健康の維持・向上、心の安定や美容など、さまざまな目的でヨガをしている方がいらっしゃるかと思いますが、ヨガは海外では医療の補助や代替ケアとしても注目されています。
文献検索サイトに「Yoga」と入力してみると、2024年12月末までに約8,900件を超える研究報告があり、科学的な視点からもヨガの効果が確認されつつあります。
今回は、2019年にインドから報告されたバストリカ・プラーナヤーマの効果についての研究報告を紹介します。
1. 研究の背景

調気・呼吸のコントロールは、ヨガの実践において不可欠な要素の一つです。『ヨガ・スートラ』で説かれるヤマ、ニヤマ、アーサナ、プラーナヤーマ、プラティヤーハーラ、ダーラナー、ディヤーナ、サマーディのヨガの八支則のうち、アーサナ以降のすべての段階においても呼吸について言及されています。
呼吸は、体のすべてと密接にかかわっており、呼吸が止まると生命は終わりを迎えることからも分かるとおり、体の中で最も重要な機能の一つです。このことから、プラーナ・呼吸は「生命エネルギー」とも呼ばれています。
意識的にプラーナ・呼吸を制御することが、プラーナヤーマです。プラーナヤーマの実践によって、体・心・精神が調和され、生命力を適切かつ最大限に活用できるようになると言われています。また、肺機能とヒトの生存率との間に関連性があるとの報告から、一般的な健康評価の指標として用いられる場合もあります。
過去のバストリカ・プラーナヤーマについての研究報告では、ゆっくりとしたペース(1分間に6回ほど)で5分間行うことによって、収縮期血圧と拡張期血圧の両方が顕著に低下し、心拍数もわずかに低下したことが確認されました。
また、他のプラーナヤーマに関する研究では、肺活量と最大換気量が大幅に改善されたとの報告や、運動時の酸素消費量を減少しつつ、乳酸値の増加なしに高い運動速度が達成されたとの報告がありました。
さらに、健康な若者に対して行われたゆっくりとしたプラーナヤーマと、バストリカを含む速いプラーナヤーマを比較した研究においては、持久力の向上、ストレスの減少、認知機能の向上、中枢神経の処理能力の向上、感覚運動能力の実行機能の向上が確認されています。
本研究では、肺機能に対するバストリカ・プラーナヤーマの効果を確認し、肺機能とも大きく関係するランニングの効果と比較することを目的としました。
2. 研究の方法

この研究には、18~30歳の健康な男性30名が参加しました。研究の開始時に、肺機能検査を実施してベースラインデータを記録した後、プラーナヤーマを行うグループ15名と運動を行うグループ15名をランダムに振り分けました。
プラーナヤーマを行うグループは、週6日、朝8時頃に15分間のバストリカ・プラーナヤーマを1か月間にわたり実践しました。参加者は全員、認定されたヨガインストラクターによるトレーニングを受けました。快適な瞑想のポーズで座り、オームの詠唱で始め、終わりにはシャンティパタと呼ばれる鎮静の詠唱をしました。バストリカ・プラーナヤーマは、4~5分間を1ラウンドとして3ラウンドを練習するもので、各ラウンドの間に約1分間休憩しました。
運動を行うグループは、週6日、朝8時半頃に15分間のランニングを1か月間にわたり実践しました。ゆっくりとしたペースから、徐々にスピードを上げて全力で走る5分間のランニングと1分間の休憩としてのウォーキングを、プラーナヤーマのグループと同様に3ラウンド行いました。
肺機能の測定と評価には、以下の4つの指標が用いられました。
- FVC(forced vital capacity):努力肺活量、最大限吸った後に一気に吐き出す量
- FEV1(forced expiratory volume in the first second):最初の1秒間の努力呼気量
- PEFR(peak expiratory flow rate):最大呼気流量、最大限吸った後に一気に吐き出す速度
- MVV(maximum voluntary ventilation):最大自発換気、12秒間の急速な深い呼吸の間に吐き出された全気量
3. 研究の結果
バストリカ・プラーナヤーマを行ったグループでは、肺機能を測定する指標の4つすべてに、統計的に有意な増加があったことが確認されました。中でも、FVC(努力肺活量)の38.1%の上昇が認められました。FVCは、呼吸器の伸縮性・弾性とも関係があり、呼吸器系や心血管系の健康評価において重要な要素の一つとも考えられています。
バストリカ・プラーナヤーマを定期的に実践することによって、肺と胸部の伸縮性・弾性を高め、呼吸筋が強化された可能性が示唆されます。
一方で、ランニングを行ったグループは、4つの指標のうちPEFR(最大呼気流量)とMVV(最大自発換気)のみで有意な増加が見られました。また、変化量は、バストリカ・プラーナヤーマを行ったグループと比較すると低い値となりました。
本研究の結果から、プラーナヤーマを行うことによって、肺の換気機能が高まり、個人の健康評価だけでなくスポーツ時の効率を高める可能性があることが示されました。
筆者らは、特に、有酸素運動をベースとしたスポーツに効果的であると記しています。
バストリカ・プラーナヤーマは、火の呼吸とも呼ばれ、全身が温まり活力が湧いてくる呼吸法です。比較的強い呼吸法であるため、専門家の指導のもとで実践し、ご自身の体調とよく相談しながら無理のない回数で行うようにしましょう。
心身の健康の維持・向上に、呼吸法の実践も取り入れてみてはいかがでしょうか。
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