こんにちは、丘紫真璃です。今回は、世界中で有名な『不思議の国のアリス』を取り上げてみたいと思います。ディズニー映画にもなっているアリスのことを知らない人は、ほとんどいませんよね。
懐中時計を手に持つ不思議な白ウサギを追って、ウサギ穴に飛び込んで、ナンセンスな冒険を繰り広げるアリスの物語に、世界中の子どもや大人が笑ったり喜んだりしてきました。
このアリスの物語とヨガに、どんなつながりがあるのでしょう。早速、私達もアリスの入ったウサギ穴に飛びこんで、不思議の国に出かけましょう。
夏の日のピクニックの物語と手書きの本
アリスの物語は、1862年7月4日に始まりました。アリス記念日ともいわれるその夏の日、オックスフォード大学で数学講師をしていたチャールズ・ラトヴィッジ・ドジソンは、大学の学寮長の娘達…アリス、ロリーナ、エディスという三人姉妹とピクニックに出かけます。
アイシス川にボートでくり出したドジソンは、10歳のアリスにせがまれて、アリスを主人公にしたお話を始めるのです。それが、のちに世界的に有名になる『不思議の国のアリス』でした。
本当なら、それだけで終わってしまうところでしたが、10歳だったアリスは、その話がものすごく気に入って、「あのお話をぜひ書いて下さい」と、ドジソンにしつこく頼みます。
ドジソンは、アリスの頼みに応え、徹夜で自分がしたお話をくわしく思い出し、大体の構想を立てて、物語を書き起こしたということです。そこに苦労して挿絵をつけて、1864年、クリスマスプレゼントとしてアリスに送りました。
ちなみに、その時の本の題名は『地下の国のアリス』だったそうです。
『地下の国のアリス』を読んだドジソンの友人は、この物語をぜひ出版するようにと、ドジソンに強くすすめました。出版にあたり、アリスの物語はかなり書き加えられ、『不思議の国のアリス』という題名に変わって、世の中に出ることとなりました。
その際、ドジソンも、「ルイス・キャロル」というペンネームを使っています。本物のアリスにクリスマスプレゼントをした『地下の国のアリス』の手書きの本は現在、大英博物館に展示されているそうです。
息つくひまもないナンセンスなアリス物語

不思議の国のアリスの物語は、主人公のアリスが、お姉さんのそばに座って退屈しているところからはじまります。
アリスとお姉さんは川のつつみに座っているのですが、お姉さんが本ばかり読んでいるので、アリスはやることがなくて、退屈しきっているわけです。そこに一匹の白ウサギがやってきて、アリスのすぐそばをかけぬけていきます。
それだけのことなら変わったこともなかったのですが、
ウサギがチョッキのポケットから、懐中時計をとり出して、時間を見て、また、とっとといそいでゆくのを見たときには、アリスも、思わずとび起きました。
なぜって、ポケットのついたチョッキを着ていたり、そのポケットから時計をとり出したりするウサギなんて、まだ見たことがないということに気がついたからです。
ー 『不思議の国のアリス』第1章より[1]
というわけで、アリスはウサギを追いかけてかけだし、ウサギが飛びこんだ大きなウサギ穴にためらいもせず飛びこんでいきます。そのウサギ穴は、深い深い井戸のようになっており、アリスは、地下へ向かって、どこまでもどこまでも落ちてゆくことになるのです。
そしてさあ、ウサギ穴をアリスがどこまでもどこまでも落ちてゆくところから、ナンセンスにつぐナンセンスな冒険が次々にくり広げられるのです。
「わたしをお飲み」というビンを見つけて飲んだとたんに、25センチくらいの大きさにちぢんでしまったり。かと思ったら、「わたしをお食べ」と書かれた箱に入ったお菓子を食べて、3mを超えてしまったり。
巨大になってしまったのが悲しくて泣いたと思ったら、次にはまた、みるみるうちにものすごくちぢんで、自分の涙におぼれるハメに陥ったり。赤ちゃんはブタに変わってしまうし、トランプの王様と女王様は、すぐに首をちょんぎりたがるし。
そのトランプの王様たちのするクロッケー遊びのボールはハリネズミで、ボールを打つ槌は紅ヅルといった具合で、とにかくハチャメチャでナンセンスな世界が息をつくヒマもないくらい、次々に展開してゆくのです。
物語のラストは、みなさんご存知だとは思いますが、この不思議の国の物語は全て、アリスの夢だったというオチで終わります。
今では、夢オチで終わる物語といったら定番中の定番ですが、最初にその定番を作ったのは、この『不思議の国のアリス』でしょう。物語は、アリスとお姉さんのいた川のつつみでしめくくられます。
