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「どのように生きるか」は全ての人にとっての課題です。
ヨガ的な生き方を考えた時、一般的なイメージでは、自然派でサシティナブル、資本主義からは遠く、丁寧な暮らしをすることだとイメージすると思います。しかし、実際にヨガを長く練習していても経済的な不安が付きまとい続けたり、人間関係のいざこざから解放されないと感じたりする人もいるでしょう。俗世的な感情を抱くとヨガ的でないと、感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
一体、何が正解なのでしょうか。
「この生き方が正解」というひとつの道は見つけられませんが、ヨガでは、バランスを見つけることで最適な状態が見つかることがあります。バランスを考えるときには様々な指針がありますが、今回はチャクラを学びながら考えてみましょう。
人間に備わっている7つのチャクラのバランス

ヨガでは、7つのチャクラを整えるアプローチを行います。
- ムーラダーラ・チャクラ
- スヴァディシュターナ・チャクラ
- マニプーラ・チャクラ
- アナーハタ・チャクラ
- ヴィシュダ・チャクラ
- アージニャー・チャクラ
- サハスラーラ・チャクラ
一般的には、下方にあるムーラダーラ・チャクラから頭頂にあるサハスラーラ・チャクラまで順番に整えることで、安全にエネルギーを届け、潜在的なあらゆる可能性を開花させます。
7つのチャクラには、それぞれが司っている役割があります。例えば、スピリチュアルなパワーを求める人は、頭頂のチャクラを開花すれば超能力が得られたり不思議な体験ができたりするかもしれません。しかし、頭頂のサハスラーラのみが急激に開花することは危険です。なぜなら、現実社会と精神世界の境目が分からなくなってしまい、ヨガで得た能力を私欲のために使って悪いカルマ(業)を生んでしまうこともあるからです。
逆に、野生的な側面を持つ下方のチャクラのみが極端に活性化すると、身体的にとても力強くなり、異性を強く惹きつける魅力が増大しますが、それを誤った願望に使って破滅に向かう人もいます。
チャクラの特性を知ることで、自分自身や周囲の人の特徴が見えやすくなります。
では、それぞれのチャクラの性質を見ていきましょう。
ムーラダーラ・チャクラ

ムーラダーラ・チャクラは、全ての土台です。整っている時には大地のように安定し、力強い土台になります。
しかし、動物として最も原始的な部分でもある「生命」そのもののムーラダーラ・チャクラが乱れると、野生的な本能が暴走します。例えば、生命の根源は「食物」です。食物が不足することは生命の危機であり、不安や恐怖心に繋がります。また、現代社会においては食物を買うためにお金も関係します。お金に貪欲になり過ぎて狂うのも、生命欲に繋がっているからかもしれません。
スヴァディシュターナ・チャクラ

ムーラダーラ・チャクラと同様に、スヴァディシュターナ・チャクラは生命に強く関わり、生殖活動との繋がりが深く、異性を強く惹きつける魅力を生み出します。
人としての魅力は、異性に対するものだけとは限りません。性別を問わずに愛されるスターと呼ばれる人には、スヴァディシュターナ・チャクラのエネルギーが高い人がとても多いです。
スワディシュターナ・チャクラは「サンスカーラの貯蔵庫」とも言われますが、自分自身のアイデンティティを作り出すあらゆる記憶が宿る場所です。スワディシュターナ・チャクラが整っていると、自分自身への信頼や自信も高まります。しかし、乱れると自我を見失ってしまったり、性的欲求をコントロールできなくなることもあります。
マニプーラ・チャクラ

腹部のマニープーラ・チャクラは、燃えるエネルギーを司ります。
活力が満ちたエネルギッシュで太陽のような人は、マニプーラ・チャクラの力がとても強いです。逆に、マニプーラ・チャクラが滞っていると、弱々しく、体力がなくなってしまいます。
マニプーラ・チャクラには太陽のように燃えるエネルギーが宿っていますが、バランスが乱れた強すぎる火は、時に火傷をしたり人を傷つけます。また、怒りの感情がコントロールできなくなることもあります。
アナーハタ・チャクラ

