看護師が伝える!背骨をやさしく動かすヨガで、自律神経を整える夜時間

看護師が伝える!背骨をやさしく動かすヨガで、自律神経を整える夜時間

「なかなかリラックスできない」「夜もずっと頭が働いてしまう」「なんだか眠りが浅い気がする」…… なんてことはありませんか?
忙しい日々の中で常に“ONモード”のまま過ごしていると、私たちの自律神経はバランスを崩しやすくなってしまいます。今回は、背骨と自律神経に働きかけるヨガの動きで、穏やかな眠りにつなげる夜時間の過ごし方を提案します。

背骨と自律神経の深い関係

背骨と自律神経の深い関係
背骨と自律神経の深い関係

自律神経は「身体の自動調節機構」とも呼ばれ、呼吸・消化・血圧・体温・ホルモン分泌など、私たちの意思とは関係無く、生命を支える働きを担っています。例として、走れば自然と呼吸が早くなる働きや、眠っている間は心臓の動きが自然とゆっくりとなる働きがあげられます。

自律神経は、脳から脊柱の中(脊髄)を通って各機関へとつながっています。交感神経は胸椎と腰椎から、副交感神経は脳幹と仙骨から枝分かれしているので、背骨をやさしく動かすことは、自律神経の流れを整えるセルフケアにもつながります。
背骨を動かすと、脊柱周囲の神経や血管が刺激されます。同時に、背骨と連動して動く横隔膜や骨盤底筋群も刺激され、呼吸も活性化されます。また、呼吸とともに背骨を動かすことで横隔膜の上下運動が大きくなり、呼吸が深くなることで自律神経にも影響を及ぼします。こうした連鎖が“自律神経の柔軟性”を高め、結果として、自律神経のバランスが整いやすくなります。

ヨガでは、背骨の屈曲・伸展・回旋・安定といった多方向の動きを、ゆっくりとした呼吸とともに行うことが特徴です。この繰り返しが脳の緊張を和らげ、自然と副交感神経が優位になっていきます。

背骨と呼吸で整える、夜におすすめの3ポーズ

今回は、呼吸に寄り添いながら背骨を動かす3つのアーサナを紹介します。どれも静かな夜にぴったりな、心と身体の緊張を緩めるアプローチです。

アルダ・マッツェンドラ・アーサナ(半分の魚の王のポーズ)

アルダ・マッツェンドラ・アーサナ(半分の魚の王のポーズ)
アルダ・マッツェンドラ・アーサナ(半分の魚の王のポーズ)

背骨を左右にやさしくねじるポーズ。内臓を圧迫→開放することで腸が刺激され、消化機能の活性化や精神の安定にもつながります。
特に、腸は副交感神経の支配を強く受けている器官なので、やさしいねじりは「お腹の神経スイッチ」を入れる役目をしてくれます。
ポイントは、吐く息に合わせて、肩の力を抜きながらねじりを深めていくことです。反動を使わず、呼吸とともに少しずつ行なってみてください。

スフィンクスのポーズ

スフィンクスのポーズ
スフィンクスのポーズ

背骨を下から穏やかに持ち上げて、胸を開くポーズ。胸郭と横隔膜の動きが大きくなることで、副交感神経の中枢である「迷走神経」が刺激され、自然と呼吸が深くなり心が緩みやすくなります。
腰を反るのではなく、胸を引き出すイメージで行いましょう。また、背中の緊張がやさしくほどけていくように、肘の位置を調整してみてください。

ジャタラ・パリヴァルタナ・アーサナ(仰向けのねじりのポーズ)

仰向けで下半身を左右に倒すねじりのポーズ。重力に身を委ねることで、背骨まわりの深層筋や筋膜が緩み、交感神経が鎮まりやすくなります。
心地いいと感じる場所に膝と手を移動させ、呼吸とともに自由に身体が伸びて緩んでいくのを感じましょう。

呼吸と背骨にやさしく意識を向ける時間を

日中は、交感神経が優位になりやすい時間。だからこそ、夜は “ OFF”に切り替えるスイッチが必要です。ヨガはそのスイッチを、呼吸と背骨の動きを通して入れてくれるツールです。
頑張りすぎなくて大丈夫。“今日の自分”の状態に寄り添いながら、呼吸の波に乗って背骨を動かすだけで、神経のバランスは静かに整っていきます。
「リラックスできた」「なんだか穏やかに眠れた」…… そんな気持ちになる時間を是非作ってみてください。

参考文献