ニュージーランドとオーストラリアで感じたヨガ文化

ニュージーランドとオーストラリアで感じたヨガ文化

はじめまして。山﨑友豊(ヤマサキユウト)と申します。
私は今、ヨガをしながら世界一周の旅をしています。

山﨑友豊(ヤマサキユウト)
山﨑友豊(ヤマサキユウト)

私の経歴を簡単に紹介します。
私は、日本で理学療法士として働いた後、JICA青年海外協力隊の一員としてモンゴルで活動しました。2年間の活動終了後にヨガを学びたいと思い、「日本一周ヨガ旅」をしました。
そこで、日本中の素晴らしいヨガの先生やヨガスタジオなどに出会い、「日本一周ヨガ旅」を終える頃には「世界一周ヨガ旅」をしたいと思い、旅に出ました。

まだ多くの国を訪れたわけではなく、すべてのヨガを体験したわけでもありませんが、旅をする中で感じていることがあります。それは、国によってヨガとの向き合い方が異なり、その国の国民性が表れているということです。

今回は、私が訪れたニュージーランドとオーストラリアのヨガの特徴についてお伝えします。

ニュージーランドのヨガ:頑張りすぎない心地よさ

ヨガのクラスに参加
ヨガのクラスに参加

私が感じたニュージーランドのヨガの特徴は、頑張りすぎない心地よさです。
ニュージーランドでは、街中でヨガスタジオをたくさん見かけました。また、オーガニックフードのお店なども多く、ヨガや健康への関心が高いと感じました。

私は、南島のクイーンズタウンという場所で、ヨガのクラスに参加しました。クイーンズタウンは自然が豊かで、美しい湖や森に囲まれた街です。「女王の街」という名前の通り、エリザベス女王が住むのにふさわしいほどの美しい街として、ニュージーランドの中でも人気のスポットです。私もこの街が大好きで、何度訪れてもその美しさに感動しています。

私は、ニュージーランドに住んでいる日本人の方が勧めてくださったヨガスタジオを訪れました。スタジオ内は、植物が置かれ、ヨガに関係する置物やポスターなどが多数飾られていました。ダンススタジオのようなシンプルな空間というよりも、スタジオの雰囲気作りを大切にしている印象を受けました。また、綺麗なシャワールームなども完備されており、ヨガを快適に行うための環境が整っていると感じました。

ヨガのクラスは、スローヨガが多い印象でしたが、パワーヨガやヴィンヤサなど、さまざまな種類のクラスがありました。
私は、その中で60分のスローヨガのクラスに参加しました。参加費は、60分のクラスで30NZ$(約2,600円)と決して安くはありませんが、物価が高いニュージーランドでは、特別に高いとは思いませんでした。クラスには男性も数名参加しており、男性の私が参加していても誰も気にする様子もなく、違和感を感じることなくクラスに溶け込めました。日本では、クラスによっては男性が私だけという時もあり、少し肩身の狭いこともありますが、ニュージーランドでは、男性にもヨガが広く普及している印象を受けました。
また、私は英語が流暢ではないので日常生活では苦労することも多いのですが、ヨガのクラスでは、インストラクターや周りの人を見れば、なんとなく何をすれば良いかわかるので、言葉の問題が多少あってもヨガを楽しめるのは良い点だと感じています。

ニュージーランドのヨガの特徴

ニュージーランドでのヨガクラスの風景
ニュージーランドでのヨガクラスの風景

インストラクターはニュージーランド人の女性で、とても優しく明るい雰囲気でクラスを進めてくれました。その中で印象的だったことは、アーサナの練習の際に、インストラクターが特に指示を出さなくても、生徒が自分のタイミングで休憩したり、無理をしない範囲でポーズをとっていたりしていたことです。私は、参加したクラスがとても穏やかで、心地のよい雰囲気だと感じました。

日本では、つい頑張りすぎる生徒が多く、「無理しすぎないでください」と伝える場面がよくあると感じています。しかし、ニュージーランドの人たちは、インストラクターが特に指示をしなくても、自分にとって心地よい形でポーズをとっていました。これは、自然豊かで動物も多く、人々がとてものんびりとリラックスして過ごしているニュージーランドの日常生活とリンクしているのではないかと思いました。

