川のそばでヨガを行う女性

ヨガで不純性をため込まないシャウチャ(清浄)な生き方を

ヨガの教えにシャウチャ(清浄)というものがあり、自分の身体や身の回りを清浄に保つことを意味します。

自分の部屋が片付いている時には心もスッキリとしていたり、逆にストレスや疲労が溜まっている時には部屋もなぜか散らかってしまっていることがありますよね。

清浄であることを、ヨガの実践として取り入れてみましょう。

ヨガ・スートラのシャウチャ(清浄)

シャウチャは、『ヨガ・スートラ』のニヤマの1つとして書かれています。

ニヤマは、ヨガを志したい人が自分と向き合うために日常から気を付けたい5つの教えが含まれており、シャウチャはその1番目です。

5つのニヤマ(勧戒)~アーサナの前に知っておくべきヨガの基本~

シャウチャ(清浄)は自分自身を清潔に保つことであり、ヨガ・スートラのヨガは、自分の心に働きかけるヨガです。

シャウチャが心に与える影響についても考えてみましょう。

伝統的なシャウチャ(清浄)の実践

ガンジス川で沐浴する人々
まずは、ヨガ発祥の地インドでどのようにシャウチャが行われているのかを見ていきましょう。

修行僧が集まるガンジス川沿いの聖地では、早朝に多くの人が沐浴をしている姿を見ることができます。

ガンジス河はインドの人たちにとって、最もスピリチュアルで清浄な川だと信じられています。つまり、ガンジス川に沐浴することは、自分自身の不浄なものを洗い流すことができる行為だと考えられています。

聖地以外でも、インドでは自分自身を清浄に保つことはとても大切だと考えられています。

例えば、インドの多くの家庭にはお寺がありますが、神様に触れて挨拶するときには、必ずシャワーを浴びて自分を清潔にしてからです。

日本でも神社で手水舎(ちょうずや)で手や口を清めてから参拝するのと同じ考えですね。

インドには「浄」と「不浄」という考え方がとても色濃くあります。

私たちが苦しみを感じるのは、不浄なものを背負ってしまっているから、不純性で視野が狭まって真実を知ることができないからだと信じられています。

そのため、自分の内側に不純なものを取り込まないこと。そして、自分自身を常に清浄な状態に保つことを意識して生活を行います。

ヨガの教えでもあるシャウチャは、インドの人にとっては生活に密着した考え方です。

身体を清潔に保つシャウチャの実践

湯船に浸かってリラックスする女性
ヨガでは身体と心は繋がっていると考えます。だから、身体の状態を清浄に保っておくことで、心もスッキリと快適な状態に保つことができます。

