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いつも哲学コラムをご愛読いただきありがとうございます。
今回は、私自身がグルジ(師)に帯同させて頂いたヨーロッパへの演奏旅行中に考えたことを共有させていただきます。
この演奏旅行では、とてもバクティ・ヨガについて考えさせられました。
私の音楽の師である Pt.ハリプラサード・チョウラシアは、オランダ・ロッテルダムのConservatoire(音楽院)で約30年間におよびインド音楽を教え続けていました。
パンデミックの影響によりインド音楽学科が無くなるまで、毎年数か月間ロッテルダムを起点に音楽活動をされており、今でもヨーロッパ全土に多くの生徒がいます。
今回はグルジの3年ぶりのヨーロッパ滞在ということで、ヨーロッパだけでなく中東やアメリカなど多くの国から、わざわざグルジに合うためにオランダを訪れる方が沢山いました。
この演奏旅行で私は、グルジの築いた師弟関係の深さに胸を打たれ、“インド的な師弟関係”から生まれるバクティ(信愛の心)について考えさせられました。
インドの師弟関係は知識だけでなくバクティ(信愛の心)を学ぶもの

私がインド人の先生に師事するようになって初めに感じたのは、ヨガであってもインド音楽であっても共通して、師弟関係の深さです。
インドにはグル・シーシャ(師弟)という文化があり、グルとは実の父親よりも深い関係だと考えられています。
せっかく学ぶのなら知識だけでなく伝統も
私のインド音楽の師であるPt.ハリプラサード・チョウラシアは、「誰であっても音楽を学ぶのならば、一緒にインドの伝統文化を学ぶべきだ」と考えています。
グルジ(師)には世界中のあらゆる国に生徒がいますが、どの文化圏の生徒であっても同じように1人の人間として向き合います。
自ら宗教やバクティ的な儀礼を強制することはありませんが、グルジと一緒にいる生徒たちは、同じ食事を食べ、インドの伝統的なイベントに一緒に参加する中で、少しずつグル・シーシャの関係や、バクティ・ヨガ(信愛のヨガ)を学びます。
音楽は知識ではなくて、人となりが作り出すものだと信じ、演奏者がエゴを捨てて、音楽に対するバクティ(信愛)を育てていくことで、初めて本当に美しい音楽が生まれるのだとグルジは経験を通して教えてくれます。
インドのバクティ文化が生み出した音楽の音色に惹かれたのであれば、外国人であってもその背景にある考え方も一緒に学ぶべきだと考えます。
オランダで感じた。エゴを超越したバクティ(信愛)の心

さて、今回の旅ではオランダに1週間滞在し、コンサートやワークショップを行いました。
公式の予定が入っていない時も、インド大使官邸に招かれたり、1日中来客が途絶えなかったりと、分刻みで全く自由時間のないスケジュールでした。
インド大使であっても、オランダで複数のビジネスを成功させているビジネスマンであっても、グルジと会う人は最初にしゃがみ込んでグルジの両足を触ります。
これは、インドで尊敬の意を表す行為です。インド人であっても外国人であっても同じように行っていました。
こういった小さなカルマ(行為)を行いながら、少しずつバクティを育てるのがインドの伝統です。
子供を連れてきたゲストは、自宅で子供たちに足を触る挨拶を教えてきたようでした。小さな子供たちが「プラナーム(尊敬を含んだ挨拶の言葉)」と言いながら、グルジの足に触ると、グルジは子供たちの頭を触って祝福を与えます。
カタチから入ってバクティ(信愛)を育てる
このような宗教染みた伝統には、必ず意味があります。
足を触るために相手の前にひざまずくこと、そして身体の中でも1番下にある足に触らせていただくことは、自分が目の前にいる相手よりも低い立場であると認識していると示す行為です。
バクティ・ヨガ(信愛のヨガ)の目的は、自分自身へのエゴを弱めることです。
人の心は、「自分が1番だと思いたい」「自分が富を独占したい」と思いがちです。そのようなエゴが大きくなるほど、周囲との衝突が大きくなってしまいます。
「自分だけが可愛い」という大きなエゴを弱めて、自分以外の誰かを深く尊敬する心は、その人の人間性を豊かに育ててくれます。
また、自分以外の誰かに心を委ねることができるようになると、初めて深い人間関係を築くことができます。
外国人の生徒たちは、最初は周りの人を真似して、「何の儀式?」と疑問を持ったまま足に触ります。
しかし、実際にクラスを受けた、自分の人生を変えるようなヒントを教わる中でグルジに対するバクティが育ってくると、初めて足を触る意味を理解します。
さらに、オランダのホテルに訪れた生徒たちは、椅子を勧めても地べたに座ろうとする人が多くて驚きました。
そもそも地面に座る習慣のないヨーロッパ生まれの生徒たちが、謙遜して椅子に座ることを躊躇する姿は、とても新鮮でした。
オランダで会った外国人生徒の多くはインドに長期滞在することが難しく、ロッテルダムの音楽院でグルジの音楽を学びました。都会のとてもお洒落な学校です。
音楽院の他の学科の生徒たちは、自分自身が音楽家として有名になることを目的に勉強しています。そんな環境でも、インド的な師弟関係の心を学び、グルジの弟子として音楽を深めたいと願う生徒が多いことに驚かされました。
この人のためなら何でもできる!を体現するバクティ

