薄暗い街並みを背景に座る聖人ヴィヴェーカーナンダ氏のイラスト

インドの聖者の言葉10選 〜ヴィヴェーカーナンダ〜

今回は、世界中にヨガとヴェーダーンタ哲学を広めたヴィヴェーカーナンダ氏の言葉を紹介します。

ヴィヴェーカーナンダ氏は、聖者ラーマクリシュナの弟子であり、現代のインドにおいても最も有名な聖者の一人です。欧州にヨガやヴェーダーンタ哲学(一元論)を布教しただけでなく、植民地時代のインドで精力的に社会的奉仕活動に携わり、ラーマクリシュナ・ミッションを立ち上げて無償の奉仕活動を行なっていました。

スピリチュアルな教えと、社会活動の両方に尽力していたヴィヴェーカーナンダ氏の言葉は、自身の経験から生まれてくるもので、私たちを力強く励ましてくれます。

ヴィヴェーカーナンダ氏の言葉10選

光に向かって差し出されて大きな手

“If you can think that infinite power, infinite knowledge and indomitable energy lie within you, and if you can bring out that power, you also can become like me.”

無限の力、無限の知識、不屈のエネルギーが自らの中に眠っていると考え、その力を引き出すことができれば、あなたも私のようになることができます。

自信が持てない時に、思い出したい言葉です。

ヨガでは、私たちに必要なものは全て、すでに自分の内側に宿っていると考えます。ところが、「私なんかは」という思い込みがあると、それが邪魔をして本来の力を発揮できなくなってします。

新しいことに挑戦するのが怖い時、頑張っているけれど成果が出ない時には、この言葉を思い出しましょう。世界で偉人と呼ばれている人たちも、簡単に何かを成し遂げたわけではありません。しかし、自分自身と自分の進む道を信じることが、成功に導いてくれます。

“Truth can be stated in a thousand different ways, yet each one can be true.”

真実は千の方法で説明できるでしょうが、それら全てが真実であり得ます。

多くの宗教や思想が「これこそが唯一の真実」「他は間違っている」と説く時、争いが始まってしまいます。ヨガでも真実はたった一つであると考えますが、他者を否定することはありません。

それはどのような道であっても到達する場所、最高の真実は同じだと考えるからです。

もしかしたら、「こっちのヨガの流派の方が正しい」とジャッジするような人もいるかもしれませんが、それを行なっているうちは至福を得ることができません。

批評することなく、信じた道を進めるといいですね。

“The power of concentration is the only key to the treasure-house of knowledge.

集中こそが叡智の宝物庫を開くための鍵。

ヨガでは、瞑想の初期段階をダーラナ(集中)と呼びます。それは、自分の心の中がたった一点に結びついていて、他の想念が生まれない状態です。

この集中こそが、人生の成功を導く鍵です。現代はマルチタスク型の仕事をしている人も多いと思いますが、本当にどこかに到達したい時には集中が大切です。

今、この瞬間の自分にとって大切なことに意識を集中させましょう。

“When a man is perfect, he sees perfection in others. When he sees imperfection, it is his own mind projecting itself.”

あなたが完璧であれば、他者の内に完璧さを見る。不完全さを見た時には、自分自身が投影されているのです。

他人のアラが気になる時は、自分自身に満足ができていない時です。自信がある時には、他者の良い部分に気がつけます。他者を見た時の感情は、自分を映す鏡だと認識しましょう。

“Do not lower your goals to the level of your abilities. Instead, raise your abilities to the height of your goals.”

目標を自分の能力まで下げてはいけない。自分の能力を目標の高さまで引き上げなさい。

「自分なんて」と思っていると、本当にしたいと思っていることの目標を持つことがおこがましいと感じてしまいますね。その結果、自分の身の程にあった目標を立てます。「これならできると」考えた範囲での目標であり、自分の能力でこの程度なら可能だと決めつけてしまっています。

自分自身の可能性を狭めてはいけません。本当に求めた姿を思い描くことで、自分自身を高めることができます。

“Dare to be free, dare to go as far as your thought leads, and dare to carry that out in your life.”