仕事で疲れてクタクタな時でも、ゆっくり湯船につかると心がスッキリすることがありますね。

髪の毛が伸び放題でぼさぼさの時に、美容院でカットしてもらうだけでも心が軽やかになることがあります。

最近は在宅でリモートワークの人も多いと思いますが、朝起きたら寝巻のままではなく、ちゃんと着替えてから仕事をしないと集中できない人もいるでしょう。

シャウチャの効果は、日常的にとても感じやすいと思います。

身体の内側から不純性を取り除くヨガ

ヨガのシャウチャで大切なことは、自分の身体の内側も清浄な状態を保つことです。

ヨガやアーユルヴェーダでは、身体の内側に溜まったしまった毒素をアーマ(未消化物)と呼びます。

主に、消化しきれなかった食べ物が未消化物として体内に蓄積し、腐敗して毒素となります。

もちろん、このような不純性が溜まっている時には心理的な影響があります。胃がむかむかしている時、便秘の時、とにかく不快で心もふさがってしまいますね。

そのようなアーマ(未消化物)を体内にため込まないこともヨガでは大切だと考えられています。

ヨガでは様々なアプローチがあるので、いくつか見てみましょう。

食べる量を見直す

消化できない量や質の食べ物を食べないことは最も簡単な方法です。

ハタヨガでは、腹5分目を推奨しています。

少ない量で、しっかりと栄養素を取れる食材が最もいいとされています。

また、油で揚げたものなどは消化しにくいので、調理方法にも気を付けたいですね。

消化の力を高める

消化の力をヨガやアーユルヴェーダではアグニ(炎)と呼びます。

このアグニを活性化させることも大切です。

例えば、朝1番に白湯を飲んで胃腸の働きを活性化させること。

また、アーサナやプラーナーヤーマ(調気法)で腹部に刺激を与えることも効果的です。

カパーラバーティやナウリなど、腹部をダイレクトに動かすヨガの練習は、アグニの力を高めるのにとても有効です。

水や布などを使って体内を洗う

ハタヨガにはシャット・カルマ(6つの浄化作法)というテクニックがあります。体内に溜まってしまった粘液性の汚れを洗い流す練習です。

ポピュラーなものだと、水を使ったネーティ(鼻うがい)などです。

鼻詰まりが解消するだけでなく、目や頭がスッキリするのを感じることができます。

アーサナ

そもそもアーサナの練習自体がシャウチャの実践となっています。

ヨガの練習をした後、身体の中のつまりが無くなって、心も身体も爽快になる感覚がありますよね。

身の回りを清浄に保つシャウチャ

綺麗に整理整頓された机と部屋全体
私たちが生きていくために必要なプラーナ(生命エネルギー)は、体内だけではなくて世界のあらゆる場所に満ちているものです。

私たちは呼吸や食事によって、外からプラーナを取り込んだり出したりしています。

そのため、自分の周囲のエネルギーの状態がサットヴァ(純粋)であることは、自分の心と身体にも影響を与えます。

だから、多くの時間を過ごす自分の家などの環境を清潔に保つことは大切です。

例えば、悩みごとがあって疲れている時でも森林や海といった大きな自然に包まれると一気に心が晴れることがありますよね。それは自然の純粋なエネルギーに満たされているからです。

カフェなどに行って環境を変えると読書や仕事が集中できることもありますよね。机に何も無駄がない場所だと、心の中に雑念が生まれにくいです。

自分のいる場所が心に左右していることを意識して、自分の家の環境を整えることも日常に活かせるヨガではないでしょうか。

自分の心の中からも不純性を消し去る

大きな窓に向かって瞑想する女性の後ろ姿
ヨガのシャウチャ(清浄)として最も大切なのは、心の中の片づけです。

部屋が散らかっていると探し物が見つからないのと同じで、頭の中が混とんとしていると答えが見つかりません。

自分の心を整理整頓することはとても大切です。

心のシャウチャとして、いくつか実践できるものをあげてみます。

瞑想の時間をもつ

もっとも有効な方法は瞑想です。

日常生活している時の私たちの頭の中は、意識的にも無意識にも思考を生み出し続けています。

何日もシャットダウンしていないパソコンのい動きが重たくなったり、ショートしたりしてしまうのと同じで、永遠と思考を働かせ続けている私たちの頭の中はどんどん重たくなっていきます。

瞑想をすることは、一時的に何も考えない間を持つことで、思考をリセットすることです。

マルチタスクをやめてみる

同時にいくつものことを行うマルチタスクは、一見効率がいいように見えて、実は脳を過度に疲労させ、全体の効率が下がってしまう可能性があります。

マルチタスクでは高揚感を覚えやすく、自身では沢山仕事を処理できた気になっていても、実際は違うことが多いです。

さらにマルチタスクは、私たちの集中力も奪ってしまいます。

例えばテレビを見ながらスマホを見る、人と話しながら SNS を見るなどはよくありませんね。

執着を断捨離する

心の中に溜まっている不純性で最も大きいものは執着です。

不必要な執着はどんどん処分してしまいましょう。

過去のトラウマなどは手放すのに時間がかかりますが、思い切ったら手放せる執着もあります。

例えば、過去に学んだルールや常識。自分が若い時に学んだ社会常識は今の時代には全く合わないかもしれません。

分かりやすいところだと、会社の会議資料は必ず印刷と決めていると、膨大な紙を浪費してしまいます。

必要なければデータで共有にすれば、無駄が減りますね。

何に対しても昔のルールに固執していないか。親子関係のルール、会社の中のルール、パートナーとのルール、重荷になっているものは手放してみてはどうでしょうか。

寝る前に心のリセット時間を設ける

毎日忙しいのなら、せめて寝る前の10分だけでもゆっくりと心を鎮める時間を設けてみると良いでしょう。

キャンドルを焚いて好きな音楽を聴くなど、できるだけ考え事をやめてリラックスしてみましょう。

もちろん、プラーナーヤーマ(調気法)を行ったりマントラを唱えるのも有効です。

不純性をため込まないシャウチャ(清浄)な生活を

シャウチャはヨガの練習時間だけではなく、日常にも取り入れやすい実践です。

特に忙しい人ほど、知らない間に部屋も心も散らかってしまってしまい、余裕がなくなってしまいます。

不要なものを抱えすぎていると、新しいものを受け入れることができませんね。

ヨガのシャウチャで自分の心の中の純粋さを見直してみましょう。

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