相談室:もう痛くない!らくらく「後屈」指導の3つの秘訣|~ヨガ指導者が知らないこと1~

もう「痛い」とは言わせない!”後屈”指導の3つの秘訣

痛みの原因は緊張

余分な緊張が痛みの原因!
余分な緊張が痛みの原因!

怖いと思うときはそもそも何が起きているのでしょうか? 思い返してみると首を縮めたり、なんとなく背中に張りを感じませんか? 実は首の部分や脊椎、つまり軸を縮めるのは、脊椎動物みんなが持っている恐怖や緊張に対する自然な反応なのです。

人間は前方向に目や耳がついていて、「後ろ」方向にパフォーマンスすることへの対応力が少ないようにできています。「後屈」はそもそも人間にとってチャレンジングな動きなので、だれでも首を固める傾向が出ます。無意識に首を固め、体軸を縮めていると、十分な柔軟性や体のパフォーマンスが発揮できず体の伸びや解放感が味わえないばかりか怪我のリスクが高くなります。

後屈というと腰や手足、股関節、首の固さや痛みが気になりがちですが、「固さ」や「痛み」は余計な緊張の結果おこることです。体全体が柔軟に使えるかどうかは、動き出す時の「脳の使い方」と「体軸のコンディション」で、動く”前”にすでに決まってしまっているのです。

当たり前のようですが、後屈のポーズはまず自分が安心できる環境を目で確認して、一呼吸してからはじめましょう。

頭を意識する「頭スイッチ」で後屈もらくらく!

らくな後屈の司令塔、「頭」の位置を知る

実は首を固めないでラクに体軸を使うのに役立つのは、軸のうえに乗っている頭を意識することがポイントになります。ヨガでは他の部位の話はよくしても、あまり頭の話は聞きませんが、とても大切な司令塔です。併せて、その”位置”を知っておくことも重要です。

「頭」は体軸の一番上にあり、5~6キロも重さがある!

頭の位置を実際より低くイメージしている人が多いのですが、その結果せっかく使える首のカーブをほとんど使わずに固めてしまって、全身のパフォーマンスが落ちていることがあります。

実は頭とは”頭頂から耳の上まで”を指します。後屈を始める前に、あらためて自分の手で確かめてみましょう。また、”頭頂から耳の上まで”とは一体どのくらいの高さがあるか、手で測ってみましょう。(顔の半分以上あることに気づくでしょう!)また、ポーズに入る前に頭のてっぺんをトントンと手で叩くと、改めて体が頭の位置を認識するので、後屈がやりやすくなります。ぜひ試してみてくださいね。

頭と脊椎の接続部分を後屈の始点にする

首をゆっくり回転させる
首をゆっくり回転させる

後屈をするときは、頭の底、つまり首が回る一番高い位置(耳の穴くらいの高さ)から回れることを意識しながら目線を少しづつ上げて頭全体を回転していきます。後ろに一気に倒れるのではなく、繊細に少しづつ頭が持ち上がり、ゆっくり回転するのを味わいましょう。この間、「頭スイッチ!」と思って空間の中のどこに頭があるかを思い出すのも簡単であり、本能に働きかける良い方法です。

緊張を手放すヒント

「顎を引いて、首を守る」というインストラクションを耳にしますが、逆に首を固める結果になってしまいます。どうしても力が抜けない人は、口をぽかーんと開けて、頭頂をただ思ってやってみましょう。こちらの方がラクにできることが多いです。

また、一度腕を前にだらんと垂らし、背中を丸くして、口を開けたまま後屈してみると意外と上手くいきますよ!これは「気を付け!」の癖が抜けない背中をまっすぐにしている人に有効です。一度、余計な緊張を手放すことから試してみましょう。恐れずに実験してみるのが自分がやっていることを知る手がかりになります。

上手くいったら、次に口を軽く閉じてみましょう。開けたままでやらなくても大丈夫です!無理な力を加えるより、あなたの持っている自然な力と重力を利用しましょう。重力で深まる、全身で味わう後屈を体験してみましょう!

「一人では難しい!」と感じる人はスタジオで先生のサポートを受けながら行うと、一度経験することができて良いでしょう。