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これからの時代、介護は「いずれ直面する問題」ではなく「今から学び備えるもの」へ。
誰もが元気に、自分らしく長く生きる社会を目指して――そのカギを握るのが「介護予防」です。
こんにちは。ヨガジェネレーション企画部の琴美です!
生きてウン十年…。ヨガのおかげで体を動かす習慣はあるものの、正直健康には無頓着かもしれません。夜はつい晩酌、そして夜更かし。しかし、そんなことは言ってられない年齢になってきました…。
介護予防のイメージは?
介護予防と聞くと、医療や福祉の専門職の仕事だと思われがちですが、実は私たち一人ひとりが知識を持つことで、地域や家族の未来が大きく変わります。
これからは「介護が必要」な状態にならないために、「介護予防」の知識が必須になる時代。
そして今、この介護予防の分野にヨガインストラクターという存在が、新たな力を発揮し始めています。
「介護」も「老い」も、本来は人生の一部で自然なことなのに、社会では重く、暗く語られがちです。重いように聞こえるこの課題を記事を通じて、自分でもできることがある、という「安心」と「希望」をお届け出来たら、と思っています!
介護予防とは?

「介護予防」とは、介護が必要な状態になる前に、身体的・精神的な健康を保ち、できるだけ自立した生活を続けることを目的とした取り組みです。
もちろん、健康な状態からの予防だけでなく、すでに要介護状態にある方の悪化防止や改善も含みますが、
一次予防の観点でいえば、病気やケガ、加齢による衰えで生活が不自由になるのを、少しでも遅らせたり、回避したりするための行動。
つまり「いま元気に過ごせている人」が未来の自分のために備える“先手”のケアです。
特に日本は、世界トップクラスの超高齢社会。
健康寿命を延ばし、要介護になる人を減らすことは、社会全体の課題でもあります。
介護予防がなぜ必要?

介護が必要になると、本人だけでなく家族の生活にも大きな変化が生まれるのは想像に難くないですよね…。
日本の高齢化は急速に進み、地域によっては人口の3~4割が高齢者というところも珍しくありません。
高齢者が増えれば、必然的に介護を必要とする人も増えます。
介護費用や身体的・精神的な負担が増える一方で、介護をする側も健康を損ねてしまう「共倒れ」や、パートナーの介護を一人で担わないといけない「老老介護」も社会問題です。
元気なうちから身体と心を整え、できる限り自立した生活を続けることが、介護予防の大きな目的です。
国の施策でも、介護予防の取り組みは既に行われています。例えば地域支援事業や、介護予防・生活支援サービス事業などがあります。
また、地域では介護予防の活動をする「自主グループ」が立ち上がり、自分たちで体操や健康づくりを行っている例も増えています。たとえば、地域独自の「ご当地体操」(例:「みんなの体操」(東京都大田区)、「百歳体操」(高知市)、「貯筋体操」(鳥取県)、「元気アップ体操」(埼玉県和光市)など)」があるのはご存じでしょうか!
しかし、ここで課題になるのが「効果と安全性」。
本来、介護予防には正しい知識と指導が必要です。専門職や有資格者のサポートがあれば、ケガや無理な運動を防ぎつつ、継続的で効果的な取り組みが可能になります。
でも現実は、介護予防の現場というまだまだ未開拓の領域に関わる専門職の数が足りていません。
そこで注目されているのが、「ヨガインストラクター」の存在です。
ヨガが介護予防に適している理由

