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ヨガを始めてから、人生が大きく変わったと実感している人も多いでしょう。
「肩こりが…」「ストレスが…」「体を引き締めたい」など、フィジカルな目的でヨガを始める人が多いのですが、どっぷりハマる頃には人生がガラッと変わったと実感する人がいます。
いつの間にか人生が変わるのは、いくつかのヨガの教えが影響しているはずです。今回は、人生を変えるヨガの教えを8つ抜粋して紹介します。
1.アヒムサー(非暴力)を意識するだけで世界が変わる

ヨガを始めてまず、勉強するヨガ哲学用語がアヒムサー(非暴力)です。アヒムサーという言葉を知らなくても、ヨガの練習を続けていると自然に非暴力が養われます。
アヒムサーとは、他人に対しても自分に対しても暴力を行わないという教えです。ヨガでは特に、自分に対する無意識の暴力に気がつきやすくなります。
例えば、毎晩夜更かしをしたり、暴飲暴食で自分の身体に負担をかけたりしている人は、ヨガによって自分を大切にすることを学びます。人に合わせすぎて自分の意見を言えない人も、ヨガの練習で自分の感情に向き合うことで、自分の声を聞いてあげられるようになります。
自分を労るアヒムサーが身につくと、日常生活が変わってきます。自分を大切にできる人は、他人を気遣える余裕が生まれます。そのような優しさの連鎖が広がる経験をする人も多いでしょう。
2.自分に正直になるサティヤ(正直)
アヒムサー(非暴力)の教えにも繋がってきますが、ヨガでは自己観察を大切にします。ヨガの練習をしている時には、様々な感情が現れてきますが、そこに向き合うことでサティヤ(正直)が身についてきます。
サティヤとは、「正直であること」または「嘘をつかないこと」です。しかし、多くの人は自分の心が見えていないため、無意識の嘘をついています。
例えば、ストレスが溜まっていて助けて欲しいと思っていても、素直に助けを求められる人が周囲にいなければ、自分で何とかやり過ごさないといけないと思います。他にも、ストレスや不安、嫌な感情を隠すために大量のアルコールを飲むことで、ネガティブな思考を覆い隠してしまう人もいるでしょう。忙しくて疲れている時に、エナジードリンクやコーヒーを飲むことで自分を誤魔化しながら働き続けている人も多いと思います。
そんな生活を続けていると、根本的な解決はありませんね。まずは、自分の本心を受け入れるところから始めましょう。ヨガで自分の心に向き合うことで、自分と本音のトークができるようになります。
3.自分の役割に向き合うカルマ・ヨガ(行為のヨガ)

ヨガとは、ヨガマットの上でポーズの練習をすることだけではありません。ヨガの練習を続けていくと、日常のあらゆる瞬間がヨガの学びになります。
カルマ・ヨガは、日常のあらゆる行動を、結果に執着せずにヨガの練習として行うことを意味しています。
例えば、食事を作っている時、食べている時、部屋の掃除をしている時に、それをヨガの練習だと考えてみましょう。食事を食べる時には、何を食べると体が元気になり、何を食べるとだるく重たく感じるのかを観察してみましょう。また、味や食感を敏感に感じることも、ヨガの練習につながります。
毎朝ヨガの練習をする習慣がある人は、前日の食事による体の変化を実感していると思います。わざわざ誰かに教わらなくても、自然と食事と自分の関係に向き合うようになります。同様に、自分の家の状態にも敏感になります。ヨガを練習する部屋が散らかっている時と、綺麗な空間で呼吸をした時の違いは誰でも感じていることでしょう。すると、掃除への意識も変わります。
このように、ヨガの練習が習慣化することで、ヨガ以外の時間にも変化が現れます。すると、生活全てがヨガの学びになりますね。
4.サントーシャ(知足)が幸せへの鍵
ヨガの教えで特にポピュラーなものがサントーシャ、「足るを知る」ことです。
私たちの意識は、「無いもの」に向きがちです。何かひとつ手に入れても、まだ持っていないものに意識が向きます。何かを求めることは向上心にも繋がりますが、無いものねだりばかりしていると、今あるものへの感謝を忘れてしまいます。
私たちは、近くの存在ほど「当たり前」になって感謝を忘れます。親子関係で例えると、母親が作ってくれた夕飯の献立が気に入らないと、文句を言ってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。もしくは、友達は外食に連れて行ってもらっているのに、自分は毎日家でご飯を食べていると、贅沢をさせてもらっていないと感じてしまうかもしれません。
しかし、大人になって自立した時に、誰かが温かいご飯を作ってくれることのありがたみを初めて知ることができます。気がついた時には、母親の料理が恋しくなりますね。
身近な幸せこそ、最も大切にするべきことです。「自分には何もない」と感じている人ほど自分に向き合って、与えられたものへの感謝を思い出したいですね。
5.今に向き合うダーラナ(集中)の効果