グルジと1週間の旅の間、私は読んで字のごとく24時間グルジのそばにいました。
インド音楽を知らない友人には「ヨーロッパに行けて良いね!」と羨ましがられることもありましたが、実際には自分のために使える時間は全くありませんでした。
パンデミック下で、グルジと同年代のインド古典芸術界のアーティストが多く亡くなり、グルジ自身も3年間グルクル(学校)に籠っていたことで、体力が著しく低下していました。
高齢の先生に帯同させていただく責任はとても強く、周囲の心配の声も大きかったです。
事前に何度もグルクル(学校)に行って、普段側近役をしている生徒や、ご家族から健康状態について、また必要な介助について入念に勉強しました。
それでも、実際には思っていた以上に身体的に疲れてしまいました。
昼間は、絶え間なくホテルを訪れるゲストのためにチャイを作っては、片づけをし、夜間は熟睡してしまうとグルジが起きた時に転倒のリスクがあるからと、物音がする度に起きていました。
幸いにも、私は医療機関で働いていた経験があり、こうやってグルジのサポートをさせていただくための経験だったのだなと過去の自分に心から感謝しましたが、日本の高齢者に比べて大柄なグルジの介助は、コツが掴めるまですごく大変でした。
現地の人たちの大きな愛とサポート
私が心の中で弱音を吐き始めた時、現地の人たちの大きな支えに助けられました。
今回のコンサートを主宰してくれた女性は、アムステルダム在住でインド音楽の学校を経営している女性でした。
家族がありながら、大きなイベントを主催されているパワフルで美しく多忙な女性でしたが、グルジとはほとんど初対面でした。
彼女にとっても初めての経験ばかりで大変だったはずですが、コンサートや宿泊先の手配だけでなく、ホテル生活で私が悩む度に駆け付けて、生活面で必要なものを届けたり、プライベートな書類関係の相談にも乗ってくれたりと、自分の予定を変更してあらゆるサポートをしてくださいました。
また、30年にわたりグルジのオランダ滞在のサポートをされている方もいらっしゃいます。
その方は、まったく金銭的な見返りがないのにかかわらず、グルジへの尊敬だけで自分の全てを捧げていらっしゃいます。
今回のホテルからは車で1時間離れた場所に住んでいらっしゃいますが、グルジの健康を心配して毎日手料理を運んでくださいました。外食続きは体調管理がしにくいので本当に助かりました。
グルジが音楽学校で指導していた時にも、何か月でも毎日食事を届け、グルジがオランダにいない時にはオランダの家の管理や、郵送物の管理をして下さっています。
グルジのご友人やファンの方には、世界中に同じようなサポートをされている方が何人もいらっしゃいます。
ただ純粋にグルジのことを尊敬して、グルジが喜ぶ姿を見たくて、自分のことよりも優先してグルジに何かしてあげたいと願っています。
全く知らない人から見ると、少し異様に見えるほどかもしれません。
グルジ自身は1度も自分自身を高く見せようとしたことがありません。
グルジ自身も先生から音楽という恩恵を受け取って、同じように生徒たちに授けていった。
その結果、自分の人生が豊かになったと感謝する人たちが増えて、今では世界中どこに行ってもグルジを待っている人たちがいます。
私自身はたった5年間半という短い関係の中で、他の生徒よりは冷静で冷めていると感じてしまうことがあります。それでも、グルジの1番近くでサポートする機会を与えて頂いて、沢山の大先輩たちの姿から学ばせていただき幸せでした。
知識だけでない師弟関係を見直す
インド発祥のヨガでも、現在はとても多様化したスタイルがあります。
伝統的なグル・シーシャ関係を重要視する学校も一部残っていますが、西洋からの逆輸入で入ってきたようなヨガでは、テクニックや知識だけを提供する場合もあるかもしれません。
あまりにも盲目な師弟関係は嫌悪されがちな時代ではありますが、パンデミック下で人と人との繋がりが希薄になっている現代社会の中で、深い人間関係の大切さも改めて感じるようになりました。
今回は、バクティ・ヨガの1つのカタチとして、今でも続いている伝統的な師弟関係をご紹介させていただきました。
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