「ヨガ=アーサナ」というイメージを持っていませんか?
実はヨガは、アーサナだけがすべてではありません。
ゆったりとした呼吸、筋肉を無理なく動かす動作、心を落ち着けるリラックス効果――これらがバランスよく取り入れられているのがヨガの特徴です。
そして特に、椅子に座ったまま行う「椅子ヨガ」は、高齢者の介護予防にぴったり。転倒のリスクを抑えながら、柔軟性・筋力・バランス力を高めることができます。
さらにヨガは「続けやすい」ことも大きな魅力。
安全かつ効果的な介護予防教室が、どこでも誰でも開催できる――そんな可能性を秘めているのです。
介護予防の取り組みをはじめませんか?
介護予防に必要な知識は、単なる運動だけではありません。
身体と心の両面から高齢期をサポートするいくつかの視点が求められます。
例えば以下の項目は、厚生労働省が推進する介護予防の取り組みとして提言されています。
- 転倒予防:下肢筋力のトレーニング、バランス能力の向上を目的とした訓練、姿勢の安定性を高める運動
- 認知症予防:有酸素運動など適度な運動習慣、社会参加や知的活動の継続、栄養バランスのとれた食事、良質な睡眠の確保。運動・栄養・社会参加・知的活動などの多角的なアプローチが推奨されている。
- うつ予防:定期的な身体活動、社会的な孤立の解消、集団活動への参加。
- 誤嚥予防:嚥下(えんげ)機能を高めるトレーニング、口腔周囲筋のストレッチや筋力トレーニング、発声・発音訓練、口腔ケアの指導。
- 失禁予防:骨盤底筋群のトレーニング(ケーゲル体操等)、適切な排尿習慣の指導、体重管理。
- 安全管理:事前の健康状態スクリーニング、リスク管理のための医師の判断・指示、参加同意書の取得、安全管理マニュアルの整備、緊急時対応の体制構築。
これらの取り組みを総合的に実施することで、高齢者の生活機能の維持・向上が期待でき、要介護状態の発生予防や重度化防止に貢献すると考えられます。
あれ?これって、私たちできそう!又は既にやってる!と思われた方、その通りです。
ヨガは以下のように、この提言にピッタリな働きかけができるのです!
- 転倒予防:立位のポーズなどで、バランス感覚と筋力の維持が期待できる。
- 認知症予防:脳への刺激となる、呼吸法や集中力を高める。
- うつ予防:身体を動かし、仲間と交流することが心の安定に繋がります。
- 誤嚥予防:顔ヨガなど、飲み込みに関わる筋肉のトレーニングも含めた指導。
- 失禁予防:骨盤底筋群を意識したエクササイズ。
- 安全管理:クラス運営の為の、健康状態の確認や保険、同意書などの整備。
単に「優しい動き」ではなく、加齢による心身の変化を理解し、要介護状態にならないための予防型ヨガの提供。これこそが、介護予防としてのヨガの真価です。
継続は力なり。習慣化と個別対応がカギ!
健康は1日で手に入るものではありません。継続的な習慣が、介護予防のカギです。
たとえば、定期的にセルフでできる体力測定を行うことで、自分の体の状態を客観的に知ることができます。
- 握力
- 片足立ち
- 壁立ちテスト
これらを定期的に記録し、小さな変化に気づくことが予防の第一歩です。
さらに、心の変化にも寄り添う「フレイルチェック」も大切です。
人は年齢を重ねるごとに、身体だけでなく「心」もフレイル(虚弱)になります。
不安や孤独、やる気の低下は体調にも影響します。だからこそ、個別対応が欠かせません。
必要に応じて行う個別ヨガ指導や足マッサージの習慣化の提案は、高齢者のQOL(生活の質)を保つために大きな支えとなります。
ヨガインストラクターこそ、介護予防の現場で活躍できる

このように、「ヨガインストラクター」という職業は、介護予防の現場で大活躍ができる可能性を秘めています。
ヨガインストラクターが、正しい介護予防の知識を学び、実践し、地域の高齢者をサポートすることで、社会的にも価値の高い仕事が生まれます。
特に椅子ヨガのように、場所や体力を選ばず行えるヨガは、介護予防の教室と相性抜群。
安全性を保ちつつ、楽しみながら続けられる活動として地域に根づいていくことでしょう。
介護予防の知識は、インストラクター自身のためにも、家族のためにも、地域のためにも役立つ「一生ものの財産」です。
今こそ、介護予防について学ぶとき
「まだ大丈夫」ではなく「今から備える」。
これが、介護予防の大きな考え方です。
ヨガを通して、高齢者の心と体に寄り添い、要介護にならないための「予防」の輪を広げていく。
そんな取り組みは、これからの超高齢社会に欠かせません。
山田いずみが考える介護予防のヨガは、「優しい体操」では終わりません。
介護の現場に長く携わった経験に基づき、安全性と効果の両方を大切にした知識と技術を学び、地域に届けるヨガ。しかも、具体的で再現性が高く、すぐに活動に結び付けることができます。
介護予防を知り尽くした講師から学ぶヨガは、きっとすぐ自分の、周囲の人のお役に立てるはず。
あなたも、介護予防の学びを深めて、地域の未来を支える一員になりませんか?
今年、山田いずみによる新しい「介護予防」の講座を企画しています!お楽しみに!