ドジソン教授の見た無意識下の世界
ところで、ドジソン教授ことルイス・キャロルは、アリス達三姉妹にお話をしている間、瞑想状態…すなわち、ディアーナの状態にいたと私には思えて仕方がないのです。
アリスのお話は、ドジソン教授が頭で考えて作り出したお話ではありません。頭で作り出したお話なら、もっと秩序だっていただろうし、もっと理論だっていただろうし、もっとありきたりの物語になっていたでしょう。
その時もう、ルイス・キャロルはボートの上にはいなかったのです。もちろん、カラダはそこにいたでしょうけれども、心は地下のウサギ穴の世界…不思議の国にいたのです。その不思議の国とは、ヨガでいうところの無意識下の世界なのです。
ヨギーは瞑想によって、意識下の世界をつきぬけ、無意識下の世界におりていきます。ルイス・キャロルも、意識下の世界をつきぬけて、無意識下の不思議の国へおり、そこで、アリスと共にあのナンセンスで楽しい冒険を体験したのです。
無意識下の世界ですから、そこには秩序も理論も関係ありません。カラダの大きさは自由自在にのびちぢみしますし、赤ちゃんはブタに変わりますし、ネコは首だけになってフワフワと浮かびますし、トランプは王様と女王様となって、いくらでも横暴にふるまうのです。
世界中で有名な『不思議の国のアリス』の物語は、キャロルの無意識下の世界そのものなのです。
夏の日のボートの上で実現したサンヤマ

『不思議の国のアリス』の最後に、こんなくだりがあります。アリスに奇妙な夢の話を聞いたお姉さんは目を閉じて、「なおも耳をすませていますと、あたり一面にアリスの夢に出てきたきみょうな動物があらわれて、にぎやかになってきました」と感じるのです。
白ウサギがかけてゆく草の音や、おびえたネズミが池を泳いでゆく音、いつまでも終わらないお茶会をしている三月ウサギが立てる茶わんの音。女王さまが死刑にせよと命じている金切り声やら、ブタの子に変わった赤ちゃんの泣き声。
グリフォンのさけび声、にせ海ガメのすすり泣きなど、『不思議の国のアリス』に登場してきた動物たちが立てる音が、もうすぐそばから聞こえてくるような気がしたのです。
おねえさまは、じぶんもまるで不思議の国にいるような気がして、目を閉じたまますわっていました。けれども、目をあけさえすれば、何もかもいっさいのものが、つまらないこの世のものに変わってしまうということはわかっていました。
草の音は風のそよぎ、池の波立ちはアシのざわめき…ガチャガチャと音を立てる茶わんは、ヒツジの鈴の音に、女王さまの金切り声はヒツジ飼いの少年の声に変わるでしょう。そして、赤ん坊のくしゃみ、グリフォンのさけび、そのほかのきみょうな音はみな、いそがしい農園の騒音に変わってしまうでしょう。
また、にせ海がめの深いため息は遠くで鳴いているウシの声にかわることでしょう。
ー 『不思議の国のアリス』第12章より[1]
これは、あの夏の日、ルイス・キャロルが感じていたそのままではないかと思うのです。ボートの上で目を閉じていたキャロルにとって、まわりの世界すべての音が、不思議の国の音に変わっていたのでしょう。
不思議の国に完全に入り込んで遊んでいたルイス・キャロルは、その瞬間、ディアーナを超え、サマディーの中にいたのではないのではないかとさえ、私には思えるのです。あのボートの上で、ルイス・キャロルは、サンヤマを実現していたともいえるのではないでしょうか。
サンヤマを実現すると、真理を知ることができる…とヨガ・スートラでも語られています。
無意識下の世界におりてゆき、その世界の様子をまざまざと描き出してみせたキャロルは、まさしく、一つの真理を私達に見せてくれたといえるでしょう。
ルイス・キャロルが、あの夏の日、サンヤマを実現できたのは、10歳の少女アリスと、その姉妹たちが目をキラキラさせて、お話に聞き入っていたからにちがいありません。
キャロルは、自分のためではなく、アリス達を喜ばせたい一心で物語を語りました。だからこそ、これほどまでにイキイキと不思議の国の物語を紡ぐことができたのでしょう。
アリス達を喜ばせた物語を、キャロルは本として書き残してくれました。私達は、『不思議の国のアリス』を広げる時、キャロルがあの夏の日に見たサンヤマの世界をのぞき見ることができるのです。
参考資料
- ルイス・キャロル著、田中俊夫訳『不思議の国のアリス』岩波少年文庫、1985年
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