しよう

夏は太陽が最も強く照り付け、自然界全体で「火(ピッタ)」のエネルギーが高まります。
ヨガやアーユルヴェーダでは「ヴァータ(風)」「ピッタ(火)」「カファ(水)」という3つの体質(ドーシャ)の組み合わせで、自分が元から持っている性質や現在の状態を理解します。
ピッタ(火)ドーシャは、燃えるような情熱や光輝く特徴があり、ピッタの高い人は勇敢で自信家、機転が効き、志が高く、エネルギッシュな方が多い傾向があります。
その反面、ピッタのエネルギーが暴走した時には、他人を攻撃する闘争心や暴力性が表面化します。高すぎるプライドが仇となり、敵を作ってしまうこともあるでしょう。
また、強すぎる炎は自分自身を焼き切り、燃え尽きてしまうこともあります。
自分自身の目標に向かって歩むために大切なエネルギーでありながらも、バランスが崩れると、自分自身がその炎に飲まれてしまいます。
ピッタ(火)のエネルギーは、夏に強まります。内側の炎は他人を攻撃する暴力性を生み出すだけでなく、自分自身も傷つけてしまうので、自分の内側の炎との付き合い方はとても重要な課題です。そして、ピッタの炎をコントロールすることは、アヒムサー(非暴力)の実践に繋がります。
夏に乱れたピッタ(火)のエネルギーの危険信号

まずは、ピッタのバランスが崩れた時の特徴を学びましょう。自分自身の状態を知ることが、ヨガやアーユルヴェーダでは最も大切なことです。
ピッタの乱れ:心の危険信号
- 怒り:些細なことでイライラしやすい。攻撃的な言葉が出る。
- 批判的:自分に対しても他者に対しても、完璧主義に偏り否定的になる。
- 焦り:せっかちになって、「早くして」と言いがち。
- 競争心:自分が人よりも上でないと許せない。
- 不眠:寝苦しい。頭が冴えて、寝つきも悪い。
ピッタの乱れ:体の危険信号
- 肌のトラブル:赤みや湿疹が出る。ニキビが増える。
- 口腔内:口内炎ができる。喉が渇きやすい。
- 消化不良:胃酸過多、胸焼けがする。
不快感が強い夏には、それだけでもイライラしやすくなってしまいますが、自分の内側の炎が暴走することで、ますます悪循環を作ってしまいます。
まずは、自分自身に意識を向けたアヒムサー(非暴力)を考えていきましょう。
ピッタ(火)で自分を傷つけないアヒムサー(非暴力)

夏は、無意識に自分自身のピッタを暴走させるような生活をしがちです。
特に食生活では火のエネルギーに支配されて、自分自身を見失いがちです。自分自身を癒す、夏のアヒムサーについて考えていきましょう。
食事に気を付ける
私たちは、食べたもののエネルギーによって作られています。自分の状態が良くないと感じた人は、1週間でよいので食生活を変えてみてください。驚くほど、自分自身の心の状態が変わることがあります。
エネルギッシュなピッタ(火)が過剰になっている時には、唐辛子やニンニクなど、辛くて刺激的な食べ物、塩分が高いものを欲することがあります。夏に汗をかきながら食べる激辛は美味しいかもしれませんが、ピッタを暴走させてしまうので、できるだけ避けたい食べ物です。酸っぱい食べ物も注意が必要です。このような刺激性の食事を避けることで、イライラが急激に落ち着くことがあります。また、嗜好品への欲も高まりやすいので、ビールなどのアルコールにも気をつけたいですね。カフェインもピッタを上昇させ、暴力性を高める原因となります。
逆に、強すぎる熱を急激に冷ますために、冷たいものや糖質の高いものを欲することもあります。しかし、消化の力が弱まる夏に冷たいものを飲むことは、消化の炎を弱めてエネルギーを枯渇させてしまいます。冷たすぎるものを食べないことは、夏バテを防ぐためにとても大切です。
夏には、できるだけ消化に優しい食事を摂ることで、自分自身を大切にしましょう。
野菜は生ではなく火を通した方が良く、アイスクリームよりも新鮮なフルーツが良いでしょう。
調理にはココナッツオイルを使うと風味も良くなり、ピッタのバランスも整います。
食事をいただく時には、その瞬間の快楽よりも食べた後の自分の状態の快適さを意識することで、自分に優しい生活が見えてくるはずです。
心を落ち着ける
ピッタ(火)の乱れによって攻撃的になりやすい夏には、自分の心を整えるヨガを意識しましょう。
太陽のエネルギーが高い夏には、夜の月のエネルギーをできるだけ取り入れるのがお勧めです。夜はできるだけ静かな時間を過ごすことを意識しましょう。
水のある場所に行くこともお勧めです。陽が高くない時間に、湖畔や浜辺をゆっくり散歩するようなリフレッシュができると最高ですね。
心のバランスを整えるには、寝る前のトラータカがとてもお勧めです。キャンドルを使ったトラータカは、夏に多い目の不調や、自分の内側に溜まった消化不良のモヤモヤを消すことにも効果があります。難しいテクニックは考えなくていいので、夜にお気に入りのキャンドルに火を灯して静かに炎を眺めているだけで、とても心が落ち着きます。
ポジティブなことを考える
本来ピッタ(炎)のエネルギーは、積極的で明るいものです。自分の内側の活力を良い方向に向けることで、夏の期間を存分に楽しむことができます。
争いや競争心を煽るようなニュースや、SNSの投稿はできる限り目に入らないようにしましょう。夏には楽しいイベントも沢山あります。できるだけポジティブで、周囲の人と一緒に楽しめることを考えてみましょう。
月のエネルギーを高める
太陽のエネルギーが過剰になりやすい時期なので、月のエネルギーを高めることでバランスが取れやすくなります。特に、夜に月の呼吸を行うことがお勧めです。
チャンドラ・スートラ・プラーナーヤマ(月の呼吸)
1. 左の鼻腔からゆっくり息を吸う
2. 右の鼻腔から息を吐く
3. 1と2を繰り返す
左の鼻腔からの気道には月のエネルギーが流れ、右の鼻腔から始まる軌道には太陽のエネルギーが流れます。左から息を吸うことで月のエネルギーが高まり、右から吐くことで太陽のエネルギーが落ち着きます。本格的なプラーナーヤーマでは、クンバカという止気を行いますが、エネルギーを整える目的の時には必要ありません。
月の呼吸を行い、夜にしっかりと休むことで日中の疲労を取り去り、自分を快適な状態に整えることができます。
自分の内側の炎との関係を築く

私たちに活力を与え、人生の目標へ歩むエネルギーを与えてくれるのが内側の火です。
しかし、夏の季節には、どうしても火のエネルギーのバランスが崩れやすく、イライラしやすくなったり、身体を内側から傷つけてしまったりすることもあります。
内側の火の状態を知り、良いバランスを保つことで、自分も他人も傷つけない快適な状態が見えてきます。感情が荒ぶっている時には、どうしても外からの要因に意識が向きがちですが、ヨガで自分自身に向き合い、アヒムサーを実践してみましょう。








![Dr.マヘシュ直接指導![症状別]ヨガセラピー体験クラス](https://shop.yoga-gene.com/wp-content/uploads/2024/11/mahesh90-top-800x515_new-520x335.jpg)


![[新感覚!]瞑想状態を体験する。ケンハラクマ 瞑想集中講座](https://shop.yoga-gene.com/wp-content/uploads/2023/04/kenharakuma-meditationWS-1-520x335.jpg)



