講座風景

こんにちは、kayaです。

私、文章を書くのも読むのも好きなのですが、昨年、ストーリー展開も、そこで使われている表現もすごくグッと来る小説に出逢ったんです。読み始めてからすぐにその世界にどっぷりと浸かってしまい、寝る時にはベッドの中で読みながら寝落ちして、起きたら電車の中でも、路中でも歩きスマホならぬ歩き読書をしてたまに車にひかれそうになっていたのですが、唯一どうしても納得できないくだりがありました。

主人公が40か41歳の女性なんですが、結婚して1年も経たないうちに妊娠するんです。文中には「名医と呼ばれる医者の手にかかって」という表現があるけれど、40歳を超えてそんなに簡単に妊娠するものなのか?との疑問が浮かび、この小説の唯一、気になってしかたがないポイントとなりました。

その理由は私が「女性の身体」について月に一度しっかり学んでいるから。私は1年以上に渡って、産婦人科医 高尾美穂先生の「女性の身体」を学ぶ講座にスタッフとして参加しています。その中で先生はいつも「もしどうしても子供が欲しくて産める状況にあるのなら35歳までに1人産んでおいて欲しい」と言われています。

多くの女性にとって難しい問題である、妊娠・出産のタイミングや不妊の問題。そこに対して、不妊で悩む女性を多々見てきた先生が、「”不妊ヨガ”は私は提供できない」と言われていたことがあります。

高尾美穂先生が「不妊ヨガ」を提供できない理由

説明する高尾先生
不妊に対してヨガが無力だから?

「そんなことはない!!」と声が挙がりそうですが、ヨガをしている人たちならヨガと不妊が無関係ではないことを知っていると思います。確かにヨガは不妊に対して無力ではないと思います。

ヨガを通して少しでも心が穏やかになることでストレスが緩和するかもしれない。運動不足の人が身体を動かすことで身体の循環が良くなり不調が改善されるかも知れない。冷え性が改善したり、自律神経が整ったりとヨガの恩恵は他方面で見られます。

その結果、妊娠するということだって有りえます。

ただ、そこに至るまでには様々なアプローチが作用していて「ヨガをする → ○○ → ○○ → ○○ → ○○ → ○○ → 妊娠」というように、ヨガと妊娠との間にはたくさんの「→」が存在し、「ヨガ→不妊を解決」と簡単な式では成り立つことは現状ありません。不妊という真剣な問題に対して、何かにすがって、願って、大切なお金や時間や気持ちを使う人々の希望に見合ったものを提供できないから私はやりません。

というのが先生の言葉でした。

「不妊で悩む妊活中の女性におすすめのヨガポーズ」の真実

ポーズをする皆
先生は「ヨガ→不妊を解決」ではないと言いますが、ネットで「ヨガ 不妊」と検索すると「不妊で悩む妊活中の女性におすすめのヨガポーズ」「妊活ヨガとは?体験談と子宝に恵まれるポーズやおすすめの人気DVDまとめ」といった記事がたくさん出てきます。

ただ、共通するのはほぼ全ての記事で「〜と言われています」「〜と考えられています」の語尾が使われていること。「〜です」と断言する文章があまりに少ないのが現状です。その理由は、専門家ではないので、そこに対する自信もなければ責任も取れないという理由がある、それがネットの情報です。

「子供が欲しい」と言いながらタバコを吸う女性に何を伝えられる?

例えば、先生は女性ホルモンの1つであるエストロゲンについてこう説明されています。

エストロゲンは女性の身体にとってとても大切なホルモンなので、分泌すべき時期にはできるだけ長く分泌させてあげたほうがいい。でも閉経するとエストロゲンの分泌が止まります。ちなみに、早く閉経する人は、”タバコを吸うベジタリアン”。タバコを吸う人は吸わない人よりも平均して2年早く閉経することがわかっていて、お酒はメリットが全くないわけではないけれど、喫煙に関してはメリットはゼロ。副流煙だってNGだから、本当は旦那さんにだってタバコをやめてもらったほうがイイです。

と言い切っています。(※ここではベジタリアンというのは極端な食生活をしている人の例です)

ここで私がすごいと思ったのは「2年早く」という研究結果まで出ていること。こんな話を聞くと女性ホルモンや身体に対して喫煙がどれほど悪影響を与えるものなのかを衝撃的に理解できますよね。にも関わらず「子供が欲しい」と言いながらタバコを吸っている女性がいるなら、それはもう絶対に「一秒でも早くやめた方がいい」と伝えたいと思いました。

先生の言う「産める状況なら35歳までに」を考えても、2年早く閉経してしまうのだとしたら、喫煙者の場合、35歳という年齢でさえもっと早く訪れてしまうのではないでしょうか?

正しい「女性の身体」を学ぶことは「できる」可能性を保つこと

高尾先生寄り
何かにすがりたい時、頼りたい時、人はすぐに結果を求めてしまいがちです。でも不確かな情報である「不妊ヨガ」を頼りにするよりも大切なことは、”正しい知識を学ぶこと“ではないでしょうか?

「知っている」、ただそれだけで変わることもたくさんあります。例えば、「エストロゲンがどれだけ女性にとって大切なホルモンなのか」に加え「エストロゲンの分泌を止めない(閉経させない)ために何ができるのか」「骨を丈夫に保つために何が必要なのか」「最も妊娠が成立しやすい時期はいつなのか」等々。結果だけでなく過程や仕組みを学ぶことで可能性を広げることも可能になります。

正しい知識を身につけ、それに基づく判断をしていくことが「健康でいる可能性」「妊娠する可能性」を高める、もしくは保つことにつながるのだと思いました。

本日のひとこと:
35歳までに、と先生に言われる度に思い出すのですが、私の親友(若い頃からヘビースモーカー)は40歳で1人目、41歳で2人目を出産。妊娠中もスパスパ吸っているので、「やめなさい」と注意するも決して聞いてくれませんでしたが、元気な子を生みました。まぁ…そういうこともあるようです。小説の話も彼女を思い出せば異論ありません(´-ω-`)

kaya