胸のアナーハタ・チャクラは、慈愛のチャクラとして知られています。このチャクラは、自分の心を周囲の人や社会に開く働きを司ります。胸が閉じている時には周囲に対する警戒心が高まり、内向的になったり人間関係に息苦しさを感じたりしやすい特徴があります。
内向的な性格になる人もいれば、社会性や周囲からの評価を気にし過ぎて窮屈になってしまうこともあります。
ヴィシュダ・チャクラ

自分自身を表現する能力や、創造性に関わるのが喉元のヴィシュダ・チャクラです。カリスマ性のある人は、ヴィシュダ・チャクラが活性化していることが多いです。また、人を動かす力を持っています。
ストレートネックなどで喉元が閉じてしまうと自分を表現することができず、コミュニケーションが上手くいかなくなってしまいます。また、自分の思いを表に出せないことで、自信を失ってしまうこともあります。
アージニャー・チャクラ

下方の5つのチャクラを統制するのが眉間のアージニャー・チャクラです。知性を司っており、第3の目によって物事の本質を見ることができます。また、優れた直感力が高まり、霊的な能力にも関係します。
ヨガでは知識を得ることを重要視しますが、眉間のチャクラのみが活性化すると、頭でっかちになってしまうこともあります。
サハスラーラ・チャクラ

頭頂のサハスラーラ・チャクラはシヴァ神の座と呼ばれており、個人としての自分と宇宙全体を繋ぐ場所です。また、無限の可能性を得ることができます。
スピリチュアル性と強くつながることで、本来私たちが与えられた能力を最大限に発揮することができます。一方で、特別な能力に依存してしまうことで現実世界を見失いがちになることもあります。
チャクラのバランスを観察してみよう
ここまで、それぞれのチャクラにどのような役割があるのかを見てきました。この7つのチャクラはすべての人に備わったものですが、人によって一部のチャクラのみが優先になり、他のチャクラの働きが滞ってしまっていることがあります。
例えば、力強い生命力が湧き出るムーラダーラ・チャクラやスヴァディシュターナ・チャクラのみが過剰になると、食欲や性欲が暴走してコントロールができなくなったり、死への恐怖が強まりすぎたりすることがあります。そこで、理性のアージニャー・チャクラが優勢になれば解決するのかといえば、そうでもありません。
あまりにも賢く論理的になり過ぎた結果、人としての感情が失われてしまうことがあります。また、物事を理論だけで突き詰めて考えすぎると、生きる意義を見失ってしまう人もいます。
極端な偏りは、人から幸福感を奪ってしまいます。7つのチャクラには全て意義があり、自分の中でバランスを探すことが大切です。
自分の中のバランスが分かってくると、社会の中での価値観のバランスに対しても同様に感じられます。
例えば、あまりにもホワイトな社会は、全てを善悪で評価し汚い部分は排除します。一見理想的な社会に見えても、人々は窮屈さを感じてしまいます。それは、人間が本能的に様々な矛盾を抱いているからです。
人間が本来携えている本質を、無理やり押さえつけることで不自然に蓄積されたフラストレーションは、どこかで爆発してしまいます。たまには失敗しながら、人間らしさを受け入れながら、自分のあり方を見つけるのがいいのではないでしょうか。あまりに完璧を求めてしまうと、楽しみを見失ってしまいますね。
自分らしいチャクラのバランスを見直そう
7つのチャクラの特性を学びながら、自分自身に不足している部分を見つけていきましょう。
一般的に、人間は若い時には下方のチャクラが優勢で、歳を重ねると情報のチャクラが優勢になっていきます。しかし、十分な感情表現や湧き出るエネルギーを使うことが若い時にできていないと、バランスが崩れてしまいます。
大人でも、自分の足で大地を歩くことなく、デスクで頭のみを使っていると不健康になってしまいますね。日常でも、滞っている部分は意識して活性化させてあげたいです。
チャクラのバランスを知ることは、自分自身を理解することに繋がります。自分にとっての快適なバランスは、人によって違うのかもしれません。しかし、本来流れるべきエネルギーが滞ってしまわないように、ヨガの練習ではバランスよく全体を動かすようにしましょう。