オーストラリアのヨガ:スピリチュアルな感覚とエネルギーの意識

オーストラリアもニュージーランドと同様に、ヨガやオーガニックフードが広く普及しており、国民の健康への意識がとても高い印象を受けました。また、無理をせず快適にヨガを楽しむ人が多い点も共通していました。
しかし大きな違いとして、オーストラリアのヨガでは、エネルギーなどのスピリチュアルなものへの抵抗が少ないということを感じました。日常の会話でも、エネルギーという言葉が普通に使われ、ヨガのクラスでもチャクラやプラーナといった概念が自然に取り入れられていました。その中でも、特に印象的だった出来事を紹介します。

ヨガシナジーとの出会い

オーストラリアでヨガをする
オーストラリアでヨガをする

私は、オーストラリアのヨガの聖地と呼ばれるバイロンベイで、ヨガシナジーの合宿に参加しました。ヨガシナジーとは、オーストラリア人のサイモン氏とビアンカ氏が考案した、ヨガと太極拳を組み合わせたようなゆっくりとした動きが特徴のフロースタイルのヨガです。ヨガに太極拳の要素を取り入れることで、よりエネルギー(氣)を感じられることが特徴だと感じました。

実際に合宿に参加すると、サイモン氏がエネルギーについて詳しく解説する場面が多く、身体のエネルギーの流れを非常に大切にしている印象を受けました。
特に驚いたのは、ヨガシナジーのポーズの一つで、両方の手のひらを近づけた際に、自分の手と手の間に温かい“何か”を感じたことでした。不思議に思い、サイモン氏に尋ねると、「それがエネルギー(氣)だよ」と教えてくれました。

オーストラリで感じだ大地のエネルギー
オーストラリで感じだ大地のエネルギー

私は理学療法士として働いていたこともあり、科学的な根拠を重視していましたので、エネルギーなどのスピリチュアルな概念には強い抵抗がありました。そのため、こうした言葉を使うことも、信じることもありませんでした。しかし、生まれて初めて、自分の身体を通じてエネルギーを感じたことで、とても感動したことを覚えています。

合宿中、毎日ヨガシナジーを続ける中で、その日の体調や集中度によって感じるエネルギーの量や質が違うことに気づき、とても興味深く感じました。
そして、サイモン氏はエネルギーに関して、このようなことも教えてくれました。
「大切なのは、エネルギーに固執しないこと」
「エネルギーを感じよう」と必死になったり、エネルギーに自分の感情や思いを加えたりすると、せっかく生じたエネルギーが消えてしまうこともあるそうです。
そのため、自分が感じたエネルギーにただ感謝し、赤ちゃんのように大切に育てることが大事だと教わりました。
この経験を通じて、私自身もヨガをする際だけでなく、日常生活の中でもエネルギーを意識するようになりました。すると、自分が見える世界や感じ取れる世界が広がったように思います。

ウルル(エアーズロック)
ウルル(エアーズロック)

オーストラリアには、バイロンベイやエアーズロックなどのエネルギーに満ち溢れた場所が多いと感じました。そして、オーストラリアの人々は、明るく元気な方が多い印象を受けました。今振り返ると、オーストラリアという大地の持つエネルギーが、彼らの性格を育んでいるのかもしれないと感じています。

旅を通して感じたこと

気候が似ているニュージーランドとオーストラリアには、明るく元気な人や、健康意識の高い人が多いと思いました。日常生活や仕事においても、休む時はしっかりと休み、バランスよく働く人が多く、日本と比べるとストレスを強く感じている人も少ない印象を受けました。ヨガに期待する効果としては、両国とも「健康維持」がメインであり、健康的なライフバランスを維持するためにも、楽しみながらヨガを生活に取り入れているのだと感じました。

ヨガの起源はインドですが、世界中に広がる中で、その土地や人々の特性に応じてヨガのスタイルが変化していくことは、とても興味深いと感じています。

「ヨガをすれば、その国が見えてくる」

そんな気がして、今後も旅とヨガを続けていきたいと考えています。