あえて自由になり、自分の考えが導くところまで進んで、それを人生で果敢に実行してください。

常識という言葉に囚われないようにしましょう。

この場所に行くのだと道が現れた時、躊躇することなく自分自身をその場所に導いていきましょう。今までの経験や、人からの助言で自分を止める必要はありません。人生は、挑戦することでしか新しい景色を見ることができません。

“When you are doing any work, Do it as worship, as the highest worship, and devote your whole life to it for the time being.”

どのような仕事でも、祈りとして行い、最高の礼拝だと思い、当面はそれに人生を捧げなさい。

ヨガを頑張って練習したくても、今の仕事が忙しくて充分な時間が確保できないと感じている人もいるかもしれません。しかし『バガヴァッド・ギーター』では、アーサナや瞑想といったヨガの練習だけがヨガでないと考えます。

どのような仕事であっても、結果に執着することなく実行することで、カルマ・ヨガ(行為のヨガ)になるのだと教えます。自宅の掃除をしている時、食事を作っている時、子育て、会社の仕事であっても、それを祈りの行為として行うことによって、自分を高めることができます。

今与えられた役割を放棄することなく、ひたむきに行うことがカルマ・ヨガです。

“Jnâna, Bhakti, Yoga and Karma—these are the four paths which lead to salvation. One must follow the path for which one is best suited; but in this age special stress should be laid on Karma-Yoga.”

ジニャーナ(知識)、バクティ(信愛)、ヨガ(瞑想)、カルマ(行為)―これらが救いへの4つの道です。人生では最適な道を進むべきです。この歳では、カルマ・ヨーガを重視すべきです。

教典『バガヴァッド・ギーター』の中では、4つのヨガの道が説かれています。

真実の道について学ぶ「知識のヨガ」、神への祈りを捧げる「信愛のヨガ」、真理への瞑想を行う「ラージャヨガ」、あらゆる行いをヨガとして行う「行為のヨガ」。

どのヨガも優れていますが、ヴィヴェーカーナンダ氏は、社会の中で自分に与えられた役割を全うする行為のヨガ(行為のヨガ)に注視しました。

“Your body is a weapon and consider it very strong. Consider your mind to be very strong as only with strong mind and body you will be able to cross the ocean of life. Have a strong faith in yourself, your body and mind.”

あなたの体は武器であり、とても強力であると考えなさい。あなたの心はとても強いと知りなさい、なぜなら強い体と心でしか人生の海を渡れないから。あなた自身、あなたと心と体への信頼を抱きなさい。

人生の大海原を進むことは簡単ではありません。誰もが苦しみ、一生懸命生き抜いています。

そんな世界を生きてきた自分自身の体を信じましょう。自分の心もとても強いのだと気が付きましょう。自分自身への信頼こそが、力になります。

“Shri Ramakrishna use to say, “As Long as I Live, so long do I learn”. That man or that society which has nothing to learn is already in the jaws of death.”

シュリ・ラーマクリシュナが言いました「私が生きている限り、学び続ける」。学ぶべきことがない人や社会は、すでに死んでいるのと変わらない。

人は、ゴールに辿り着きたいと願います。しかし、本当にゴールに辿り着いてしまった人生ほど虚しいものはありません。

常に求める目標があって、夢に向かって努力を続けている時間こそが輝きです。

学びに年齢は関係ありません。ヨガの叡智は深く、いつまでも到達できないと感じることもあると思いますが、だからこそ自分の人生を捧げる価値があるのではないでしょうか。

参考サイト:https://www.vifindia.org/print/4792

*翻訳は、すべて筆者によるものである。

悩んだ時に、聖人の言葉を思い出してみましょう

朝日に向かって両手を広げて立ち上がる女性

いかがでしたでしょうか。ヴィヴェーカーナンダ氏の言葉は、常に前を向いていてとても力強いですね。特に、自分自身の可能性を信じなさいというメッセージを強く感じます。

毎日なんとなく生きていると、生活を継続することだけが目的になってしまい、高い目標を見失ってしまいがちですよね。そんな時、もう一度自分の可能性を信じて、自分がどんな人生を生きたいのか見直してみましょう。

私たちが人間として生を授けられたことは、とても貴重なことです。尊い人生の時間の中で、自分の可能性を狭めることなく、輝きながら生きたいですね。

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