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実際、生理中にヨガをすることについては、「間違いなくこうしたほうが良い」と証明されたものがないのが現実です。流派やインストラクターによって様々な考え方がありますが、その理由の一つに、医学的に確かな根拠(医療の世界ではエビデンスといいます)がないことが挙げられます。
逆転系のポーズは生理中は避けたほうが良い、は本当?

逆転系のポーズは生理中は避けたほうがよい、というのはよく耳にしますよね。
この理由の一つとしていわれているのが、「経血の逆流」です。生理中は経血を外に出しているため、身体を逆にすることでその自然な流れを阻害してしまうというものです。また、逆転系のポーズはほかのポーズと比べても体力を使います(ハンドスタンドの練習をしたら、慣れないうちはとても疲れてしまいますよね)。
生理中は、「子宮内膜が出血を伴いながら剥がれ落ち、体外へ排出されている状態」です。これは思っているよりも、とてもエネルギーを使うことです。その上さらに体力を使う逆転系のポーズの練習をするというのは、ちょっと身体に優しくない感じがしますよね。
生理中にオススメのポーズは「ゆるめる」
生理中のヨガとの向き合い方について、キーワードは「ゆるめる」です。生理前や生理中、いつもより食欲がわいて食べ過ぎてしまうという方も多いでしょう。ホルモンバランスの影響によるところが大きいですが、お腹がいっぱいの時は、ほっと心や身体がゆるんでいる気がしませんか?
また、いつもより眠気がすごくて困る方もいるでしょう。眠っているときは休んでいる状態です。つまり生理前や生理中は、私たちの身体は無意識に、「ゆるむ」ことを求めています。ですから生理中は基本的に、「自分の身体がゆるんでいる」、「気持ちいいな」と思えるポーズを行うのが良いでしょう。
プロップを使って身体に緊張が入らないポジションを

具体的には「スプタ・バッダ・コナーサナ (横たわった合せきのポーズ)」や「スプタ・ヴィラーサナ (横たわった英雄のポーズ:上写真)」といった、胸がひらき(深い呼吸がしやすい)、子宮のあるお腹が解放されて広がる(=ゆるむ)ポーズがおススメです。
※「スプタ・バッダ・コナーサナ」は足の裏を合わせて後ろに倒れるポーズ、「スプタ・ヴィラーサナ」は正座(割座)をして後ろに倒れるポーズのイメージです。
もしお持ちであればボルスターやブランケットなどを用いて、身体に緊張が入らないポジションを探しましょう。これらのポーズは逆転系のポーズである「サーランバ・サルヴァンガーサナ(ショルダースタンド)」や「サーランバ・シルシャーサナ (ヘッドスタンド)」などと同じような効果が得られるとも言われているため、「生理中は逆転系のポーズができなくて残念」と思っている方にもオススメです。
なお、このように身体をゆるめることは、生理中の身体に起こっていることを妨げずスムーズにするといわれているので、生理後に元気に動けるように身体を整えることにも役立ちます。
生理中は自分の身体と向き合おう

これまで述べてきたように、生理中のヨガの練習についての絶対的な答えはありません。「控えたほうがよい」、「生理中におススメ」とされているポーズはありますが、一番大切なことは自分がどう思うか、感じるか、です。生理と一口にいっても個人差が大きく、生理痛の重さや経血の量、生理の期間も人によって様々です。「何日目まではだめ」といったように一律の基準を定めることはできません。
答えを導き出すのは自分自身
生理中のヨガとの向き合い方について、答えを導き出すのは自分自身です。自分の身体の声を聞きながら、自分の身体が望んでいることを行いましょう。判断に迷ったら、「ゆるめる」というキーワードを思い出してください。自分の身体と心に優しくしてあげるには、どうしてあげたらいいのか考えてみてください。
このような自分への問いかけの繰り返しは、「on the mat」だけでなく、普段の生活「off the mat」でもきっと役に立つはずです。ちょっと憂鬱な生理ですが、自分の身体の声を聞きながら、自分を優しくケアしてあげましょう。一生を共にする自分の身体ですから、大切に仲良く付き合っていきたいものですね。
※生理は医学的には「月経」といいます。健康上の理由などからお医者さんにかかっている方は、その指示に従ってください。
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