ヨガでは、一つのことへ意識を集中させます。
ヨガクラスのアーサナの時間であれば、先生が「呼吸に意識を向けて」と声かけをすることも多いでしょう。一つのことに集中している状態を、ダーラナ(集中)と呼びます。
日常生活では、マルチタスクになることもよくあります。しかし、マルチタスクでは、幸せに気がつくことができません。
例えば、テレビを見ながら食事をしていれば、繊細な食材の味に気がつくことができません。テレビを見ていなくても、人の思考は常に様々な思考を働かせているため、雑念によって感覚が阻害されてしまいがちです。今、目の前にあることに集中することが、人生を豊かに楽しむためのコツです。
6.人の心に敏感になるマイトリー(慈愛)
ヨガで自分の心への意識が高まり、自分を大切にできるようになると、他者に対しても優しい心が生まれてきます。
マイトリー(慈愛)とは、自分と他人の区別がなくなり、自分のことと同様に周囲の人を愛することができる感情です。
ヨガでは、エゴ(自我意識)が強まるほど、苦しみを生み出しやすいと考えます。
ヨガの練習で自分を大切にし、守られている安心感を感じ、今まで積み上げてきた防御のための壁を手放していくことで、自然と他者を受け入れられるようになります。
7.引き算から生まれる快適さを知る

ヨガを始める時には、「足し算」を求めている人も多いです。しかし、実際にヨガを始めると、ヨガは「引き算」だと気がつくことができます。不要なものを手放して、自分の人生にスペースを作ることが新しい人生への一歩です。
人は苦痛があると、新しく好ましいものを手に入れても楽しめません。例えば、虫歯がある時に、どれだけ豪華な食事が並んでいても楽しめませんね。ヨガは、不要なものを手放すためのメソッドです。身体に不調があれば、そこに向き合います。心理的なストレスがあれば、そこに向き合います。自分の弱いところと向き合って、手放すことができた時、何も足さなくても世界は幸福に満ちていると実感できます。
8.「自分の友は自分。自分の敵も自分。」
ヨガは、自分自身で自分を変えるためのメソッドです。ヨガの先生は、助けてはくれません。ヨガの先生は、自分で切り開くための道を与えてくれる人であり、生徒は自分の足で人生を歩んでいかないといけません。
例えば、腰痛が辛い時にマッサージに行くと、一時的に楽になるかもしれません。しかし、日常生活の姿勢が悪い人は、どれだけ上手なマッサージを受けても、1週間もすればまた腰が痛くなってしまいます。一方ヨガでは、自分自身で自分の体を整える方法を教えます。ヨガの練習を習慣化させて、仕事中やそれ以外の時間にも姿勢を意識することは、とても大変なことですが、健康的な姿勢を覚えて日常でキープできる充分な筋力を身につけることができれば、いつの間にか腰痛に悩まされることはなくなります。
自分自身で自分を変えることは、容易ではありません。しかし、自分の道を切り開く体験が一度でもできれば、自分への信頼が高まります。そして、新たなことへ挑戦する活力が湧いてくるようになります。
ヨガの教えを日常に活かしてみよう
いかがでしょうか。みなさんも、今までの経験から思い当たる教えがあったかもしれません。
ヨガは、ヨガマットの上だけで行うものではありません。ヨガによって日常生活が変わってきた時に、本当の恩恵に気がつけるようになります。
今はピンとこない人も、習慣的にヨガの練習を行うことで、自分の変化に気がつけると思います。楽しみながら、ヨガの練習を続けましょう。